依頼人の青年は、自分を呼んできたのが上白沢夫妻だったから。
それに、自分が助けを願った一番の存在である稗田夫妻。そして何だかんだで協力してくれた東風谷早苗。
これらがやって来てくれたのも合わさったから、この依頼人の青年としても、無礼な態度は見た目の上ではさすがに鳴りを潜めてくれた。
もっとも、腹の底ではまったく違うだろうけれども。


依頼人は最後の一線を踏み越えないように、それだけを気にしているのだろう。
「どうも、稗田様ご夫妻にせよ東風谷様にせよ、昨晩から泊まってくださった上白沢様ご夫妻はもちろんのこと」
そう言いながら、この場に集まってくれた者達に丁寧に礼儀正しく出迎えと謝辞を述べているが。
その視線の動きかたは、不自然そのものであった。
言葉だけならば自然なので、正常と異常が混ぜ合わされた今の依頼人の動きは、何か悪いものにでも憑かれているのではと。
退治の家業を、本人は謙遜しているが。周りが思ったよりも評価するだけのことはあるからこそ。
何かに憑かれているのではと言う懸念は、実は冗談ではないのだけれども。
依頼を受けた自分達なら、真相がよく分かっていた。

ただただ、『うつろ』な上に何も話してくれない頭領に腹が立っているのである。
ただただ、目線すら合わせたくない。

それだけなのであるけれども、今の彼にとってはそれが最も重要なのであった。

しかし、奇妙な動きを繰り返したとはいえ。
一番重要な、頭領とは目線を合わせたくないと言う考えを完遂出来ただけあり。
また頭領からしても、罪悪感から伏し目がちで。
それに頭領ほどの人物なら、憑かれているのと嫌がられているの違い。
これは簡単に見分けを着けることが出来ることだ。
故に頭領は、黙って座り尽くしたままであった。


「お茶などお入れ……」
依頼人は両夫妻と、東風谷早苗に気を使ってお茶の用意などを始めようとしたが、それは慧音が制止した。


「今日も寺子屋があるんだ」
だからお構い無くと、その意志を伝えるにはその一言で十分であった。
その言葉に依頼人よりも頭領の方が、ハッとしたような表情を浮かべて、伏し目がちだった様子から一転して息を吹き替えした。


上白沢慧音の存在が、恐らくは稗田阿求の次に里では重いのと同様に。
彼女が平素の拠点としている寺子屋も、稗田邸と同じような扱いを受けている。
慧音が、あまり大きくなるのを好んでいないから上白沢夫妻で切り盛り、精々がたまに近所の人達から野菜等をもらったり掃除の手伝いを得る程度であるが。
慧音が何も言わなければ、あの寺子屋の横に稗田邸の次に豪華な建物が建ちかねない勢いであった。
それに慧音の夫であるこの旦那も、口には出していないがそろそろ帰りたかった。
ただ、その早く帰りたいと言う腹の底は。妻の慧音は無論であるが、友人の○○が目線をわざわざ合わせに来たので。
きっと分かってくれていると期待した。
たぶん、阿求が寒くしないように囲炉裏の炎を強くするついでにこっちを気にしたのだろうけれども。
分かってくれるのならば、それでも十分である。


そして○○は、この旦那の期待通りに動いてくれた。
中々察しの良いところは、○○の良いところなのであるけれども。
腹のそこが見えてこないのが、どうしても引っ掛かる。
○○だけじゃない、もっと大きな単位。稗田夫妻が何を考えているか分からないのだ。
「頭領さんが話してくださらなければ、何も始まらないかと」
しかし今は、その稗田夫妻の腹の底はまぁ置いていても構わない。
それよりも、○○が頭領に話を促してこの場を動かして。
「依頼人である貴方も、まぁ、文句はひとつどころじゃないでしょうけれども……
時間がかかるので、まずは話させましょう」
それに加えて依頼人の青年も、牽制してくれた。
今一番、感情の触れ幅が大きくて危ないのは彼であるから。
それを制してくれたのは、嬉しい誤算である。
少なくとも頭領の話を全て聞いてからならば。
帰ってしまってもいくらかの申し訳は立てられる。
「何かあったら頼みます」
旦那は若干の皮肉気な笑みを浮かべながら、東風谷早苗の方を少しだけ見て呟いた。
東風谷早苗も聞こえてはいた。
若干の困ったような、そしてひきつった笑みを見せてくれたが。
頼みは、聞いてくれたような雰囲気だから。それで良しとした。
何かあったら、後で菓子折りでも渡せばいい。


