「やってくれたな」
そう言いながら、稗田○○は手紙を雲居一輪に対して、苛立ちを具現化するように乱雑に放って寄こした。
いつもの稗田○○であるのならば、そう言いつつもどこか、変化どころか騒動を楽しむ性格を持ち合わせている彼ならば、隠しきれない笑みと言う物があるはずなのだが。
稗田、上白沢両夫妻の激突と、それ以前の問題としての稗田阿求の心理状況の悪化とそれに伴う悪意に満ちた行動。
それらが稗田○○にしては珍しく、平穏とやらを求め始めていたのか、○○の顔からは笑みと言う物が、わざとらしいものですら見えなかった。

しかし手紙を眼前に叩きつけられても、雲居一輪は不敵に笑って見せていた。ちょうど手先の指の手入れも、彼女なりに満足いくような状態にまで持っていく事が出来たのか、しっかりと○○たちの顔を見ていた。

そして一輪は、○○の苛立ちは彼が状況をうまくさばく事が出来ていないと言う事は、いくばくか以上に自分の思い通りになったとの自信を持ちながら、○○から叩きつけられた手紙を受け取った。
「ああ、やっぱり」
そして自分の持った自身が、思った通りであることを手紙で確認して、雲居一輪の見せる不敵な笑みは、さらに色濃いものとなった。
「あの人、ようやくあの成金仙人と手を切ってくれたのね」
確認したい事が書かれていたからだろう、雲居一輪はすぐに手紙の方向に対する興味を失ってしまったようで、ポイと投げ捨ててしまった。
「これが件の歩荷さんの手紙だったら?」
○○はなおも雲居一輪の方を、やや腹立たしさを内包させながら見下ろしていた。さきほどよりもずっと、敵対的な様子で雲居一輪と相対していたので、稗田阿求としては今の状況においては一輪との距離が近い事には、まったく疑問や懸念に、苛立ちは存在していなかった。むしろワクワクした顔をしていた。
「○○」
追いついて来た上白沢の旦那は、やや不味い気配を感じたので、追いつくだけでは満足せずに耳打ちのような体勢を取った。
「さっきカラスに預けた手紙を思い出せ。お前の計画にもろ手を挙げて賛成すると言うわけではないが、悪く無いかなと言う気もしている……毒を持って毒を制すか、悪くない」
「……そうだな」
さすがに○○も、たとえ稗田○○として動いているときでも、上白沢の旦那の事は間違いなく稗田阿求の次に大事にしている。穏やかに、それでいて危機感を指摘されたりまた共有できれば、○○としても湯だったような苛立ちや腹立ちは、随分落ち着いてくれる。
○○は何度かうなずいて、心をさらに落ち着けてから、稗田級が座っている席の隣へと戻って行った。

「よくもまぁ……」
しかし雲居一輪への苛立ちは、まだまだ残っている。あくまでも飛び掛かったりするような、激情的な部分を鎮める事が出来たのみだ。
「怖くないのか?件の歩荷が物部布都をふったらどうなるか。逆の立場で考えたことは……」
最後まで言いかけて、○○は自分の考えが間違っている事を急に理解してしまい、自嘲的な笑みを見せた。
「私がふられる訳無いからよ。私の方が……俗な言い方だけれども、良い女だもの」
「でしょうね!」
○○の中にある自嘲的な部分は、さらに大きくなった。上白沢の旦那には、まるあるが何を考えているのか、幸か不幸か手に取るように理解できた。
雲居一輪のような傲慢な自信家が、自分がふられる訳ないと考えているはずだ、と考え直したのだろうと。
実際にその通りなのだから、始末に負えない。

「しかし……ここに来ていきなり、件の歩荷さんが物部布都さんをふる、とはねぇ」
○○はお茶をすすりながら、いぶかしげな顔を聖白蓮に見せた。
お前、何か知っているだろう?と言ったような表情だし、実際上白沢の旦那としても、雲居一輪が何かをやる以上、命蓮寺の目をすべて誤魔化せるとは、ちょっと考えにくかった。

