「お断りします。」
「そのようなこと、絶対にしません。」
「○○さんを裏切るようなことは、私は死んでも致しません。」
「ふん。見下げたことですね…。そのようなもので他人を無理矢理に手篭めにしようとは…。」
「自分にとって都合が良ければそれで良し、なんて言う無粋な屑野郎なぞ、生憎大嫌いですので。」
「おや、本当にそんな金や権力で、現世のしがらみなんかで私を縛れるとでも思っていたのですか?」
「残念ですね…。言ったでしょう?死んでもお前の物には成らないって。」
「この世は胡蝶の夢の如くと云えども、汚されて現世にしがみつくぐらいなら、死んで○○さんに操を
尽くします。」
「こんばんは。夜桜が綺麗ね。散歩かしら?」
「ええ、私もちょっと、偶にブラリと歩くんですよ。最近は夜中も暖かくなりましたから。」
「人目がない夜は、息抜きには丁度良いですからね。」
「ええ、そうなんですよ…。実は私も、少し訳がありまして…。」
「下衆な遣り口で女性を手に入れようとしたら、自刃されて後ろ指を指されてしまって、お陰でお天道
様のもとは歩けなくなった…。なんて真っ赤な嘘ですよ。」
「それにそれは…。あなたの方ですものね。」
「従者の後始末を付けるのは、主人の大事な役目でしてよ。」
「冥界で永遠に、魂を亡者に喰われなさい。」
全く…。私があの子なら、きっと○○さんを白玉楼へ誘うのだけれどね…。
感想
最終更新:2019年04月11日 17:58