終電にて
あら、○○、もうこんな時間だわ。これじゃあ終電が無くなっちゃったわね。………え?どういう事かしら?
そんな抜け道みたいな乗り継ぎなんて、一体どうして知っていたのかしら。全く…パチェの知識も当てにあらないわね。
いえ、こっちのちょっとしたことよ。それよりどうするの?まさかそんな綱渡りの方法で乗れるなんていうのかしら…。
そんなの簡単なことよ。○○が途中まで来てくれればいいわ。中間の場所までなら○○もちゃんと帰れる足があるで
しょうから。言った責任として実際に試してみればいいんじゃない?
ふふふ…。どうしたのかしら?まさか途中で電車が止まってしまうなんてね。よっぽどの事だったのかもしれないわね。
まあ別に酔った乗客のトラブルなんて、よくよく考えたらいつでも起こることだもの。単純に運が無かったのかも
しれないわ。それでどうしようかしら?○○が家に帰る電車も今は無いから、これじゃあ仕方ないわね。途中の大きな
駅に行きましょうか。そこならきっとバスかタクシーとかの、何かいい方法があるかもしれないでしょうし。
ほら、こっちに行きましょうか。
残念だったわね。こっちにもさっきの乗り継ぎのせいで人が溢れているなんて。三十分待って漸く数人が進んだだけ
なんだから、タクシーをいくら待ったとしてもこれじゃあ帰れないわよ。これから少し立てば雨が降るんだから、
もうどこか泊まれる場所に行かないと駄目ね。こっちの道なら明るいから人通りも多いわ。
もう、○○ったら。こんな道に行くなんて。さっきからグルグル同じ場所を回っているだけじゃない。これじゃあ
いくら歩いても同じよ。いつまでたっても泊まれる場所になんて着かないわ。もうあそこの場所にしましょう。
もう、別にいいじゃないの。○○がどんどん歩くお陰で、すっかり私歩けなくなってしまったんだから。
雨も降ってきたし別にあそこのホテルでもいいじゃないの。最近はこういう場所も普通のホテル代わりに
なってきたみたいなんだし、ここに入ったって別に気にすることはないんだから…。
ねえ○○……。こないの?こういう場所にきたのだから、○○も私となら大丈夫だからじゃないの?私も○○となら
大丈夫だからここに来たんだから、ね…。ほら、こっちに来て…○○。私とあなたがこうなる日。不思議な力でそうなる
ようになっていた。ううん、それが運命だったんだから。
感想
最終更新:2020年11月06日 00:08