白蓮は唇をかむようなしぐさを見せて、何かに耐えるような形を作った。出来うることならば、○○が諦めてこれ以上は何も言ってこないでくれと……そんなかっこうだ。そんなかっこうは、寺子屋で教鞭を取っている上白沢夫妻にとっては、見慣れた光景だが。まさか聖白蓮でそれを見る事になろうとはな、と思いながら、上白沢の旦那は稗田夫妻の方を見やttら。
はっきり言って、呆れる以外にはなかった。稗田阿求がことさらに、楽しそうな顔を浮かべているからだ。
きっと相手が聖白蓮だからだろうな、と言うのは言うまでもなかった。
稗田阿求にはない肉体的魅力を持っている聖白蓮が、自分の旦那である○○から明らかに苛立たれながら、詰問を受けている場面が。それが楽しくて楽しくて仕方ない、不幸にも上白沢の旦那は一線の向こう側に対する理解が、特に稗田阿求に対する理解が、この短期間のうちで急速に深める事が出来ていた。
稗田阿求にとっては、肉体的魅力を完全に排した、何らかの理屈によって○○とつながることこそが……彼女の中にある情欲のはけ口なのである。

「そう……そうですよね。でも」
「でも!?」
○○は、上白沢の旦那としてもこの部分は絶対に勘案しなければならない。
聖白蓮は○○からの強い詰問に対して、言葉をよどませて。そのよどみにこそ、○○は苛立ったが。
絶対に勘案しなければならないのは、この詰問は、決して稗田阿求を楽しませるための何かではない。○○だって必死なのだ、稗田阿求と上白沢慧音の、二つの巨人が――あくまでも比喩(ひゆ)である事に皮肉気な笑いを、上白沢の旦那は気づいてしまった――激突することを、○○は真剣に恐れているのだ。
いや、真剣に恐れているのは、上白沢の旦那だって同じだと思いたいし、伝えたい。
しかしながら、『くくく』と笑っている上白沢慧音を、夫と言う立場を最大限に利用して、止めているだけ。
果たしてここに、何の意味があるのだろうか。上白沢の旦那はどうしても、自分の価値を見出せなかった。
「うん、うん……でも夜まで待ってほしいな。見られている場所で、と言うのは苦手だ」
上白沢の旦那は小さな言葉でこう言うしかできなかった。○○からの詰問に対して、聖白蓮はまだ無言を守っていて、辺りの音と言う物が少ないから余計にそうなる。
だが上白沢慧音にとっては、それは中々以上に良い雰囲気だと言う認識を持っていた。
上白沢の旦那にとってはあくまでも、稗田阿求を刺激しない以上の意味は無かったのだが……いや、慧音の場合は気づいていてなおかつ、とみるべきだろう。
もう少し強く、慧音に注意を与えるべきかなと思いつつ心配な稗田阿求及び、友人の○○を確認したら。
かなり嫌な物を見てしまった。稗田阿求と目線があってしまったのだけれども、稗田阿求は明らかにこちらをバカにしている、そういう目線だった。
なるほど。上白沢慧音が度々言及する、稗田阿求にとっては権力こそが、体が弱くて情欲すらままならない事に対する、代替品なのだと、稗田阿求からバカにされて嫌でも理解できた。
○○は、件の歩荷がいきなり物部布都をふった原因に、聖白蓮も関りがあるとまだ踏んでいるらしく、詰問の体勢を崩していない。

