『人生なんてクソゲーだ』
コピペパロディ
突然だが、このコピペを聞いたことのある者はいるだろうか。
私は〇〇、この居酒屋で従業員をしている者だ。
この居酒屋では外来人の男たちが主にやってきており、諸事情でほとんど女性はやってこない。
とはいえ来客はそんな状況でも不満を漏らすことはなく、むしろ安心して酒盛りをしている。
それは彼等の恋人達の独占欲の高さゆえであるが。
「お待たせしました、ご注文のねぎまでございます」
今私が商品を渡した男は△△、彼も同じ外来人であり長屋で働いていたがとある縁から鴉天狗に痛く気に入られてしまい、職業を彼女のアシスタントに強制かつ永遠に決定されてしまったのだ。
最初は拒否して逃走したのだが、天狗の圧倒的な性能の差に敗れて敢えなく彼女の下につくことになってしまった。
才能と言う名のゲーム開始時点での圧倒的な性能差に嫌気がさして社会から逃げようとしたら、天狗の生まれ持ってのアクション性能の差で相手にもならないのは気の毒としか言いようがない。
「おい〇〇、次の料理が完成したからあの客に渡してくれ」
「はいただいま」
店長から渡された皿を渡されて注文を出した客の方へと歩いていく。
「こちら、ご注文の唐揚げ定食でございます」
ゲッソリとした男性の□□に多めの量の料理を渡す。
彼は紅魔館で執事をしており、やつれ様からその気に入られている程が察せるだろう。
よほど激しく絞られているのだろう、いたたまれなくて私は声をかけられなかった。
大きな集団で自分にほとんど興味を示さない事と、小さな集団で全員が過剰な愛情表現をする事はどちらがの方がいいのだろう。
攻略キャラが全員ヤンデレのハーレムゲーはクソゲーだろうか、それとも神ゲーなのだろうか。
私が答えを出すことなど到底不可能であった。
「すみません、サラダのお代わりをお願いします」
「承りました」
この店に来てからずっとサラダばかりを食べている青年★★、何でも彼は蓬莱人の肝臓を食べさせられたことがあるようでそれ以来食肉がトラウマのようであった。
蓬莱人の肉とは、それを食べた者を食べさせた者と同じ不老不死にさせてしまう恐ろしい食べ物だ。
普通の人間なら残機は一つで制限時間も80年くらいである事を考えれば、残機無限で制限時間も撤廃という修正はとても魅力的な物に見えるかもしれない。
しかし、夏休みも新鮮な事がなければ退屈なだけになる、
外の世界ならまだしも、この閉塞的な幻想郷で新しい事がこれからずっと起こるなどという機会がどれほどあるだろうか。
制限時間もなく同じ事の繰り返し、などというゲームもまたクソゲーではないだろうか。
私は店長に★★のオーダーを伝えると、店長から命じられた皿洗いの作業に入る。
1人皿を洗いながら物思いに耽る。
先人は、このゲームのクリアの鍵は樹海にあると言っていた……そして私はそれを実行した。
しかし実際はクリアどころか、ステージが変わり難易度が上がってしまっている……ゲームは、リアルはまだ続いている。
「攻略サイトもあてにならないなぁ……」
誰にも聞かれないように小声で呟く。
これは不正にゲームをクリアしようとした事へのペナルティなのだろうか。
『にゃーん』
あ、窓の外に猫が。
やっぱりめっちゃ可愛いな
最終更新:2021年06月06日 15:42