永遠亭の誰でも良いから、先の狂言誘拐事件に置いて。狂言だと分かりつつも、そしてなおかつ永遠亭の大黒柱とも言える。
八意永琳の偏愛の成就に協力してやった事をダシにして。○○は永遠亭から道具の提供を。
心苦しいが、強要しようと言う決心に揺らぐ気持ちは一切なかったが。
ふと思った事がある。鈴仙・優曇華院・イナバに声をかけるのは、阿求の存在を考えれば不味いのではと。
彼女が永遠亭の存在だという事は別に秘密でも何でもないが、彼女があんな野暮ったい行商服を着ている理由は。
それははっきりと言って、自分の体が魅力的なのを隠す為だ。以前はジロジロ見られるのが嫌だと言うのもあったろうけれども。
稗田阿求も上白沢慧音も、どちらともが旦那を手に入れてからは。自営の意味にもう1つ、それも好奇の眼よりも重要な意味が追加されてしまっていたのは。
一線の向こう側を嫁にした、稗田○○ならばよく分かっている。
自分たちを不必要に誘惑しないためだ。それも特に、俺自身、つまりは稗田○○の方をである。

上白沢慧音であるならば、彼女も鈴仙に負けず劣らず良い身体――こんなこと阿求の前では絶対に話題にしない――を持っているから。
自分の体で奪われた者を奪い返すぐらいの気概はある。いや、気概だけならば阿求だってあるけれども。
阿求の倍は、体が弱いと言うのも関係しているだろう。体の方は、魅力と言うのにかなり欠けているのは。
阿求も○○も話題に出さないだけで。いや、○○はさほど気にしていないが。阿求がものすごく気にしているのは。
これは四六時中一緒にいれば、嫌でも理解できる。

そう、だから……今日人里を歩いている永遠亭の人物が。もしも鈴仙・優曇華院・イナバだったら。
○○が横領被害を受けているのに気づきかけている、その上に奉公人の1人からはもう殆ど断定されている。
そんな微妙では無くて間違いなく悪化している、そんな状況において。美人と話を下と言う事実が、阿求にどのような動きをもたらすか。
自体がどのように推移するか予想は出来なくとも、より悪化するという事ぐらいは即座に理解できた。


しかし永遠亭以外で今の所、道具を用意できそうな機関は存在していない。
今日人里を歩いているのが、鈴仙であるならば。諦めて、遠回りでも良いから永遠亭に直接乗り込もうかとも考えたが。
「…………ツキが回ってきたかな?阿求が苛烈に動くと言う、最悪だけは避けれるかもしれん」
目の前を、八意永琳が薬漬けにしてまで手に入れた、意中のお相手と一緒にいるのを見た時は。
思わず黒々とした笑みが、○○には浮かんできてしまった。
八意永琳であるならば、あれも一線の向こう側の女性でありつつ。今はもう、意中の相手を――随分強引な方法だが――手に入れることに成功している。
独り身の鈴仙と話をするよりは遥かに、安全な存在だ。それに阿求も、狂言誘拐事件の事は全部知っている。
なおの事安全と言える配剤である。


だが、念には念を入れたとしても。損をすることは無いし、バチだって当たるいわれは存在していない。
散歩に出る時はもはや、自動的に○○の背後には。稗田家中の奉公人の中でも、特に屈強なのが。
自分の護衛として付いて――まとわりついていると思う事も確かにあるが――くれている。
彼も、○○が横領被害にあっていると気づいてしまったあの奉公人と同じように。確保をしておくべきだろう。
何だか話がだんだんと大きくなっているのが、本当に癪に触る。
放っておきたいと言う気持ちは、白波のように出たり消えたりしているが。
阿求が陣頭指揮を取れば、被害の程は計り知れない。自分ならばまだ、最低限の流血で済ませられる可能性が残っている。
それを信じて、護衛として付いてきている人物に。幸い今日は一人歩きだからか、護衛も一人だけだった。
まだ、増える速度も。この程度で収める事が出来れば、まだ――