○○からの合いの手が絶妙だったお陰で。
一番の懸案であった依頼人も、憮然とはしているが聞く方に回ってくれた。
「あぁ」
頭領も、周りからの視線で意を決してくれた。


「きっかけは、稗田と上白沢の両家からもたらされた情報……妙な死体の調査だ」
依頼人は、あぁやっぱり、と言うような表情を作ったが。
黙って最後まで聞いていようと、圧力をかけられているから。おとなしかった。
頭領もこの青年が黙って聞く気ではあるのを見て。罪悪感はややあるが、続けてくれた。
「八意女史誘拐事件の犯人達の、最低一人はおかしな死に方。仲間割れではない殺され方の調査で、湖まで上った時の話だ」
そこら辺の話は依頼人からも聞いているが、慧音の旦那にとっては別の感想。
狂言だと知ったら、どんな顔をするだろうなと言うのが一番強い感想であった。
しかし時間が無いので、その感想は飲み込んだ。


「妙な死体があった場所から上って、湖で何度か調査をやっていた時の話だ」
ここで頭領は言葉を切って、依頼人の方を見やった。
依頼人も何を聞かれるか覚えがあるのか、少しだけ息を吐き出した。
「快晴なのに、雷が落ちたような。倒木でもない、あの轟音が鳴った時の話ですよね?」
依頼人の予測は正しく、当たっていた。
頭領は押し黙る様子が強かったが、重々しく頷いてくれた。
「あの時、あなたの言いつけ通り走らずに。横合いに立って守ればよかった!」
全てのきっかけが、湖での調査にあると。
予想はしていたが、張本人から頷かれると悔しさが滲むのだろう。
依頼人は明らかに声を荒くしたので、慧音が手を顔先に出して制止した。
○○も「続きを」と、頭領に促す。
今はまだ、依頼人に発言権は無いと示した格好だ。


「……その時見たんだよ。せめて君だけでも逃がすために、音のした方を見ながら後ずさっていたら」
頭領は唇を噛んだ。何か、恥ずべき物に耐えるような印象を他者に抱かせる様相であった。
「フランちゃん、フランドール・スカーレットの悲しそうな顔が見えてしまったんだ。彼女は遊んでいただけなんだ、的当ての的がたまたま大きな木だっただけなんだ」
頭領は明らかに恥じていた、それはフランドールに対しての物であるのは言うまでもなかった。
依頼人の青年は口を動かしていたが、半端で声も出ていなかった。
大きな木を遊びでぶっ倒せる存在に、なぜこんなにも新身にと言いたいのだろう。


その依頼人の横で、○○は手帳ほどの大きさの資料を繰っていた。
「あった、写真も載っている」
○○は依頼人に資料の一端を理解の助けとして提示した。
すると依頼人は、少しばかり困惑の表情を浮かべた。
慧音の旦那も、横から体を伸ばして覗きこんだ。
そこには、金髪で宝石のような装飾を羽に着けた女の子が写っていた。
「彼女が、フランドール・スカーレットだ」
○○は補足してくれたが、その必要はなかった。
それよりも羽についた宝石のような装飾。これの方が問題であった。
無論、依頼人もそれに気づいていた。


