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その日の夜は仕事が早く終わったのですぐに寝た。
どうして早く終わったのかは覚えていないしそれは物語の本筋には何一つとして関わらない。

次の日の朝。目が覚める。
「おはようございます」と誰に言うまでもなく呟き、布団から体を起こし違和感。
いつもと周囲の環境が違う。ここは勝手知ったる我が家ではない。辺りを見回す。そこそこ上等な部屋だ。

「おはよう。起きたのね」と返事が帰ってくる。呟きが聞こえていたらしい。
返事?誰が?顔を向けると部屋の入口、そこに美しい青髪の女が立っていた。

青髪の女―――比那名居天子。お偉い天人様、らしい。(その割に天人らしさは皆無だ。しょっちゅう問題を起こしている)
不定期に店(これまでに何の説明もなかったことを謝罪しよう。俺――つまるところ語り部――は蕎麦屋を営んでいるのだ)にやってきては蕎麦を食っていく、
まあ要するに客と店主という、ただそれだけの関係だ。天界は桃くらいしか食うものがないとぼやいているのを聞いたことがある。
なんだ。とうとう嫌気がさして天界の食生活の改善を行おうというのか。俺は天界に誘拐されたのか。ここは彼女の家なのか?

…いや待て、それならば俺よりもマシな職人はそれこそ山程いる。
だがそれ以外で何か、人を自分の家まで運ぶような要件でもあったというのだろうか?想像もつかない。

「ぐっすり眠っていたとはいえ、ここまで起こさないように運ぶのは苦労したわ」
運ぶのに苦労した。やはり彼女が俺をここまで運んだらしい。

「…ここは」 「私の家よ。まあ、一番小さい部屋だけど」
一番小さい部屋でこれか。さすが天人様だ、文字通り住む世界が違う。
いやそんなことはどうでもいい。問題はなぜこんな所に連れてこられたかだ。彼女は困惑する俺など構わずに言葉を続ける。

「さて。私が貴方をここまで連れてきたのは他でもないわ―――」
ごくり、と唾を飲む。まだこの時はいろいろと考えていたが、次の言葉を聞いて俺の思考は停止した。

「私はこれからこの世界全てを創り直す。だから、一緒に新世界のアダムとイヴになりましょう」

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…………………………………………………………………………は?


続く(かどうかは未定)





感想

  • お〜出来たのか。良かったゾ。 -- タタリさん (2020-05-31 15:48:18)
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最終更新:2020年05月31日 15:48