「できた♪できた♪」

わたしはルンルン気分で今しがた完成した機械を見つめる。
完成した機械は○○に仕掛ける盗ちょ…じゃなくて通信機だ、ただの人間である○○が幻想郷をうろついたらあっという間に妖怪に襲われてしまう。
それを未然に防ぐためのいわばお守りのようなものだ。(だからたとえ通信が向こうからこちらへの一方通行であっても断じて盗聴器なんかじゃない)
だけどもちろんそれ以外の目的もある、○○に言い寄ってくる他の女たちから○○を守ることだ、むしろこっちの方が重要かもね。

そう思いながらわたしは箪笥にしまってある○○の服に機械を取り付ける、取り付けるといってもノミみたいに小さい機械を仕込むだけなんだれどね。
前に普通の通信機を作ったんだけど、正直なところずぼらな○○は通信機を持ち歩く時より家においてある時のほうが多かったからこんな小さな通信機を作るはめになっちゃった。
まったく、○○ったら世話がやけるんだから。


「おはようにとり

「ひゅい!?」

出し抜けに声を掛けられマヌケな悲鳴を上げてしまう。

「お、おはよう○○」

○○とわたしは恋人関係で同棲中だ。だけどいきなり声を掛けられるのはやっぱり心臓に悪い。
わたしはほおを膨らませて○○に抗議するけど○○は笑って着替えを始める。わたしは急いで背を向けた。

そのあと、○○が出かけたのを確認してから通信機のスイッチを入れた。ノイズもなく綺麗な音が伝わってくる。
○○がわたしの作った機械を持って使っている、そう思うと体の芯がゾクゾクと疼いた。



「あややー、○○さんおはようございます」

しばらく耳を傾けていると突然耳障りな音が聞こえてきた、あの鴉天狗だ。
あいつに限らずこうやって○○にちょっかいを出す輩が幻想郷には五万といる、その後も巫女、魔女、メイド、吸血鬼、亡霊、鬼、妖獣…数えたらキリがないくらい○○に声を掛けてきた。
あいつらはなにを考えているんだろう、○○はわたしの恋人だというのに。

いくらわたしが○○の行った場所、話した人物全てが分かってもそれを防ぐことはできない、それがもどかしかった。


その夜さっそく通信機に改良を加えた、○○のような鍛えられていない一般人には聞こえない高周波を出すようにだ。
妖怪や戦闘慣れした敏感な者にしてみればひどく耳障りな音、これで○○に近づく者もいなくなる。
これで枕を高くして眠れる、わたしは改良した通信機を仕込んでから上機嫌で○○の布団に潜り込んだ。

「なにかいいことでもあったの?」

わたしが笑っているのに気がついたのだろう、○○が聞いてくる。

「前から作ってた機械の完全版ができたんだよ」

そう言ってわたしは○○に抱きついた。




その日を境に○○に声を掛けてくる者は減っていった。
だけど一人だけしつこく声を掛けてくるやつがいた、あの鴉天狗だ。
取材とか言ってるけどあいつは間違いなく○○に惚れている、だって何回も取材しているのに文々。新聞に○○の記事が載ったことは一度もない。
きっと取材と称してしこたま撮った○○の写真を眺めてニヤついているんだろう。

「ところで○○さん、最近○○さんから変な音が聴こえるますよね」

わたしは舌打ちをした、天狗ときたらデリカシーに欠ける。
だけどここで愚痴っていてもしょうがない、感のいい天狗のことだもしかしたら通信機のことを感づかれてしまうかも知れない。
あの通信機は発信機も兼ねている、わたしは光学迷彩を起動し○○の元へ向かった。

その間にも天狗は○○に質問を浴びせる。
皆さんが急によそよそしくなったのはいつ頃からですか?それまでになにか変わったことはありませんでしたか?

急いで○○の元に向かう中で質問の内容はどんどん核心に近づいている。

そういえば○○さんはにとりさんと同棲していましたね、なにか持たされていませんか?

そう天狗が言ったところでわたしは現場に到着し、即座にのびーるアームを叩き込んだ。
頭に命中したのびーるアームはそのまま天狗を吹き飛ばした、一瞬のできごとだ、○○には天狗がいきなり消えたように見えたと思う。


天狗がいきなり消えたことに驚いている○○に声を掛ける。

「○○ー?なにやってんのー?」

「いや、今ここに文がいたんだけど急に消えちゃって…」

「あははー天狗様は気まぐれだからねー急に飛びたくなったんじゃないの?人間の目じゃ追えないよ」

そんなものかと頭を傾げている○○の手を引く。

「さ、そろそろ日も暮れるしかえろ?」

そう言いわたしは○○の手を引く。 これからは邪魔者もいないしずっと一緒だよ、○○。








―以下蛇足

相変わらず駆け足気味
本当は○○をにとりに依存させたかったけどそんな文章力はなかったぜ!

―蛇足終わり

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最終更新:2010年08月27日 11:21