贅沢な二人

 その日○○は輝夜によって自室に呼ばれていた。普段から永遠亭で何につけ輝夜の相手をしている○○であったが、その日は必ず来るようにと特に強く輝夜より言われていた。
いつもの姫様の気まぐれだろうと思っていた○○が、言われていた通りに夜になって部屋を訪ねると、そこには既に先客がいた。永遠亭の薬師、月の天才、
そして輝夜の忠実な従者である八意永琳が輝夜と共に部屋にいた。
 月より逃げてきた輝夜とそれを助けた永琳は、単なる主人と従者という常人としての立場を超えた繋がりを持っている。それは永遠亭を切り盛りするというだけではなく、
もっと深い、月や幻想郷の裏側にたどり着く暗部を共有しているということであった。そんな二人が話している最中に、自分のような部外者がいると都合が悪いと思った○○は、
廊下に置いてあった優曇華院特製の電気行灯を再び持ち、部屋から出ようした。
「どこに行くの。」
外に出ようとした○○を見咎がめた輝夜が尋ねる。
「すみません、お取込み中のようですので。」
「こっちに来なさい。」
「いえ…。」
「いいから。」
輝夜に促された以上、遠慮しながらも部屋に進む○○。
「もっとこっち。」
「え…。」
二人の間に割り込むように誘われて流石に躊躇する○○に輝夜が焦れた。○○の腕を掴んで自分の方に引っ張っていく。
「ほらほら、もっと寄って。」
○○を挟んで膝が密着するように座る三人。二人に挟まれることで、○○の背筋が普段よりも随分と伸ばされた。

「ふふふ…」
何やらいいことを考えていそうな輝夜であるが、それが時としてかなり突飛な物になることを○○は知っていた。自分が見てきた分で不足であれば、
鈴仙やてゐから聞いたものを付け足せば、十倍には嵩増しができるだろう。
「○○って何だか、未だに他人行儀なのよね。」
「すみません。」
「そこよ、そこ。だからさ、永琳も抱きなさい。」
「えっ?」
「そうすればもっとマシになるでしょうから。永琳も良いわね。」
「はい。」
あっという間に重大なことが決まってしまい、驚く○○。永琳が輝夜の言うことに反対しなかったことは、○○にとってはまだ想定の範囲内であった。
何せ永琳は輝夜のためには咎人にすらなったのだから。しかし、今まで輝夜が○○の相手をしていたのは、決して気まぐれではないということには、
未だ○○は気が付いていないのであった。






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最終更新:2019年06月17日 20:51