「頭領!さっき食べていたキャンディは!?」
「なぁ、君もチルノと不意に出くわした時。彼女と遊んでくれただろう」
「頭領、質問に答えて!それにあれは、刺激しないように遊びに付き合っただけ!!」
「楽しそうに雪合戦をしていたじゃないか。氷の妖精の力は凄いな、いつでも雪が作れる」
「質問に答えて!!あれは、あのキャンディは!?」
「これでも、すまないと思っているんだ。けれども私がフランちゃんと仲良くなる前に、それに気づいたら君を叱責したろうから……皮肉だな。今は君の方が正しいと言える」
「質問に答えろぉ!!」
ここまで来たらさすがに、慧音が不味いと考えて依頼人と頭領の間に割って入った。
頭領はかなり興奮こそしていたが、それでも依頼人の事を認める口振りで合ったが。
依頼人からすれば、今この時点の状況からして不愉快なのだから。
おかしくなった頭領にいくら認められようとも、皮肉な物でしかなくて、荒れる原因であった。


しかし頭領の興奮と依頼人の激昂は、話の邪魔であることは論を待たない。
慧音は二人の間で仁王立ちにも似たような体勢を取って。
「落ち着け二人とも!!」
はっきりと、そう叱責した。
腰を中に浮かしかけた依頼人も、慧音からの大音量での叱責には、素直に腰を再び下ろすしかなかった。


依頼人はさりとて自室に戻るわけにも行かず、声を出さずに口を動かして。
音こそないが、怨嗟を漏らしていたのは見て分かった。
○○がチラリと、頭領の方に目線をやった。
上白沢夫妻も、若干わざとらしく時計に目をやった。
「ああ、そうだな……」
「…………」
頭領も依頼人も、続けろと言う部分は汲み取ってくれたようで、何よりであった。




「私はね、どうしても気になったんだ。あの時はまだあの子がフランちゃんだとは知らなかったが、逃げる私を見る目がね……」
頭領は少しばかり涙ぐんだ声を出した。
依頼人は向こうを見ていた、悪いとは思ったがこの場においては邪魔が入りにくくなった。

「つまらんだとか、そう言う見下げるような目線だったら。見逃されたと言う悔しさはあれども、生き長らえたことばかりを考えていたであろう」
「しかしながら、あんな風に涙目で唇をキュッと。それもあんな少女の見た目で……いや、中身も少女にそんな表情を作らせたことに罪悪感があって」
罪悪感と頭領が表現したとき、依頼人の頬がヒクヒクと動いたが。慧音からの叱責のお陰かそれだけで済んでくれた。


「私は……あの時の、逃げ去る私たちを悲しそうに見つめるあの顔がどうしても忘れられなくて会いに行ってしまったんだ」
依頼人の頬がますますヒクヒクと痙攣していく。
「正直、死すらも覚悟していたが……楽しかったよ。受け入れてくれた」

「そこからは大体、皆さんの予想通りですよ。鍛練と言うもっともらしい理由で外出して、湖の奥まで向かったんだ」

「けれどもフランちゃんは吸血鬼だから、残念ながら夜型だ」
この言葉で慧音の旦那は、ちょっとした矛盾に気付いた。
だったらあの時、日が上っているのになぜフランドールはいたのだろうか。
「あの時はフランちゃんは、我々で言う夜更かしをしていたんだ」
しかし理由を聞いて、類いまれなる巡り合わせに神にすら毒づきたくなった。
つまりは、あの日フランドールが我々流に言えば夜更かしをせずに寝ていれば。
この依頼すら無かったと言うことなのだから。

「更に言えば申し訳ないことに。私と会うために、フランちゃんは朝まで起きていてくれていたんだ。吸血鬼だから、朝は寝た方が良いのに」
「だから夜に外出を?よく変なのに食われませんでしたね、フラン『ちゃん』はともかく」
依頼人が、横を向きながらではあるが声を出した時にはドキリとした。
それに依頼人がフランドールにつけた『ちゃん』と言う呼び方は。
どう考えても皮肉であるのだから。
しかし飛びかかったりする様子は無かった。
もっとも、それだってギリギリの線ではあるだろうけれども。
けれども頭領は、皮肉の味だって理解しているはずなのに。クスリと笑うのみ。


