辿り着くもの

1、村の農家の証言
 いんや、本当にあの事件には驚いたよ。なんせこんな平和な幻想郷で、あんな事件が起きたんだからなあ。
なにせ寺小屋で強盗が立てこもったなんて、俺は生まれて初めて聞いたんだよ。
しかも犯人の野郎、小さい子供達も人質にとったっていうじゃないかい。全く許せないよなあ、ほんと。
しかし良かったよ、村の慧音先生が犯人を捕まえてくれたようじゃあないかい。
えっ、犯人がどうなったかだって?さあ、知らないなあ。
どうせ稗田の屋敷で地下牢に押し込められたか、妖怪にでも喰われたんじゃないかい?
まあ、あんな酷い野郎なんて、どうでもいいじゃないかい。

2、酒場の女将の証言
 あら、あの事件ね。もうあの日は大騒ぎだったわよ。
寺小屋で事件が起こったって聞いてね、皆気が気じゃあ無かったんですよ。
でも良かった事にね、子供達には怪我は無かったんですよ。それだけは幸いですね。
子供達は事件を目にしたものだから、皆口を揃えてあの時のことは覚えていないって言うんですから。
よっぽど酷いことだったんでしょうね。
え?犯人を見たかって?
いいえ、私が知った時には、もう既に犯人は捕まったって聞きましたよ。
ん?何処の誰かって? ・・・。そうねぇ、忘れてしまったねぇ。
いや、本当にそうなんですよ。
いやぁねぇ、この年に成ったら物忘れが酷い所為か、少し前までは覚えていたはずなんですけれどねぇ・・・。

3、寺小屋に通っていた子供の証言
 うん、あの日に僕寺小屋に居たよ。
慧音先生の授業を受けていたんだけれど、急に知らない人が部屋に入って来たんだよ。
えー、それがなんの授業だったかって・・・。
うーん、分かんないや。でも、医者の白髪のおばさんは思い出さなくって良いって言ってたよ。
うーん、どの日だったかって言われても、覚えていないや。
火曜日は皆と一緒に昼から遊んだし、水曜日は授業が無かったし、木曜日は書道をやってたし・・・。
うーん、どの日だったかなあ?あれ、そういえば、水曜日の先生って最近見てないなあ。

4、永遠亭の医師の証言
 ええ、確かにあの日に子供達を診察したわ。そうね、記憶の一部が混濁していることは確かよ。
原因?そんなのは地底のさとり妖怪にでも、聞いた方がいいんじゃないかしら。
私に言えるのはあの子供達は何かの要因で記憶障害を起こしているってことだけよ。ちょ、おば、おばさんって失礼ね。
それにこの件には永遠亭は関係無いわ。
どうしても確かめたいのなら、半獣の家に最近出来た部屋でも覗いてくればいいだけじゃないの。
まあ、無事に帰って来れるかは保証しないけれどね。

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最終更新:2017年09月25日 21:57