時々、視線を感じるようになった。

別に女の子が見てくる分にはいいし大歓迎なのだが、どうも様子が違う。

気配はあるのだが、見回しても誰も居ない。

今度来た時に相談してもらおう。できることなら、お祓いも頼んでみよう。

「おい●●っ!何ボーッとしてんだ!仕事しろっ!」

『っは、へい!』・・・暇ができたらだな。


○○が生きていた。

始めは見間違いだと疑った。

○○は死んだじゃないか。

でも○○は居た。

分社の用意で早苗と行った人里に。

早苗が長老と話し合っている時、○○は入ってきた。

○○は話し合いと分かると出て行った。

私のことが分からなかったのだろうか。 「・・こ・」

もしかしたら記憶喪失かもしれない。  「・・こ様」

今はまだ様子見をしたほうがいいだろう。「諏訪子様!」

『っ!早苗どうしたの?』

「いえ、ですから分社のことで相談が」

『あー、これはねぇ』


仕事も暇ができ、うろついていると巫女さんがいた。

「あのーすいません」

「はい。なんですか?」
巫女さんは振り向いてこちらを見る。
丁度、帰るところだったようだ。

『自分は●●っていうんですけど相談が・・・』

「別にいいですよ」

物分かりのいい人で助かった。

俺はつたないながらも分かることを話した。

「・・うーん、それが何かはわかりませんけど」
「もし悪霊とか妖怪だったら困りますね・・・」
「それじゃあ御札を・・・あれ?」

巫女さんは袖口に手を突っ込むが、しばらくして
「すいません・・・今、御札のストックがないみたいで・・・」
「・・・じゃあ今から神社に来てくれませんか?」

『え!別に今度でも・・・』

「いいえ!今日食べられたり祟られたりしたら大変です!」
「長老さんには話しておくので一緒に来てください!」

『・・・わかりました』

「では行きましょう」

『あの、ところでお名前は?』

「早苗、東風谷 早苗です」


早苗と一緒に○○が来た。

私に会いに来てくれたのだろうか。

      • どうやら違うようだ。

早苗が○○から離れた。

私はキョロキョロと辺りを見回す○○の前に姿を現した。

『何しに来たの?』

○○は少し驚いた様子で
『御札を貰いに来たんだ』と言った。

『ねぇ○○』

『?俺は●●だよ』
『君は?早苗さんの妹?』   

「準備できましたよー・・・諏訪子様どうしたんですか?」

そのあと、何か話したみたいだけど私は憶えていない。


『いやぁ、すいません』
『泊めて貰ったばかりかご飯と風呂まで・・・』

「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ」

『・・・あの、諏訪子様は』
『やっぱり自分が無礼なこと言ったから』

「気にしないでも大丈夫ですよ」
「たまたま元気がなかっただけです」
「はいこれ、守矢特性の御札です」
「貼れば大抵の悪霊や妖怪なら近づけませんよ」

『ありがとうございます』

「では戻りましょうか」


やっぱり○○は記憶喪失なんだ。

だから私がわからないんだ。

そうに違いない。

いや絶対そうだ。

なら治さなきゃいけない。

私と○○が愛し合ってたことを思い出させないと。


「あ、●●さんっ・・・どうしたんですか・・・?」

『あぁ御札を戸と窓に貼り付けて寝たんだけどね』
『家の中からするんだよね・・・視線』

「えっ・・・」
「相当強い力を持ってないとあれは破れませんよ」
「あれで駄目ならどうすれば・・・」

『それなら私がやろうか?』

「諏訪子様・・・!」
「そんなことしなくても私が」

『でも早苗は風祝として仕事があるでしょ?』
『それに早苗が張り込んだら誰が家事をするの?』

「それは・・・」

『分社には離れがあるから、そこに●●と籠るよ』
『もし、それが来たら返り討ちにしてあげる』

「・・わかりました」
神奈子様には私から言っておきます」

『よろしくね早苗』
『・・・●●』

『はっはい!諏訪子様!』

『そんなに固くならなくていいよ』
『じゃあ●●っ、行こうか』


○○は私を信じきっている。

まずは呪符を貼って出られないようにしよう。

あとは○○にゆっくりと思い出させればいい。

なに、時間はあるのだ。


ここに閉じ込められていったいどれくらいたっただろう。

諏訪子は朝食後にここを出て、夕方に帰ってくる。

大方、神社に行っているのだろう。

諏訪子は自分を○○と呼んでくる。

そして何時の頃かもわからない○○との思い出を語る。

少しでも○○と違うことをすると

○○はそんなことしない!と言って苦痛を与えてくる。

そうして俺はだんだん○○になっていく。


『○○ただいまー』
そう言って諏訪子は●●に抱きつく。

『おかえりなさい』
そう言って●●は諏訪子の頭を撫でる。

『・・・ねぇ●●』

『?私は名前は○○ですよ?』

それを聞いた諏訪子は満足そうに●●の胸に顔を埋めた

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最終更新:2010年08月27日 11:39