「少し永遠亭の人と……ああ、永遠亭に頼みごとがあるんだ。けれども……阿求が何か質問して来たら俺が誰と話していたか正直に話して構わない。
けれども、今はまだ、俺1人で。出来る限り少ない人間だけが知っている状況にしておきたい」
震える声を無理やり整えたら、自分でも分かるぐらいに目つきの悪い男が完成してしまったが。
皮肉な事に、それが演出としては大きな効果を上げてしまった。
自分の護衛として付きまとっている――阿求の指示だから仕方ない――奉公人は。
稗田家中の奉公人がたまに阿求に対して見せる、平身低頭よりも更にかしこまった。
ご神体かご本尊でも拝むかのような勢いと綺麗な所作で、頭を下げてくれた。
「ありがとう」
何を言えばいいか分からなかったが、心中に驚愕と呆れの感情が入り混じったお陰で。
抑揚こそないが、するりと礼の言葉は紡ぎ出せた。
そしてそのまま○○は、きっと今も薬漬けにして自分に依存させている男性と一緒にいる、八意永琳の方へ向かった。




「こんばんは、八意先生。書生さんも一緒で……」
この間は、決して次の言葉を探しているための間では無い。
「まぁとにかく……収まるべきところに収まって、安心できますよ。そのご様子でしたら」
息災と言う言葉は意地でも使いたくなかった。何せ○○は、あの狂言誘拐の事を、全部知っているのだから。
分かる物にだけ分かる皮肉程度で収めているのは、○○が見せる優しさである。
「ああ、これは!稗田の旦那さん!」
書生君は何も――、そう、一切何も!――知らないものだから。
生来の人の良さも相まって、恐ろしい程に○○の事を疑っていない。八意永琳が投与し続けている薬の影響も、まぁ、あるだろうが。
「ええ、ええ……」
○○もこの哀れな書生君に対しては、見ようによっては被害者ともなりえてしまうから。
かけるべき言葉がまるで思いつかなくて、あまり喋りたくは無かった。


だから。
「失礼ですが……少し稗田家中で…………必要な物を伝えたくて。八意先生でしたら信用できるので。ええ、内密な話で」
稗田家の威光を、ここぞとばかりに使わせてもらう事にした。
これは、効果てきめんであった。
「そ、それは。気付かずにすみません。そうですね――」
「そこの喫茶店で、席を取っといて。すぐに追いつくから、先に何か頼んでいて。何でも頼んでいいわよ」
八意永琳は間違いなく抜群の体を持つ美人であるが、哀れな書生君、薬漬けにまでされて八意永琳を好きになるように仕向けられた。
その哀れな書生君は、何にも疑わずに。それ所か。
「そうだね、えいり――じゃない、八意先生。ええ、そうですね。大事な話のようですから、下っ端の僕は少し喫茶店で待ってますね」
少しばかりの謙遜を見せるだけでなく、思わず口走りかけた『永琳』と言う、親しげに下の名前で呼ぼうとした姿に。
「安心しましたよ、上手くいっているようで」
○○は思わず、二回目の皮肉を紡いでしまったが。
「何の用かしら?」
皮肉への反応もあるのだろうけれども、八意永琳の様子は。
早く終わらせたいと言う気持ちがありありと見える、淡々とした事務的な物に打って変わってしまった。
まぁ、遠目に見れば真面目な様子に見えるから。そう悪くも無い。敵意は見えないので良しとする。


「本題を言う前に、1つだけ誓っておく。血判状も朱印も無いが、信じてもらうしかない。今から言う危険な物品は、自分には使わない」
「……剣呑ね」
永琳は、最初に信じてくれと言う態度を取る○○に。厄介な事が起こっていると察してくれたが。
表情も声色も、相変わらず事務的であった。早くあの書生君の下へ、意中の彼の所に戻りたいのだろう。
そして折角喫茶店にでも入ったのだから、何か甘い物でもつつきあう腹積もりだってあるかもしれない。
ならばそれを邪魔する方が、○○としてはやりにくくなる。
こちらも出来るだけ事務的に、もったいぶらずに伝えてしまうべきだろう。


