元魔女の妻3
以前のシリーズとは直接の関係はありませんが、舞台背景は同じになります。
元魔女の妻3
「私○○が所有する一切をこの書面を持つ者にお渡しする。」と、おや、これはどういうことですか。
ええ、それはよく分かりますよ。
しかし、こんな帳面を見せられてもどうでしょうか。
確かにこれはあの人が普段使う印ですが、ちょっといきなり過ぎやしませんか。
それにこの字はあの人の字ではありません。
全くどこぞのむさ苦しい髭面の馬鹿野郎が書いたような、下衆い臭いが漂ってきそうですね。
あらあら、そんなに目を吊り上げていかがされましたか?
いやはや、まさかあなた方の内のそこのあなたがお書きに成られて、
無理矢理にうちの主人の印を押した訳ではありませんからねえ。
そんなことをすればどうなるかは、そこら辺の寺小屋に通う、
おつむが未熟な子供でも判るようなものでしょうから。
ふむ、「
魔理沙、この者に万事従って欲しい。」ですか…。
全くあれでは飽き足らず、この書面すら用意するとは中々ですね。
ええ、全くもって同じ字体に同じ文面とは、人を小馬鹿にしているような引っかかる人が
節穴だと公言しているようじゃありませんか。ええ…。
ところで、あの人の拇印を押しておいて、御丁寧に小指まで揃えている割には、人差し指はどうしたんでしょうか?
もしも、もしもあの人に何かありましたら、地獄の底で百年後悔するような羽目に遭って貰おうと思っているんですよ…。
ほう、そうですか、あの人が無事かどうかは私が従うかに掛かっていると…。
いやはや、見下げた者ですね。ええ、霧雨の名に賭けてお渡ししようじゃありませんか!
ほうら…、この光る八卦炉と私自身ですよ。
婿養子のあの人が持っている物なんて、妻の私ぐらいしかありませんからねぇ。
ええ、良いですよ、ご自由になさって頂いて…。そんなに私が欲しいのでしたらね!
ほら、冷た××××体×使え××でし…たら…ね………。
------------------------------------------------------
おや、どうしたんですか?幽霊を見たかのようにびっくりして。
あらいやだ、地面から手が伸びてきたから思わず足で押さえてしまいましたわ。
阿求さんも嫌でしょう。こんな奴等に好色な目で見つめられて、危うく触られそうになっては。
ええ、これくらいで結構ですよ。他の人もこれだけ押さえつければ、指一本動かせないでしょうから。
おや、どうして生きていると?はあ、何を言っているのか、トンチンカンなことを言いますね。
やはりこいつらの隠れ家の奥にあった仙丹か、はたまた毒の茸でも食べて、気が狂ってしまっているんでしょうね。
あの仙丹は偽物で色々と毒が混ざっていましたし。
さて、白昼堂々と霧雨家に押し入ってくる様な物取りは、さながらどう裁きをするべきでしょうか。
このような狼藉者によってうちの主人が私を庇って大怪我をしてしまいましたので…。
幸い永遠亭によって元に戻るようでしたが、それはそれというべきものですしね。さて
はて、これについては稗田家にお任せすることにしましょうか。
え?家に仙丹なんてない?これはこれは…。全く悪党の言い逃れですね。
村の自警団があなたの隠れ家を探したときに、奥から仙丹が出てきたのを、皆しっかりと見ていますからね。
わざわざ手伝って下さった紅魔館の女中さんがしっかりと見つけて下さったのですから、
これはもう言い逃れができませんよ。ははは!仙丹の毒なんて判る筈がないと!
いやはや、嘘つきもここまでくれば天晴れですね。
うちのような商店ならば、仙人様も偶に来られますからね。仙丹もしっかりと取り扱っているんですよ。
いやはや、霧雨を良く知らない一見さんならば、そんな間違いをするかもしれませんがね、
全くもってこれではもはや話しになりませんよ。
本当に見苦しいものですねえ、阿求さん。
さて、船頭さんが迎えに来てくれましたね。おや、どこにって、あなた方の行き先ですよ。
三途の川をすっ飛ばしていきなり四季様にご対面できるんですからね。ええ、ジタバタしても無駄ですよ。
それじゃあ無間地獄で百年程焼かれて下さいな。どうぞごゆっくり、と。
感想
最終更新:2019年02月09日 21:35