○○はとても厳しい顔をしていた。捜査に対して、一切手を緩めていない証ともいえる。
その、厳しく操作を進めている様子の○○の顔を、稗田阿求は見やった。
こちらに対して優越感を抱くよりも、○○を見続ける方がずっと重要なのだろうから、上白沢夫妻への馬鹿にしたような視線は思ったより少なかったのは、助かったと上白沢の旦那にとっては言えよう。
ただし、馬鹿にされて腹が立つのと。厳しく捜査を進める、詰問する○○の事を見る稗田阿求の顔が欲情している……上白沢の旦那としては、はっきり言えば気持ち悪い顔。
一体どっちを見ている方がマシなのだろうかと言う、中々に難しい問題に直面してしまったが。
別に無理して選ぶ必要もない事に、すぐ気づいた。なぜなら今、上白沢の旦那の目の前には妻である慧音がいるからだ。
そして幸いなことに、慧音の肉体的魅力は少なくとも稗田阿求よりは高い。
上白沢の旦那はいくつかのことに目を背けながら、妻の方向に視線を戻した。


「そのご様子だと、聖白蓮、あなたは件の歩荷がいきなり物部布都をふった、その原因に思い当たる節がおありのようだ。捜査の助けになる、ぜひ教えていただけませんか!?」
一輪と布都による殺人未遂、稗田家での阿求と慧音の激突、そして今回も命蓮寺で阿求が我慢できずに暴れてしまった。
内でも外でも問題があるせいで、○○の神経は明らかに興奮状態で、いつもの様子からは遠かったが。
まだ、ナズーリンと蘇我屠自子からの依頼と言う部分に思考を傾けていれば、怒鳴り散らしていても冷静な部分の方が、まだ優勢であった。
――○○もわかっている。この件が終わったらと思うと、ついには自分自身も制御することに失敗するのではないかと言う危機感があったけれども。
だからと言って、依頼をおろそかにする訳にもいかなかった。責任感もあるが、まさかよそ様でこれ以上の暴走を見せるわけにはいかないからだ。
……何をいまさらと言うのもわかっているけれども。もっと根深い、ただの現実逃避と言う部分も合わせて、気づいてはいる。でも今は何もできない。


「聖白蓮!!」
○○は自己嫌悪を無視しつつ、聖白蓮はそんなことに気づけるはずもなく。○○は聖白蓮から知っている事を聞き出すために、また大きな声を出した。
阿求は、○○が大きな声を出して周りに影響力を行使しようとするたびに、明らかに上気した表情を見せていた。
上白沢の旦那はもう、少なくとも今は、分かりやすかったり直接的な激突がない限りは……もう、傍観と言うか諦観(ていかん)。諦めを含みながらこの場面で観客に徹すれば良いと、考えてしまっていた。
実際、上白沢の旦那の妻である、慧音に至っては観客と言う立場にすらいない。
彼女の中ではいつの間にか、お茶とお菓子を楽しんでいるデート、それぐらいの認識にいた。先ほど○○が聖白蓮の名前を強く呼んで、知っている事を聞き出そうとした、ややもすればびくつく様な声も、慧音にとっては路傍の石であった。

「聖白蓮、何も知らないのであればこっちも諦めます。けれどもしっかりと、何も知らないと言えばいい」
上白沢夫妻はともに、○○の事を邪魔するわけもなく。稗田阿求はむしろ、○○の背中を押す側だ。
内面の事情を全く知らない聖白蓮でも、それぐらいの事は理解できたから、助け部舟と言ったものを期待するだけ無駄であると、すぐに断じるしかなかった。
少し見方を考えれば、○○の口から出た何も知らないと言い切るのであれば、諦めようと言う態度が唯一の温情かもしれなかった。
……かと言って、たとえ状況のすべてを知っているわけではないと言うのが嘘ではなかったとしても。果たしてそれが誠意と言う物に値する行動かと問われれば……それにこの状況はどう考えても、稗田○○でなくとも聖白蓮が大なり小なり、何かを、少なくとも全く知らないはずはないと考えるであろう。立場が違っていれば、聖白蓮ですらそう思う。

違う立場であるならば自分ですら、何か知っているはずだと思ってしまう、聖白蓮にとってはそれが重い口を開かせる最後の一押しであった。やはり誰だって、悪くは思われたくない、悪い状況であろうとも心証を少しは良くしようとしたがる、それが自然であろう。

