隠岐奈「うーん……」
舞「お師匠様、どうしたんですか?」
隠岐奈「ああ、○○の待遇について考えていてね」
里乃「え!? 私達の後任ですか!?」
隠岐奈「いやいや、お前達にはまだしばらく働いてもらうよ。彼にはまた別の役職を用意する」
舞「役職って……二童子の他に何かあるんですか?」
隠岐奈「そこが悩みどころだよ。常に私のそばにいて、外界に派遣する必要がなく、私以外の誰とも接しない役を新設しないと」
里乃「ええと、つまり○○さんを独……そばに置くための……名誉職?」
隠岐奈「そう。なかなか二人の時間が取れなかったが、これで晴れて好き放題というわけだ」
舞「そういう事なら、○○さんにも相談してみたらいかがです?」
隠岐奈「いや、それではサプライズにならないじゃないか」
里乃「えっ」
舞「……あの、お師匠様。ひょっとして○○さんには何も伝えてないんですか……?」
隠岐奈「もちろん。何不自由なく私と共にいられる生活をプレゼント! さぞ喜ぶに違いない」
舞「せめて直前にでも、意思を確認した方が……」
隠岐奈「? 彼が私の誘いを断るはずないだろう。付き合ってるんだから」
里乃(うわあ……すっごく嫌な予感)
○○「ふう……家具の入れ替え完了、と。
霖之助さん、本当にありがとうございました。一人じゃ日が暮れてましたよ」
霖之助「なに、君はお得意様だからね。こう見えても半妖だし、このくらいは朝飯前さ。しかし思い切った改装だね」
○○「出会った頃は知らなかったとはいえ、神様ですからね……お付き合いするなら、出来るだけ綺麗にしておかないと」
霖之助(お人好し過ぎて心配だったが、神様なら安心か。怒らせると下手な妖怪よりよっぽど危険だが……まあ彼なら問題ないだろう)
○○「隠岐奈さん、喜んでくれるかなあ」
――数日後、○○は失踪した。
本人の痕跡は一切残っておらず、後にはただ、先日ささやかな改装を終えたばかりの住居だけが、無残な残骸を晒していたという。
調査にあたった博麗の巫女曰く、家屋の破壊は弾幕によるもので、まるで癇癪を爆発させたかの如く精彩を欠いており、力のある妖怪の手によるものとは
思えないが、そうすると血痕一つ残っていないのは不自然で、奇妙な事この上なく、注意を要するとの事であった。
最終更新:2020年02月25日 11:44