居酒屋『旧地獄』
△△「○○氏さぁTwitterとかやってないん?」
○○「アカウント作っただけ、なんにも呟いてない。これ」
△△「うわっ2年前に作ってるのに一回も呟いてない」
○○「みんなワイワイTwitterやってるのに俺一人だけ誰も見てないとこで呟くのを想像すると悲しくて…」
△△「ほら拙者フォローするから」
○○「フォロワーにリア友がいるとなるとそれはそれで呟きづらいな」
△△「んもぉ」
○○「知らない人にフォローとかリツイートもいいねも気を使うしなんも呟いてない俺のアカウントをフォローする人も怖い」
△△「いやいやTwitterってそういうもんでござるよ」
○○「なに呟こうかな」
△△「今きたメニュー、だし巻き玉子」
○○「だーしーまーきーたーまーごー」パシャッ
丸之助@yandere
んぅ~!!だしまきたまごおいしすぎるぅ~!!ハチャメチャが押し寄せてくる~!ブイブイ今夜は飲むぞ~!!!
△△「あんな不信だったのになんでこんなテンション高いの」
○○「△△こそなんでTwitterじゃ萌えキャラ路線なんだよ」
△△「いいじゃんそこはネット上じゃかわいいキャラでいさせてよ現実がこんなんだから…ん?」
△△「○○氏フォロワーいるじゃん」
○○「アカウント作りたての時になんかしらんけどフォローしてくれてた人だと思う」
△△「ふーん…ほー…○○氏ぃこのフォロワーの人多分JDでござるよJD…おう?」
○○「んお?」ピロン
ウシロベリー@yakumo
返信元@yandereさん
そのだし巻き玉子すごくおいしそうですね。どこのお店ですか?
○○「えーっと京都幻想大学の近くの…」
△△「待って、ちょっと待って○○氏。待って、待って?」
○○「え?何?」
△△「いきなり知らない人から話しかけられたんでござるよ?さっきそういうの怖いって言ってたじゃん!っていうか返信早すぎるよこの人!」
○○「Twitter雑魚の俺に話しかけてくれるなんていい人に違いない」
△△「なんでこういう時だけそんなピュアなの!?下手したら自分が誰かを特定する材料になることだってあるんだよ?」
○○「え?だったらリア友になれるじゃん」
△△「Twitterでびくびくしてた人がなんでそんな人間関係に逞しいのさ」
○○「また飲もうなー」バイバーイ
△△「うーい」
△△「……」
△△「あ、もしもしウサミン氏?あー、うん。○○氏の…そう、うん。Twitter…放置アカウントがあって…うん…言われた通り特定したから…拙者のフォロワーから…うん…うん…」
△△「……あの、拙者がバラしたことはくれぐれも内密に…○○氏とは…いい友人のままでいたいし…うん…うん…それじゃ、また」ピッ
例えば弱味を握られて、暴力で脅されて、自分がこんなことをやっているのかと問われると答えるのに困る。
では自分の意思で友人のTwitterの情報をバラしたのだとしたら責められるべき人間だ
でもそれをなんとも思っていないほど自分は悪人ではないと信じたい
この煮え切らない罪悪感を抱えるようになってどれ程経つか
一番の親友の情報を自分の想い人に渡すという不毛なことを続けてどれ程経つか
宇佐見蓮子は知っている、なぜ僕が『協力』するのかを。知っていて、知っていて…
実ることのない偽物の僕
こんなどうしようもなく汚い自分の感情を誰でもいいから聞いて欲しい。
Twitterでぶちまけてしまいたい
でもできない、できない。
現実の僕の不甲斐なさにネットの僕は世界はもっと楽しくて喜びに満ちあふれてるとキラキラした幻想の自分を騙る
誰に話せばいい、誰に助けを求めればいい
偽物の友達、偽物の協力者
これ以上自分を呪うのは辛すぎる
本当のことを吐き出したい、友達を騙すのは辛いと叫びたい、騙してごめんと謝りたい。
好きだから協力できないと断りたい、愛していると語りたい
現れてくれ、誰でもいい
ヒーローよ、怪人よ、僕を裁いてくれ
無数の登録者の隙間をすり抜けて彼のアカウントをフォローしていた『あなた』でも構わない
全部壊してくれ
本物の友達になりたい、本物の協力者になりたい
笑いたい、心の底から
声にならない言葉はどこにも届くことはない
ならば差し伸べられる手も向けられることはない
そうしていつか、病に至る
感想
最終更新:2018年10月07日 13:01