こんばんは、○○さん。今日も"よい天気"ですね。
空気が済んでいて冷たい。そのわりに星も月も全くみえません。
まぁ…それも当然と言えば当然ですか。何せこれはあなたの心象風景なのですからね。

あぁ、そんなに怪訝な顔をされて…如何致しました?

…私は誰かって?
フフフ…これは失礼いたいました。私、ドレミー・スイートと申します。

これから長い付き合いになりそうですので、ご挨拶をと思いまして。はい、そうです。それはもう永いものになります。


おっしゃるとおり、あなたの知り合いに私は居ません。ここは夢の中ですから。
ですが夢の中ではもう知り合いです。はい。既知の仲なのです。


ああ、話は変わりますけれど。
○○さん、あなたはレム睡眠というものをご存知ですか?…聞いたことくらいはありますよね?
…そうです、あれです。睡眠段階のうち、一番浅いところに位置します。

実はですね、そのレム睡眠の最中って眼球が急速に動いているんですよ。
フフフ…おもしろいですよね?フフフ……。

……あぁ、そうでもないですか……そうですか……。こほん。

それにしても、瞼は閉じたままで意識もないのに"眼球は何を追って"いるのでしょうね。

…うふふ、冗談ですよ。そんなに怯えないでください。レム睡眠とはそういうものなのです。

しかし問題もあります。
先ほども申し上げましたが、レム睡眠は睡眠段階のうち最も浅いところに位置しています。

ですから眠りにおいてレム睡眠の合計が多すぎると、それはつまり"深く眠れていない"ということに他ならないのです。
もちろん、浅い眠りがいけないということではありません。 大切なのはバランスです。

……フフ。私が現れた理由がお分かりになったようですね。

○○さん、最近よく眠れていませんよね?睡眠
時間は確保しているのに、朝起きても怠い……それはとても辛いことではありませんか?
……そうですよね。

○○さん。私はあなたを深い眠りへ……その最下層までお連れすることができます。
浅い睡眠時に脳が見る"夢"ではなく、あなたの奥底……魂が安らぐ夢の世界へ。

……なにも心配することはありません。そこには安寧と穏やかな幸福感があるだけです。

ほら、こうやって抱き締められると何も安心しますよね……あぁ、そうです。そのまま私の香りを感じていてください。

……あたま、真っ白になってゆきますよね?そうです……私の体温と、声と、優しい香りにだけ意識を向けてください。

上手ですよ……そのまま、そのまま。……ほら、あなたは今、暗い森のなか、木々の囁きに囲まれて横たわっています。

とても良い香りがしますよね……優しくて、温かい存在が近くにいますよ……。それは誰ですか……?

ンフフ……そうです、ドレミー・スイートです。
復唱、してみましょうか。
あなたの安らぎは……誰によってもたらされていますか?
あぁ、正解です。いいこですね。……頭、撫でてあげます。

このまま、ずっと私の存在だけに意識を向けていましょう……そうです、上手ですよ……それでいいのです。


ーーもう、目覚めなくて良いですからね。






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最終更新:2018年03月26日 23:50