永夜抄/25スレ/590
○○「八意さん聞いてください、やりました!」
永琳「あらあら、そんなに慌ててどうしたの?何かいいことでもあった?」
○○「はい、ついに人里で仕事を見つけたんです!」
永琳「…………え?」
○○「前々から探していたんですが、なんと食事処で雇ってもらえることになったんですよ。いやあ、外の世界で料理を趣味にしててよかったです」
永琳「ど、どう、して?」
○○「え?ああ、俺、両親が共働きだったので子供の頃から自分で飯作って──」
永琳「そうじゃなくて!なぜ人里で働こうだなんて……」
○○「なぜって、いつまでも居候させてもらうのは悪いですし、俺みたいな男がいたら皆さん居心地悪いでしょう?」
永琳「そ、そんなことないわ!」
○○「隠さなくても弁えてますって。ですから今日中には出ていきますし……あ、すぐにとは言えませんがお世話になった分の生活費はどれだけかかっても必ずお返ししますからね」
永琳「っ……そん、なの……」
○○「では、他の皆にも挨拶してくるのでこれで。八意さん、本当にお世話になりました」
永琳「…………」
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鈴仙「し、師匠!○○さんが!で、で、出ていくって!」
輝夜「私の所にも来たけど……ああ、大掛かりな冗談ではないのね。吐きそうよ」
てゐ「○○、本気なんだ。冗談でも笑えないけど、これは本格的に笑えないかなあ」
永琳「そうね……いえ、○○の性格を考えたら居候の立場を良しとしないことなんて想像はついたのに、見通しが甘かったわね」
鈴仙「い、行かせちゃうんですか?なんなら私の能力で……」
てゐ「あやつり人形にでもするの?」
鈴仙「そ、それは……でも……」
輝夜「まあ、イナバがどうこうしなくても行かせない方法は幾つか思いつくけど、とりあえず意思確認をしてもいいかしら?」
永琳「と、いうと?」
輝夜「百歩譲って○○が独り立ちしたとしましょう。じゃあ人里の女といい仲になったら──」
輝夜「──良かった、皆同じ意見のようね。ならどうやって○○にここへ帰って来てもらうかを話し合いましょうか。私にかかれば時間なんて有って無いようなものですもの、ね?」
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○○「なんでもするのでもう一度ここに置いてください……」
てゐ「はー、あれだけ啖呵切っておいてやっぱり駄目でしたとか言っちゃうんだ?」
○○「うぐぅ……!」
輝夜「意地悪言わないの。けど、何があったの?」
○○「売上金が無くなったって疑われて……あ、もちろん俺じゃないんですけど、事実を証明する方法も無くて……俺って外の世界から来た奴ですし、誰も味方してくれなくて……」
鈴仙「そ、それは辛かったわね」
○○「優しさが沁みる……」
永琳「そういう事情なら仕方ないわね、出ていったことは無かったことにしてあげましょう」
○○「ほ、本当ですか?ありがとうございます永琳さん!」
永琳「ここで人里に帰しても泥棒扱いされている○○が健やかに生きていけるとも思えないもの。けど、これからはお客としては扱わないからしっかり働いてもらうわよ?この永遠亭の一員としてね」
○○「願ったり叶ったりです。任せてください」
輝夜「言質は取ったわよ?」
○○「え?」
てゐ「あー、頑張りなさいってさ」
○○「あ、うん、超頑張る」
鈴仙「えへへ、これからもよろしくね?」
永琳「末永く……ね」
○○「?はい、よろしくお願いします」
感想
最終更新:2020年09月20日 20:53