「会話は聞いてないの」
聖白蓮がようやく口を開いた。
「それで?それだけじゃないでしょう?」
だがようやく動いたこの状況、○○がただの一言それだけで、せっかくの状況を手放すはずは無かった。
「あの歩荷さんは、その、稗田邸であんな事があった後でも、この命蓮寺の屋台村は通常通り営業していましたから。毎日、何かしら、資材やら何やらを運んだり、屋台村自体の保守点検もありますから。いつも通り来てくれていましたの」
「……会わせたと言う事か?二人っきりで」
「まさか!?そこまで迂闊じゃありませんよ!!」
聖白蓮はこの場で見せる混乱と焦りが、最高潮になった。稗田○○の事を稗田阿求が恐ろしく愛しているのは、聖も理解しているから、どうしても○○からの不興には敏感に、恐怖の感情が沸き起こってしまう。
「屋台村の隅っこ?それとも命蓮寺の境内?まさか個室に二人っきりは……」
○○は最後に何かを言おうとして、雲居一輪の表情を確認した。それで何かを察する事が出来たようだ。
「ああ、良かった……さすがに二人っきりにはしなかったようだ」
雲居一輪の表情には若干の、不満げな顔が見えていた。さすがに二人っきりにするのは、聖白蓮としてもそこまでは許さなかったと言う事らしい。
「しかしそのご様子だと、聖白蓮、会話は聞いていないという所から考えて貴女は、遠巻きに見守ってこそいたが、ヒソヒソ話されたら何も聞こえないし、そしてどのような会話をしたのか聞き取ることもしなかった」
○○の声色は言外に、お前のやり方は甘かったぞと非難しているような、そういった物であったが。
「まぁいいですよ。本人から聞けばいい」

幸いにも、と言う事になるのだろうかはこの場の誰にも、よく分からなかったが。稗田○○の目の前には、いまだに勝利を疑っていない雲居一輪がいる。まぁ、無理もないだろう、件の歩荷はついに物部布都と手を切ったようであるから。
「あの人はあの人なりに、美学を持っているって事よ。少なくとも、あの成金仙人のやっている事のような、下品な催し物はどれだけ客入りが良くっても、好きじゃなかったって事なの」
雲居一輪は、稗田○○から質問される前に意気揚々としながら件の歩荷との会話の内容を要約してくれた。
「ほんとにそれだけか?」
稗田○○は、勝利に酔いしれている雲居一輪に対する呆れをにじませながらも。しかしながら彼女が、果たしてそれだけの会話で満足できるだろうか。
なのでもう少し、稗田○○は突っ込んだ話を求めたが。この状況の雲居一輪は別に、話すなと言われても話すだろう。彼女の楽しそうな表情は、衰える気配がない。
「まぁ……キスぐらいはしたかったわね。でもあの人、外でやるのあんまり好きじゃないっぽい。あと仕方ないけれども、だれかの気配があるのも嫌だった見たい、真面目なのね。でも、そこが良いんだけれども」
実際に交わりあった雲居一輪から見れば、キスも出来ないと言うのは欲、
求不満が更に輪をかかったと言うような状況のはずだけれども。
よほど件の歩荷に惚れている、と言う事だろう。ややもすれば拒絶の意思とも取る事が出来かねない、口づけの拒否も、自分があの人を評価している理由の一つである真面目さ誠実さの表れだと考えていた。
「やや突っ込んだことをお聞きしますが、雲居一輪。――彼の方から求められたことは?」
もはや傍観を通り越した諦観(ていかん)の領域に達していた上白沢の旦那も、○○の性格から考えれば、やや所ではなく突っ込んだ質問に、驚きを隠せなかった。
上白沢の旦那は○○と雲居一輪の表情を交互に確認した。
○○は阿求の方を少し見ながら、彼女を少しばかり抱き寄せた。どう見ても落ちつけにかかっていた。
稗田阿求は体が非常に弱い、ならば少しどころではなく、『そういう事』が成されているのは考えにくい。肉体的魅力の低さは、稗田阿求自身も強く自覚していて、一歩間違えば慧音やほかの女性に対する意味も理由も存在しない、暴力となって表れる。
それは○○も知っている、なのに肉体的魅力が決して低くはない雲居一輪に対して、そういう事を聞いたのは……きっと意味がある、そう上白沢の旦那は信じたかった。

