……そこの君、そう、君だよ君。
何の用かって?いや、ちょっと僕の話を聞いてほしくて。
あぁ、僕のことを不審者扱いしないで、少しでいいから、話を聞いてよ。
……一つ、君に質問をしよう。

君は、ここ数日間、女性が出ていない夢を見たことあるかい?
しかもその女性ってのが、いわゆる東方Projectのキャラクター。
しかも押しキャラ。

……その反応を見る限り、どうやら当たってるようだね。
ま、僕も同じだ。いや、同じだった、か。
僕も君と同じ夢ような夢を見ていたってこと。
ま、とにかく僕の話を聞いていってよ。聞き流しててもいいからさ。
それじゃ、話を始めるとしよう。
あれは確か……半年くらい前からだったかな……


僕はいたって普通の東方ファンだったんだ。
自分が主人公の小説を書く程度の。
そんなこんなで楽しい東方ライフを楽しんでいた時に起きた出来事だった。

毎日、同じような夢を見るようになった。
内容は大体こうだった。
気が付いたら自分の部屋の中、自分と二人の女性。
その女性ってのが、いわゆる東方Projectのキャラクター。
それも、僕の押しキャラの姉妹だったね。
……あえて、誰とは言わないでおくよ。
で、自分は縛られて動けない。
そんな状態でいたって普通に暮らす。
時折二人の目からハイライトが消えたりするけど。
まあ、それだけだったらただの夢として片づけれた。
それだけ、だったら。

ある日、ふと気づいてしまったんだ。
身体に何故か傷跡のようなものがあることに。
そしてそれが、夢の中で彼女たちによって傷つけられた場所と同じところにあると。
最初のほうはただの偶然だと思った。
だけど、背中にまでそんな跡があって、
もしかしたら、夢の中の傷が残っているのでは、と思って。
だんだんと、起きてる時も二人の幻覚を見るようになって。
もしかしたら、それが本物じゃないか、と思って。
二人が気が付いたら自分の部屋に居て。
もしかしたら、まだ夢を見ているのかもしれない、と思って。
……もしかしたら、で逃げていたせいで、二人を受け入れようとしなかった。
自分の書いていた小説よりも奇妙な現実に気が付かなかった。
結果、僕の一人暮らしはあっけなく終わった。


これで、僕の話は終わり。
ここから先、君がどうなるのかはわからない。
だけど、僕は願ってるよ。
どうか、僕のような哀れな結末は迎えないでくれ。
……いや、どうやら無理みたいだ。

なるほど、君の押しキャラは――だったんだね。
なんでわかるのかって?

いや、君、後ろ、見てみたら?






感想

  • 最後の一文でゾクってくるの良き -- 名無しさん (2020-07-30 20:41:07)
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最終更新:2020年07月30日 20:41