古明地さとりのカウンセリング20
こんばんは、ええ、そうですよ、今は夜ですよ。
どうですか。この生活にも慣れたでしょう?
ふふふ…、「監禁されるのに慣れる事なんて有り得ない」ですか。どうでしょうか?
あなたの意識はそういうように思っていても、無意識はそうは思っていないかもしれませんよ。
そう、『「無意識は誰にも囚われない、のです」のだから』
意識はあなたの心や精神を形作っているけれど、無意識も同じ様に心を作っているの。
普段は意識に隠れているけれど、それでも確実に存在している。
海に浮かぶ大きな氷山の下には、更に大きな氷の塊が沈んでいるように、
無意識は意識の下側に存在しているの、しかも意識よりも大きく、強く、いつもあなたの心に存在している。
あなたが何かを考える度に、あなたは意識を使っていると思っているけれど、
実はその意識を無意識が形作っている。
あなたは自分の心を自分で全てをコントロールしていると思っているけれど、それは違う。
あなたの心の奥には無意識の世界が広がっていて、そしてそれは理性ではコントロール出来ないもの。
あなたの意識には限りがあるけれど、あなたの無意識は無限に広がっていて、他の人とも繋がっている。
そして無意識は全てを受け入れる。意識のように善悪の判断に囚われず、無意識は全て
を裁かずに、唯そこにある物のその存在を受け入れる。
どうかしら、今まで私がしてきたカウンセリングも全て、お姉ちゃんの意識とトラウマの力を使って
精神分析をしているように見えて、実際は全て私の無意識の力を使って解決をしてきたの。
一見悪い結果に成るように見えて、それらは全て解放への道筋なの。
意識に囚われている時には見えなかった物を患者の人に見せて、
そしてその人に眠っている無限の無意識の力を利用して、今までは思いも付かなかった方法で世界は進んで行く。
例えカウンセリングの結果が悪い結末だとだとあなたが思ったとしても、
それはあくまでもあなたの意識が物差しのように働いて、判断を下しているに過ぎない。
あなたは良い事と悪い事を唯ひたすらに区別して、そしてなるべく良い事だけを
行っていくことが人生の生き方だと思っているけれども、それはひたすらに自分を裁いていること。
白と黒を分けた世界は唯ひたすらに過酷で、そしてその世界では遂に、法の番人の彼女すらも生きることができなかった。
どう、今まで生きてきて、どうだった?
外の世界ではずっと気を張り詰めていて、いつも全てを意識の元に置いておこうとして、
そして絶えず進歩をしようとしてきて、最後にあなたの精神は破綻を迎えたよね。
辛かったよね、苦しかったよね、バラバラに壊れそうだったよね…。
もう、無理なんじゃないかな。今までの様に生きていくのは…。
だから、無意識と一緒に生きようよ。
無意識は全てを受け入れる。
意識のようにあなたを駄目な存在と裁かずに、唯あなたの存在を受け入れる。
良いも悪いもなく、好きと嫌いだけのその世界なら、あなたの心は生きていける。
意識の鎖から抜け出して、無重力の世界に入り込めば、自然の世界に身を委ねて、
その存在を自分の心で感じることができる。ただ其処にいること、
それがとても素晴らしいことだと気づけることが、無意識の世界。
さあ、全てを捨てて、あなたの心の奥に眠る無意識に身を委ねて…。
昔、私は他の人の心が見えたの。だけれどその世界は汚くて辛くて、だから私は瞳を閉ざした。
そうしたら私は無意識に入ることが出来たの。
普通の人が持っている意識を捨てることで、無意識と一緒になって、そうすれば無限の力を使うことが出来る。
絶望に触れることで、天国への道は開かれる。
よく地獄への道は善意で舗装されていると言うけれど、案外に天国の道は悪意で彩られているのかもしれないね。
さあ、今あなたの無意識が開かれたよ。あなたの心と私の心が重なって、広がっていくわ。
時間も空間も無く、ただひたすらに漂うこの世界。ゆっくりと夢のように微睡む世界。
あなたの肉体は拘束されていても、あなたの精神は無限の世界を飛び回る。
さあ、ゆっくりと息を吸って、吐いて。ドロドロに今までの意識の鎖が溶けていくよ。
あなたを今まで縛っていた重りが無くなって、あなたの心は軽くなる。
世界を意識で判断することなく、無意識の力に委ねることで丁度良い具合に行動できる。
どうかしら? 無意識の世界は…。
感想
最終更新:2018年01月02日 00:08