夢子/24スレ/141-142
「死んでくれるかしら?○○」
月を背にして立つ彼女の言葉に、○○は愕然とした。
「おい、ちょっと待て。何の冗談だ?」
「私は本気よ。」
「だから何の「本気よ。」
「・・・・・」
○○と夢子の出会いは、数年前に遡る。
○○が人里で
アリスの人形劇を見ていた時に見慣れない女性がいることに気づいた。
人里では珍しいメイド服、彼女は紅魔館のメイドか、或いはかつて神社にいたといわれる
メイドロボかと推測したが、孝察するうちに好奇心が膨らみ、彼女に話しかけてみた。
無視されるのも覚悟した上での行動であったが、彼女は柔和な態度で会話をしてくれた。
話によると、彼女の名は夢子、妹のアリスの様子を見に幻想郷に来たらしく、
驚くことに魔界という世界の生まれであるらしい。
これに○○の好奇心は弥増して、夢子に数々の質問を投げかけた。
コミュニケーションを続ける内に夢子の方からも幻想郷についてのことを質問され、
次第にアリスの人形劇の感想やお互いの趣味等も話した。
その日はそこでアリスの人形劇が終わった為お開きになったが、それから二人はよく会う仲となり、いい関係を築いていた。
そんなある日、○○は夢子に話があると人里近くの平原に呼び出された。
「貴方を殺して魂を回収し、神綺様に魔界人として作り直して頂くの。」
こんなことを言われるとは思ってもいなかった。
○○は幻想郷出身の人間である。幻想郷で、人として生きていくのだと、そう信じていた。
「お断りさせてもらう。大体何の意味があって死ななきゃいけないんだ!?」
○○は自分でも驚く大声を出して、漸く恐怖を感じていることを自覚した。
「私は、私は魔界人。そして貴方は人間。いずれは時の流れにもまれて消えてしまう。
それがどうしようもなく怖いの。わかったの!貴方が!○○のことが好きなんだって!」
夢子はいい放つと、剣を鞘から抜き始めた。
刃が月光に照らされ、○○の焦燥感を煽る。
「待て!待てってば!誰か、助けてくれ!俺はまだ死にたくない!」
○○は逃げだした。人里まで300メートル、助かると思った。
後ろを向いて様子を探った。誰もいない。
すぐ側に、誰かの気配を感じた。
膝は震えて、足元から崩れ落ちそうで、心臓の鼓動は速く、大きく頭に響いて。
ゆっくり前を向き直すと、そこに夢子がいた。
この瞬間をもって、○○の短い人生は無限の時へ没入した。
感想
- 夢子さんもいいね -- ゆっくりみつお (2018-02-22 17:34:19)
- 夢子さんかわいい -- ゆっくりしっていてね (2024-10-24 23:19:16)
- 夢子さんいいなぁ -- とある東方にわか (2025-06-25 23:14:01)
最終更新:2025年06月25日 23:14