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210○○ :2018/01/01(月) 01:11:11 ID:????
たとえ、呪詛や恨み辛みのこもった感情をふつけられたとしても
無視よりマシ、無視は一切の変化が存在しない

225○○ :2018/01/01(月) 11:59:59 ID:????
>>210のネタを使用

「ねえ、本当にそう思っているのですか?」
嘲るように、見透かすように、-そして何よりも不快な事には-哀れむように彼女は僕に言う。
「本当に無視をしていればいいと、そう思っているのですか?」
まるで出来の悪い生徒に教えるように彼女は僕に言う。べたりと粘っこく脳裏に貼り付く声が、僕の神経を逆なでするかのように、
感情を刺激していく。
「ほうら、もう既にあなたの心は波立っているでしょう。」
後ろから伸ばされた手の平が、僕の頬に触れられる。地底の妖怪特有のひんやりとした感覚がした。
「いくら強がりを言っていても、あなたの心はドキドキと不安で一杯。叫びそうな心の声を無理に押し込んでいるだけ。」
彼女の体重が僕の肩に掛かる。椅子に座って居る僕は、そのまま後ろから抱きしめられるような格好になった。彼女の吐息を耳元に感じる。
「そんなあなたには…はい、これ。」
目の前に突然長い銀色の物が現れた。くすんだ銀色をした長い棒。ヤスリのようにでこぼこがついていたが、その鋭利さは凶悪であった。
僕ですらしっかりと握りしめないといけないような大きな金属を物ともせず、彼女が指だけを使って僕の腕にそれを押し当てる。
軽く回されたそれとは正反対に、僕の心の中で急速に重く、悪い予感が膨らんでいく。
「大正解…。」
左腕で僕を抱え、右手でヤスリを動かす彼女。一往復で服が破れ、次の往復で刺激が腕全体に走った。今まで見た事が無かったピンク色の皮膚の下から、
瞬く間に赤い液体が浮き出してきた。そして紅い玉が瞬く間に皮膚から零れだし、表面張力を失い流れ出す。
「ふん ふふん ふーん。」
鼻歌を歌いながら彼女が腕を動かす度に、強烈な痛みが腕を襲う。彼女の腕から逃れようとするが、あの細い体のどこにそんな力があるのか、
椅子を僅かに揺らすことが精一杯であった。容赦なく襲う痛みに堪らず叫び声が漏れる。
「声を出したら無視になりませんよ。○○さん。」
彼女の腕が抱えるように僕の顔を押さえてきた。息が出来なくなる感覚に一瞬にしてパニックになる。
「駄目ですよ、落ち着いて下さいね。はい、もう一度。」
彼女の可愛い声と共に一際深く腕が抉られる。神経を抉られたのか頭まで衝撃が走り、そして全身から力が抜けていった。
「ああ…素晴らしい心の悲鳴。」
陶酔しているかのような彼女の声。床に倒れふしながら彼女を見上げると、頬が薄らとピンク色に染まっていた。
パチリと彼女が指を鳴らす。するとあれだけ血が吹き出ていた自分の腕が傷一つ無い状態に戻り、絨毯には染み一つ付いていなかった。
「恐怖を味わう催眠術はどうでしたか?」
「やめてくれ…。すまなかった…。」
「え?聞こえませーん。」
わざとらしく耳に手を当てる彼女。愉悦が顔からにじみ出しているのは、心が読めない僕にもよく分かった。猫が獲物をいたぶるように、
自分の手中に収めている物に対して絶対的に振る舞うかのように。
「○○さんは私のこと無視してる筈でしたし…きっと、きーっと、空耳ですよね。」
一人芝居をする彼女。痛みによって引き起こされた恐怖が自分の中で暴れ出す。
「さて、悪い○○さんにはもう一回しましょうか。今度はきっと○○さんも無視出来なくなるでしょうしね。」
彼女の手には銀色の棒が再び握られていた。立ち上げる勇気を全て削いでしまうかのように。





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最終更新:2019年11月04日 11:38