「飲めば確実にくたばる毒薬を、正直何錠いるか分からない……余ったら返すから、5錠ほど用意して欲しい。多分それで足りる」
「……別に稗田家が清廉潔白な存在だとは思っていないけれども」
はっきりと言及したわけでは無いけれども。○○の口ぶりは明らかに、何人かの命を狙っている風にしか聞こえない。
実際はそれだって、○○が横領被害を受けていると言う事実を知れば。
その犯人たちが、阿求に見つかる前に。余りにも可哀想で酷い目にあうだろうから、安らかに送ってやるぐらいの気持ちだ。

だがこの場面で、八意永琳が少し驚いたような顔をするのが癪に障った。
お前は狂言誘拐まで起こしただろう、俺たちを巻き込んでなし崩しに協力までさせて。
始めはそれを脅しに使おうかとも思ったが。鈴仙・優曇華院・イナバならばともかく、八意永琳には危険だと。
彼女の表情を見れば、はっきりと理解できた。とても冷たい表情だ、やはり彼女も阿求と同じで、一線の向こう側だ。
自分が好きなもの以外にはとことん、感情を動かさずに処理できてしまえる。

「ツケを払ってくださいよ。ほら、あの時の誘拐事件……結構大変だったんだ。こっちも忘八のお頭にまで協力してもらって
阿求が遊郭を嫌いなのは、貴女も同じのはずだから分かるはずだ。こっちは恐々と機嫌を図っていたんだから」
狂言と言う言葉は使わなかった。書生君があの誘拐事件を真実だと信じ込まされているから。
だからこそ、あの誘拐事件は真実なのだ。狂言などでは無い。
きっと重要なのは、あの書生君が『見せられている』――そう、見ているでは無い――世界の方だ。


「……まぁ、遊郭にまで協力を仰がざるを得なくなったのは。責任は感じているわ。稗田阿求も、私と同じ意見だろうから」
まだ安堵は出来ない言葉であった。
「毒薬に対して注文は?○○さんはミステリーが好きだから、ストリキニーネでも用意しようかしら?」
「アガサ・クリスティの作品で度々出てくる、凶器である毒薬ですね。でもあれは、中毒症状が苦しいそうですから。私の注文は……
そうですね、出来る限り苦しまないもので。あまり苦しまれて、ゲロでも吐かれたら始末が大変ですから」
「優しいのね、その様子だと○○さんは誰かに不利益を、それも長期間に渡って故意の行動によって被っているのに。
けれども貴方は、自分が被害者である事を稗田阿求にバレてしまうのを一番恐れている。
稗田阿求が知れば、どう考えても苛烈に動く。だからその前に、主犯格を稗田○○自身の手で始末して、終わらせておきたいのね」

そう、八意永琳に看破された通り。ゲロでも吐かれたら大変だと言うのは、全くの嘘だ。
事実は彼女が説明した通り、例え犯人であっても、阿求が命をもってして償わせるのが確実だからこそ。
その者達には、あまり苦しんでほしくないのだ。

「無論、私の妻である阿求に。そんな凄惨な場面に長居してほしくないのもありますよ?」
八意永琳の私見については、一切否定しなかったが。いくらかは、事実も補足として混ぜて置いた。
「そうね、稗田阿求は見た目通りで繊細な部分も多いから。心労は出来るだけ少なくした方が良いのは、医者としても賛成よ」
「それで?作ってもらえますか?出来れば今日中に用意して欲しい、奉公人を1人永遠亭に夕刻ぐらいにやりますので」
○○はもう、これ以上の雑談交じりの交渉はしたくなかった。何せ時間が無いのだ。
「ええ、了解したわ。5錠と言わず、予備も用意してあげる。楽に死をもたらせられる一品をね」
○○が最後まで避けていた、直接的な表現。最後の最後で、八意永琳は。
嫌がらせでは無くて、恐らくは自分にも○○にも、ちゃんと理解させるために直接的な言葉を使ったのだ。
そう思う事にした。

