月都貴人専属医療班、隊長の日記6
9月20日 新しい持ち場はすこぶる快適である
やや嫌がらせの意味も込めて、医療器具だけではなくコーヒーメーカーなども希望したが
すぐに、最高のコーヒー豆と一緒に持ってきた
同期の出世頭からの手紙も添えて
いわく、出来るだけの事はするから、おとなしく綿月姉妹から可愛がられろとのことだ!!
9月21日 腐っている!!月は腐っている!!!
昨日のように嫌がらせのように、持ち場に搬入する医療器具を吟味していたら
同期の出世頭、奴が今度は私の前に出てきた
奴は隠す気もなく、私を監視していること。綿月姉妹の方がより恐ろしく、殴られようが構わないとほざいた
望み通り殴ってやった。しかし奴は、何故か殴った私に謝罪をした
訳がわからない
9月22日 そもそも、綿月姉妹は何故私を選んだのか
それを言葉尻に気を付けながら問いかけると
ややはにかみながら、私が他の玉兎や同期の出世頭と言った幹部と比べて
良くも悪くも、行動力と思考力があるからだと言われた
ゆえに、危なっかしいのだと。ゆえに、そばに置いて守りたくなったのだと
聞こえは良いが、その際に姉妹の二人ともから色が見えた
気持ち悪いと感じてしまった
9月23日 同じだ。
サグメも、綿月姉妹も、月の指導者はどいつもこいつも……
やることも与えられず、空中庭園で過ごしていた
サグメは相変わらず、○○を弄んでいる
弄ばれているのは、私も同じかもしれないが
○○の方がよりひどい状況だ……サグメは下手に喋れない、それを埋めるかのようにサグメは○○に色を与えている
またその際の様子、あるいは雰囲気。これが綿月姉妹とも被った
10月1日 依姫様は月始めの特訓に勤しまれている
私と○○は空中庭園に囚われている
不意に○○と目が合った。彼は申し訳なさそうな顔をしていたが、彼に責任は一切存在しない
その事を伝えると、お世辞でも嬉しいと言われた
そのまま○○とコーヒーを飲んでいた
彼は久しぶりに、安らいだような顔をしていた
10月5日 何もしないわけには行かない
特訓中という好機をやや逸した感覚はあるが
それでも、座しているわけには行かない
あがくための道具を探しに歩き回っていたら奴が、同期の出世頭が何人か引き連れて遠巻きに見ていた
奴は非番だったのか、崩れた装いであったが良い気味であるとしか思えなかった
10月6日 気づいているのかいないのか
依姫様から、なにか足りないものは無いかと聞かれた
それっぽい話でごまかしたが、その後が問題であった
では探しにいこう等と言って、連れ回されてしまった
途中から豊姫様も合流された、そこから様子がおかしくなった
単純に二人の行きたい所に……デートのつもりだったのではないか?
○○の気持ちを、本当の意味で理解出来た日であった
10月10日 ○○が横に立ったと思ったら、彼が小声で
余計なことはしない方が良いと、つぶやかれた
いわく、私達は大丈夫でもとのことだが。子細を聞く前にサグメが○○を呼んだ
それでしまいである
10月11日 ○○は今日も私を気にしてくれていた、だが何もしない等。それこそあり得ない、私にも尊厳がある
○○に、君の尊厳も一緒に取り戻すと。今度は私が耳打ちした
笑ってくれたが、不安そうな顔は濃くなった
10月15日 新しい持ち場で、医療関係の記事を読むふりをしながらあがく方法を考えていた
同期の出世頭が調子はどうだ?等と聞きながら入ってきた
無視して窓の外を見ると、下界が見えた
そうだ……何故今まで気づかなかった
以前、下界へ逃げた兵士がいた。この間も、イーグルラヴィがあそこから戻らなかった
あそこしか無い、下界以外に行き場所は無い
最終更新:2017年08月28日 23:20