「実に優しい子だよ」
頭領は心底そう思っているのが、実に厄介である。
「日中にずいぶん眠そうで、フラフラしていて。受け答えもたまに遅れるし。だったら私が夜に向かうと約束したんだよ」
その結果、頭領は日中に『うつろ』となってしまった。
「しかし、フランちゃんも夜にただの人間が散策するのは危険だと言う認識は合った。そうしたらチルノちゃんが良いことを思い付いてくれたよ」
依頼人の口が少し、うわ言を呟くように動いた。
お前、チルノとも付き合っているのかよと言いたいのだろう。
「悪いね」
今の頭領には下手に謝罪をしてほしくなかった。憮然とされた方が諦めがつく。

「チルノちゃんがね、眷属(けんぞく)なら大丈夫だろう?ってね、いやあの子は中々、体面から言い出せないことでも簡単に指摘してくれる」
頭領は快活に笑っているが、笑いながら大きなアクビをかいたのを。ここにいる全ての物が見逃さなかった。
「もしかして『うつろ』なのは眠いだけなんじゃ……」
東風谷早苗が思わず呟いたが。結局はそれでほとんど説明できてしまえるだろう。


だが、説明できない方が良かったと言う場合も。残念ながら存在するのだ。
「なったのか?」
依頼人の彼である。謎は謎のままだったほうが、頭領への心配で眠りも浅くなりそうではあるが。
それでも、裏切られたような感覚は味会うことは無かったはずだ。
「なったのかと聞いている、眷属になったのか!?」
「なったよ、私は始めからチルノちゃんの案に乗り気だったし、フランちゃんも姉から一流の吸血鬼なら眷属のひとつぐら--
遂に依頼人が頭領に殴りかかってしまった。
致し方のないことであるとは言え、放っておいて良いものではない。
東風谷早苗が後ろに回り込んで両脇から腕を突っ込んで。
上白沢夫妻が頭領の前にたって、依頼人が突っ込まないように牽制して。
なおかつ、軽薄な態度が目立ってきた頭領に強い視線で忠告する。
依頼人は東風谷早苗ほどの別嬪に後ろから抱きつかれた格好であるけれども、そこに気づいてはいなかった。
○○は阿求の前に立って、急に何かが飛んでこないように気を配っていた。



「手応えがなかった。本当に変わってしまったんですね」
東風谷早苗から組伏せられながらも、依頼人は頭領を睨むような嘆くような表情であった。
「あのキャンディのせいで!変わってしまったんですね!フランドールの一部を食って!」
依頼人は自分のことを会計だと言って謙遜していたが。
それでも体躯は平均より鍛え上がっていたから、そんなのに殴りかかられたらたまったものではないはずなのだが。
「あぁ、びっくりした」
頭領はどこ吹く風で……見た目の方も、衣服と髪型が崩れている程度。
かすり傷すら無い、大の男に殴り付けられたはずなのに。

依頼人も、ここまで見せつけられてしまえば。諦めもついてしまうのか。
恐る恐る手を離した東風谷早苗の気持ちはつゆとも考えずに。
ストンとまた座ってしまった。
「もうここは終わりだ!貴方がいるから嫌々、派手な連中の世話もしていたのに!」
真面目な依頼人にとっては、遊び歩いている他の連中などいない方がマシ。
さりとて、慈悲深い頭領がまともな仕事を世話しようとするのも分かるから手伝っていたが。
こう言う落着では、もう何もかもがとうでもよくなってしまうだろう。
頭領も、依頼人が自分のことを信じてくれていたのは把握しているので。
やけっぱちな態度にはさすがに罪悪感が込み上げてきたらしい。
ようやくかよと言いたいぐらいではあるが。


「……チルノちゃんがまた君と雪合戦をしたいと言っていたが」
さすがに先の罪悪感があるから、おずおずと喋って。そして今は不味いなと思って話題を急に変えてきた。
「遺言状のような物なら、もう作っている。フランちゃんの所に行ったときに少しずつ書いたんだ」
ただ変えた話題も、依頼人にとっては決して良くはない。
むしろまた暴れることのできるチルノの話題の方が良かったかもしれないぐらいだ。