「助かります」そう言った時にはもう、八意永琳はやや早歩きで。意中の彼である書生君が待っている喫茶店に向かっていた。
別れの挨拶も無い。
だが、確約はもらえた。それで十分だ。
口約束だが、狂言誘拐事件において協力してやったのは貸しとして使える。
八意永琳も、ちゃんと作ってくれるだろう。夕刻頃に、○○が横領被害にあっている事に気付いた奉公人を。
彼は今の所、味方として確保できているから。出来上がった品物を、永遠亭に取りに行かせればいい。


だが次は、そうも行かないだろう。
「すまない、まだもう少し時間が掛かる。次は洩矢神社に行く」
少し遠ざかった場所で、自分と八意永琳との込み入った話を待ってくれていた護衛に、次の行先を伝えながら。
○○の脳裏には、洩矢諏訪子のあのにやけ面が出て来て。正直、腹立たしいぐらいであったが。
射命丸が届けるはずの遊郭に関する定例報告を、わざわざ洩矢諏訪子が届けに来た。これは何かある。
――それに、自分が横領されているあれだけの金額は。普通の遊びでは早々使いきれない、それぐらい分かっている。
つまり、この幻想郷で、巫女でも魔女でもメイドでもないたかが人間が金銭感覚をマヒさせる場所と言えば。
遊郭しか思いつかなかった。
で、あるならば。遊郭街で今の忘八達のお頭のケツもちをやっている諏訪子の情報は、必要不可欠であった。


だがどうやら。諏訪子は、初めから○○にも何事かが起こっているぞ、と。○○に対して、無理にでも気づかせているような物であった。
大体、隠れようとせずに堂々と稗田邸を歩いたり。○○と何度も目線を合わせている。

だから、洩矢神社に付くや否や。
東風谷早苗から『諏訪子様が、待っています……当たっちゃったよ、来るって予測』と、疲れた様子でブツクサ言いながら案内されたり。
神社の、よりにもよって本殿の内部に。護衛は入れてもらえず、○○だけ通された時点で。
この向こうには洩矢諏訪子が待っていると。大きな証拠が二つもあって、覚悟できたはずなのに。
「ああ……もう!この、あんたって人は!!とんぼ返りして俺を待っていたのか!?」
○○が諏訪子の前で叫んでしまったのは、これは○○の敗北以外の何物でもないし。
何より当の諏訪子に至っては「あっはっはっは。私は神様だよ」と、冗談で反す余裕まであった。


「まぁまぁ、稗田○○。お茶とお菓子用意してるから、食べなよ」
一応諏訪子は、○○の事を大事な客人だと思っているらしく。有名どころのお菓子をこんもりと盛ってくれていたので。
お茶の方も、上等な物であるのは疑わなかった。しかし、食べる気にはなれなかったし、座る気にすらなれなかった。
ひっくり返さないのは礼儀と言うよりは、もったいないと言うごく当然の思考からだ。

「立ったままでいい。すぐに帰る」
そしてそのまま○○は、諏訪子から次の言葉が出る前に。○○の方が聞きたい事を一方的に喋る事にした。

――具体的には、○○が心当たりを付けた三つの業者。
○○が阿求から貰っているお小遣いを、こいつを横領してかすめ取っている犯人がいるのが、ほぼ確実な三つの業者。
これの名前を、前後の説明も無く口に出しただけだが。
「素晴らしい!稗田阿求はまだそこまで気づいていないよ、今ならまだ間に合う」
諏訪子からそう言われても、全く嬉しくなかった。フィクサーに褒められても、裏ばかり感じ取ってしまう。

「だから、この資料を渡そう。使い終わったら、燃やしてほしいな。原本は私が持ってるから、また必要になったら私に言えばいいよ」
しかし、洩矢諏訪子から渡された資料は……断る事は出来なかった。
なぜなら遊郭に足を運ぶことはおろか、奉公人を使って内部を調査することすら出来ないのだから。
阿求が間違いなく気付いてしまう。
故に、遊郭街でドンを張り始めた諏訪子からの資料は。必要不可欠な物であった。
○○は黙って受け取り、中身を検めた。