次にまじまじと見た雲居一輪の表情は……果たしてこれが○○の思い通りなのかどうかはわからないが。とにかく、思い出を反すうして嬉しそうな顔をしていたが、曇るとまではいわないが残念そうな顔も見えた。思い出のある部分が、雲居一輪にとってはいささかの不満なのだろう。
「私ばっかりねぇ、誘うのは。別に構わないのに」
雲居一輪の表情は、はっきり言ってどうでもよかった。この答えに対して、○○の中でどのような推測があるのか、そっちの方が上白沢の旦那としては重要事項であったが。
その結果は、全くもってかんばしくは無かった。
○○は目じりをやや抑えながらなので、表情はあまり見えなかったが。上白沢の旦那と○○の付き合いは決して短くはない。それどころか、濃さまでも存在している。
目じりを抑えている○○の向こう側にある表情が、悪い意味である事にはすぐ気づいた。
「命蓮寺でのお仕事に、件の歩荷さんは、どれほど貢献されていますかね?雲居さんの目から見て。特に最近は」
「屋台村の連中にも、自分である程度は維持管理が出来るように教育してくれてるわ。すっごく、大助かり」
ただし、雲居一輪からの評価には惚れてしまったが故の、無理にでもよく見ようと言う力が働いている。○○は聖白蓮の方に目を向けて、正しいかどうかを確認しようとしていた。
「ええ、まぁ。特に食べ物系の屋台の方に、掃除をするように。自分が見ていない、出入り業者がいなくてもある程度は維持しろと、これは全部の屋台に言ってますね。紐の結び方も教えたりして……助かってますね。掃除が少なく済むだけでも、お寺の仕事に集中できますし」
○○は悪い予想を振り払いたいようだが、それが出来ずにいた。しかしまだ、断定するには早いと思っているのか。
あるいは間違いであってくれと確認したいのか、質問を再び雲居一輪に行った。
「雲居さん、最近は件の歩荷さんと、デートをされていますか?したいと言う雰囲気はありますか?そう、雰囲気です、お二方における」
「はっ……こんな状況だから。二人っきりで居られるわけないじゃない。あの人も、なんかめんどくさい事になってるなとは、理解しているから。早めに済ませようと考えてはくれているわ。あとは、屋台村の連中に色々教えるのが多くて、時間が押しているからすぐに帰るわね。私は別にいいのに」
上白沢の旦那には、はっきりと、○○が若干以上の絶望を感じているのが見えた。
しかしまだその切望を、知り合い以外には見せない方が良いと考えているのか、固い顔のままではあるが感情を出さずにいて。
「上白沢夫妻、ちょっと話がしたい」
二人の事を呼んで、奥へと行った。とうぜん、稗田阿求もついて来た。


「……不味い事になるだろう。雲居一輪は惚れすぎていて周りが見えていない、聖白蓮はこの状況に対して神経が参っていて、逃げるように寺の仕事がしたくて、気づくそぶりもないだろうけれども」
開口一番、○○は悪い状況を覚悟しろと言ってきたが。
正直な話、ここまで来たら上白沢の旦那にだって、色恋と言う物がそんなにわかっていなくたって、少しは察せられる。
確認するように慧音の顔を見たが、慧音もやはり少し、半笑いであったから気づいていたようだ。
稗田阿求は……どう転んでも夫の利益になればいいとしか思っていない。
「あの歩荷、物部布都だけじゃなくて、雲居一輪もふるぞ。責める事は出来ないがな……激突の真ん中にはいたくないだろうから」






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最終更新:2020年11月01日 00:11