○○「――つまり俺は片想いを拗らせた東風谷に異世界転移する際拉致されたと?ついでに帰る術はないと?」
諏訪子「……そうなる。本当にすまない、まさか早苗があんなことをするとは思いもしなかったんだ」
神奈子「そして、今のお前にこんなことを言うのは不躾だと思うが、どうか早苗を許してやってほしい。衣食住で不自由は絶対にさせない。可能な限りお前の願いは叶える。だから、どうか……頼む……」
○○「……あの、一つお願いしていいですか?」
神奈子「あ、ああ!なんだ?なんでも言ってくれ」
○○「じゃあ、ニートさせてください」
諏訪子「うん……うん?」
○○「働きたくないんです」
神奈子「えぇ……」
諏訪子「あ、あのさ、もっと他に……というか、願い以外で言いたいこととかないの?いきなりこんな所に連れてこられて怒るとか、二度と親や友人に会えないくて泣くとか、その、ちょっとアレな女の子に好かれちゃって怖いとか」
○○「びっくりはしましたけど住む場所にこだわりはないですし、親とは折り合い悪いのでどうでもいいですし、友人はちょっと悲しいですが割り切れますし、東風谷はまあなんとかしますよ。というか大事なのは そ こ じ ゃ な い」
○○「社会に出たらパワハラアルハラセクハラに怯えながら上司の顔色を伺って残業代で栄養ドリンクを買う羽目になるんですよ?」
諏訪子「げ、幻想郷でそれはないんじゃ――」
○○「人里って明治時代の田舎みたいなものらしいじゃないですか。上下関係現代よりきついだろうし余所者ハブるとか余裕でしてきそうで怖すぎるんですが。だからどのみち俺はニートを望みます」
神奈子「あー、ええと……つまり、働かせなければこちらの非を水に流し、早苗を受け入れてくれると?」
○○「東風谷には後で説教はしますけどね」
神奈子(……あれ、これ考えうる限り最高の答えじゃないか?)
諏訪子(早苗の様子を見る限り働きになんて出せるわけないしね。言う必要はないけど)
神奈子「じゃ、じゃあ、それで頼めるか?」
○○「はい、よろしくお願いします」
○○「ではちょっと今回の元凶である東風谷を正論でボコボコにしてきます」
諏訪子「ほ、ほどほどにね?」
○○「はい。何があっても暴力に訴えたりしませんし、禍根は残さないようにしますので安心してください」
諏訪子「……行っちゃった」
神奈子「穏便に済んだことについては感謝しかないが、しかし、早苗もすごい男を気に入ったものだな……」
諏訪子「ほんと、あんなタフな子だとは思わなかった。これは元の世界に帰れないって嘘ついたのは悪手だったかも」
神奈子「か、帰れると分かれば躍起になるとか言い出したのはお前だろう」
諏訪子「普通の人間だったらそうなるじゃん!まさかあんなこと言い出すなんてわかるわけないだろ!」
神奈子「……徹底して秘匿だな」
諏訪子「まあ、本来は説得だけでももっと大変……いや、下手したら拗れてどうしようもなくなる可能性もあったんだ。これくらいは喜んでやらなきゃ」
神奈子「その通りだな……さて、それじゃあ一応二人の様子を見に行くか」
諏訪子「りょーかーい」
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早苗「他の女に興味を持たない。家から出ようとしない。家事を全てしてくれる(尽くせなくてちょっと残念。けど自分のためにしてくれてすごく嬉しい)。私を愛してくれて、私に甘えてもくれる。ああ、○○君、大好きです。今でもこれ以上ないくらい好きなのに、日増しにこの想いが大きくなっていきます。○○君○○君○○君……」
○○「まあ養ってもらってるしこれくらいはね?早苗可愛いし、やりたいことやってるだけであの光のない目もされないから苦でもないし」
諏訪子「すごい」
神奈子「つよい」
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○○「元の世界に帰れる?途中から気づいてましたけど、だからどうしたんです?え?帰るわけないじゃないですか。嫁と子供いるのに。それに向こうで今以上の生活を望める気がしませんし、そもそも気づいた時点で二年経ってたんですよ?帰ったって面倒なことにしかならないでしょ。え?怒る?感謝こそすれ怒る要素がどこに?」
神奈子「ありがとう」
諏訪子「本当にありがとう」
感想
- ○○が強すぎて笑う -- 名無しさん (2018-12-31 13:16:09)
- 働きたくないんです(鋼の意志)でどうしても吹く -- 名無しさん (2019-01-15 04:35:43)
最終更新:2019年01月15日 04:35