「正確な数字は分からなくとも。どれぐらい儲けているかの心当たりはカラスを何羽も飛ばして調査すれば、大よその見当は付く……」
中身を検めている○○に、諏訪子がどうやってこの資料を作ったのかを説明してくれた。


「ここ最近、急に羽振りが良くなった連中を。手間だったけれども、全部洗ったんだ。その結果、後ろめたい金を使ってるのは、そして稗田○○。君と関わりがあるのはその四人だと断定出来た
他の人物は後ろめたいと言っても親の遺産だったり、女のヒモだったりだった。
けれどもその四人だけは、どうやって金を作っているのか分からなかったが。全員が、稗田家の出入り業者で。
なおかつ、この四人は随分仲良く遊郭で遊んでいた」


実によくできた資料と、諏訪子からの説明であった。
しかし1つ、気になる事がある。
「阿求にはどんな説明をしたんだ?あんたほどの神様が出張ったんだぞ?」
「それは、忘八達のお頭が思ったより良い男だから。良いところ見せたいからで、ひとまずは納得してくれた。
後ろめたい金で遊んでる人間が、いよいよ破滅しそうだから。何かあると思いますが、私も前に出て収拾に努めますので、お気になさらずとだけ」
「それで阿求は本当に納得してくれたのか?」
「一応ね。遊郭へ遊びに行くついでに、事が起こりそうだと耳に入れに来た程度であるのは、まぁ、つじつまが合っているとは言ってくれた」
「全然信じてないじゃないか!!」
○○はまたしても大声を出したが。諏訪子は一切ひるまずに。
「だから、急いで始末を付けろ。忘八達のお頭のケツもちだからと言う部分もあるが、これが爆発すると私も危険なんだ」
諏訪子は急に声の調子が一気に落ちて、大真面目な雰囲気になった。これには思わず、信仰する人間の気持ちが分かった。


「始めは私も、遊び半分で上白沢の旦那にちょっかいかけて、稗田○○が何か抱えてるなと、面白がっていたのはどうか謝らせてくれ。
けれども遊郭街で、私が一番気に入っている板前を連れ出された瞬間から、何かおかしいと思った。
こんな遊び方が出来るのは、神様や鬼以外じゃ問屋でも経営してなきゃ無理だよ。
それでも、上手く言っている商売人ってのは、基本的に金銭管理がまともだ。酒ぐらいは好きだから記憶無くなるまで飲む奴、たまにいるけれども。
それだって、沢山飲むの分かってるから立ち飲みで少しでも安くしようと考える。
それが上手く商売をやれている人間の、基本的な部分だ。
けれどもあいつ等は、金の使い方がおかしかった。稼ぎに見合わない遊び方なのに、まるで潰れないんだもの
だから、調べた。そしたら稗田家から横領。稗田阿求に弓引く真似じゃないか……
その上、稗田○○。あんたが私を見る目、明らかに絶望を宿した眼だった。私が何を言うか分からなくて、最悪を想像したんだろうね。
あの瞬間に確信した、稗田家の中でもよりにもよって稗田○○から横領だと!?」
ここで諏訪子は、言葉を切って。手元にあるお茶を一気に飲み干した。それで少しは落ち着いたが、話す内容は先ほどと同じであった。
「早く、ケリを付けてくれ。私も手伝う」


「この四人の居場所は、分かりますか?それから、約束したから奉公人を。外にいる彼にも、あともう一人は……はは、もう気づいているんだ
金銭の計算が、あの奉公人の仕事だから。大体の物の値段も、頭に入っていたのが運の尽きだ。
あと、カラスを借りられているのでしたら、永遠亭に薬を頼んでいるので。カラスに持ってこさせるのは可能ですか?」
○○は、より大きな覚悟を決めざるを得なかった。まさかこんなにも早くに始末を付けねばとは思わなかった。
まだ、心の準備が出来ていなかった。






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最終更新:2020年02月08日 22:05