「……」
依頼人は結局、自室に戻ってしまった。
「ああ……」
頭領は嘆くが、その権利があるのだろうかとはこの場にいる者なら少しはいぶかしむ。
「…………お願いがあるのですが」
ややの間があって、頭領が頭を下げながら頼みを言おうとした。
「内容次第ですね」
○○が若干の冷たさを持ちながら次の言葉を促す。
まるっきり相手にしていないだけ優しい部類だ。

「遺言状のような物を、確実に執行させるための見届け人をお願いしたいのです」
「彼の言う通り、正直、遊郭通いが過ぎるあの連中はもう無理だと考えてます」
「私も……まぁ、やめる理由はさっき話しましたから。ええ、フランちゃんと暮らします」
「ですから、私の財産を出来るだけ。出納帳を管理しながら私についてきてくれた彼に持っていってほしいのです」
「しかし、あの派手な連中が厄介。一思いに紅魔館へ行かなかったのは、あの連中を謀るための文章を作っていたのです」
○○もこう言われたら、得心した。
「そのための遺言状か……」
「はい」
頭領も力強く答える。


心配なのは、夫が乗り気でも稗田の頂点である阿求が嫌がらないかどうかではあるけれども。
「あんな派手な連中が頭領の財産を、形見分けと称して持っていくのは確かに、ね」
こちらも問題はなさそうどころか。
「頭領さん、一度その遺言状を見せていただけませんか?稗田には判例も多く残っていますから……少しでも依頼人に有利に動かします」
九代目の完全記憶能力者から、粗を探して修正してやるとまで言われたのだ。
これほど力強い言葉、人里ではこれより上は恐らく存在しない。
「はっ、ははぁ!ありがとうございます!!」
フランちゃんとの遅れてやってきた色恋に受かれていた頭領も、これには畏まる。


「それで、遺言状はどちらに?」
阿求が頭領に、すぐにでも見せろと言う。
「紅魔館に置いております……あそこが一番安全だ」
しかしすぐには無理な場所に合った。安全を考えた結果そうなるのには、笑ってしまったが。
結局は頭領も、あの派手な連中を信じていなかったのだ。


「私が行きますよ」
しかし東風谷早苗が、『あぁ、もう!』と言う雰囲気ではあるけれども。引き受けると言ってくれた。
「上白沢夫妻は今日も寺子屋が、稗田夫妻が紅魔館に行ったらちょっと勘ぐられます。私なら信仰云々で誤魔化せます」
それに東風谷早苗からの指摘に、2つの夫妻はどちらともがぐうの音も出てこなかったのである。

「助かります、山の巫女。フランちゃんと昼食は食べる約束だったので……」
所々でこの頭領は、雑になっている。フランドールの眷属(けんぞく)になった影響なのだろうか。
「ちなみに、昼食の献立は?」
慧音の旦那が、若干の嫌味を見せながら聞いた。
効かなくても、もう構わなかった。何か言ってやりたかった、それのみである。
「ハトを料理してくれるそうだ。わざわざ白いハトを用意してくれたと、フランちゃんが喜んでいたから、美味しいのだろう」
「ハトね……ニワトリ以外では、鴨ぐらいですね、私が食べたことあるのは」
慧音の旦那は白いハトと聞いても何も思うところは無かったが。
外から来て、その知識がある早苗はそれとなく○○に目線を合わせて。
○○も苦笑していた。
慧音の旦那が見たときは、○○が苦笑しながら早苗に目を合わせていたので。
「……何の意味があるんだ?今の頭領の言葉に」
「白いハトは、西洋では愛の象徴なんだ。それを一緒に食べるんだぞ?告白に近い」
頭領には気付かれないように然り気無く聞いてみたが、聞かない方が良かったかも知れなかった。
「寺子屋に行ってくる!こっちは頼んだぞ○○、慧音行こう!」
旦那は呆れ混じりとは言え、大きな声を出してしまった。





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最終更新:2019年07月27日 23:02