「俺達であの野郎の旦那を探すのは良いが、どうするんだ?」
上白沢の旦那は自然と、先ほど聞き取りを行った女性の事を普段の口調とは全く変わって、あの野郎等と表現した。
「似顔絵が得意な者を、うちから呼んでくるよ」
だが○○は、上白沢の旦那の疑問にも答える形であるいはその疑問を彼は抱くだろうと思っていたのだろうか、するりと返答をしてくれた。
○○が上白沢の旦那に堪えた言葉は少しばかり大きな声だったので、稗田阿求が用意している護衛兼監視の者達にもすぐに届いてくれて説明の手間が省けた。
手の者達の中から1人が恭しくお辞儀をしてくれたと思ったら、すぐに走って行ってしまった。
稗田邸に戻って、似顔絵の上手い奉公人を連れてきてくれるのだろう。
「色々いるんだな、稗田邸には」
上白沢の旦那はこれからやってくる似顔絵の上手い奉公人の存在に、少し笑いながら○○に呟いた、けれどもその呟きはあくまでも大した意味は無かった、すぐに消えてなくなる軽い言葉だったのだが。
「ああ。色々とやれる昼用があるからな、稗田家は。家格を守るためにも」
○○からの返答は、自嘲気味ではあったが少し、けれども確実にどう猛さと攻撃性の存在する黒々とした物であった。
「……そうか」
別に上白沢の旦那も、稗田家が実はそんなに清廉な存在ではないと言う事ぐらいは、もうとっくに知っている。
市中の清いとは言えない情報や情勢を手に入れるために、高利貸しまで営んでいる事はおろか。
○○は自分の財産が横領された時に阿求に陣頭指揮を取らせては血の雨どころじゃなくなると危惧して、拳銃を使って何人かを始末したことまであるが。
特に○○が拳銃を使った一件は、永遠亭まで抱き込んでよくある事故や病気にまで話が小さくされてしまった。
その事を急に思い出した上白沢の旦那は、ただただ黙るしかなかった。

「まぁ、あの連中がロクな評判を得ているとは思えん。適当に近所の人間に話を聞くだけでも、色々と情報は手に入りそうだ」
稗田家の暗部を不意に思い出した○○は、不機嫌では無いのだけれどもやや怖い雰囲気を出しながら歩きだした。
上白沢の旦那は、意図していないとはいえ彼が不意にこの状況を作ってしまった以上は、黙って○○の後ろを歩くしかなかった。
彼はこの雰囲気を直視したくなくて、そういえばと言う思いもあるけれども、東風谷早苗の方向を見た。彼女は相変わらずついて来るだろうとは思っていたけれども……。
始めから妙に楽しそうだったから、まだそんな様子であった方が、さっきと同じだから上白沢の旦那としてもうんざりとはするが、それだけで終わってくれたのだけれども。
東風谷早苗は○○から醸し出された、明らかに怖い雰囲気を見ながら…………あってほしくない事だったが、どこかうっとりとした顔つきで○○の事を、東風谷早苗は見ていた。
間違いない、東風谷早苗は――人里どころか幻想郷を割りかねない事をしでかしかねない。

上白沢の旦那は見て取ってしまった、○○に対してうっとりした様な東風谷早苗の姿に息を詰まらせてしまった。
「行くよ」
そこに○○がまた、上白沢の旦那に対して……今度は先ほどよりも強く、痛いぐらいの力で引っ張ってきた。
「○○、伝えておきたい事がある」
幸運にも○○に近づけた事で、上白沢の旦那は自分の感じた懸念と言うにはあまりにも大きな問題を、○○に伝える機会と言う物に恵まれた。
気と言う物は、はっきり言って重いけれども。だからと言って言わないわけにはいかなかった、自分も○○も一線の向こう側を確かに妻としてしまったのだから。そしてその恩恵も受けている。
「分かっている……」
○○は重々しく分かっているとだけ言ったが、さとり妖怪ではない彼には本当に分かっているかを理解するまでは、そしてやはり何度でも思い出さねばならない事であるが、一線の向こう側を妻としている以上は、万に一つであろうともこの事は○○の耳にしっかりと入れておきたかった。
「東風谷早苗の事だ、彼女は○○、お前の事を……あの様子だと好きになってしまった可能性があるぞ。あれはファンと言うには熱っぽ過ぎる」
「だから無視しているんだ、君も気づいているのだったら丁度いい。出来る限り横にいてくれ、この席を空けないでくれ」
上白沢の旦那はすべてを言い終えたけれども、○○も先に言った重々しくも分かっているとつぶやいた言葉に間違った部分は無かったけれども。
事態はまだ始まってすらいない事は明らかであった。
「今は東風谷早苗を無視し続けろ、君からのこの依頼が何とかなってからこの件については考える。この依頼は子供絡みと言う部分で阿求が暴走しやすい」
確かに○○の言う事は道理ではあるが。
けれどもこの一件を片付けた後の一件も、同じように稗田阿求の暴走を招きやすいのである、その上東風谷早苗は健康無事な存在であるから……
下手をすれば、解決の見込みがないかもしれない。上白沢の旦那は身震いした。

「ねぇ」
○○が重々しい顔を解けず、上白沢の旦那は終わりのない対応に身震いした折に。
東風谷早苗ほど勝手ではないが、付いてきている純狐が声を出した。
上白沢の旦那はびくっとしたけれども。
「何でしょう?」
○○への横恋慕の可能性が無い純狐の方が、○○からすれば怖くない相手であった。
○○の置かれている状況は特殊過ぎて、本来ならば恐れるべき相手の方が恐れずに済むという状況に陥っていた。
だけれどもそれは上白沢の旦那にしたってまったく同じであった。

「そのクソッタレ男の顔なんだけれども、私がしっかり覚えているから。私が稗田邸に行きましょうか?その似顔絵が得意な人に描いてもらうの」
「名案だ、手間をいくつかはぶけそうだ」
○○は二つ返事で純狐の提案に賛同して、懐から筆記具を取り出して紙片にさらさらと何かを記し始めた。
「門番にこいつを渡してくれれば入れてくれる」
「ありがとう」
純狐は自分の提案に○○がとても乗り気であった事に、この場で初めて笑顔を見せた。
ため息が出るほどにきれいな笑顔、そんな表現ですら生ぬるいのではと思わせるのが純狐の持っている怪しい魅力であった。
クラウンピースは自分の主人の友人である純狐が、稗田邸の旦那様である○○からの賛同があるとはいえ、いきなりここまで立ち入っても大丈夫だろうかと言う不安げな顔をしていたが。
「大丈夫だよ、クラウンピース。阿求の妖精嫌いは、八割がた完成していた書類にインクをぶちまけられた恨みで昂りやすいだけなんだ。本気と言えば本気だが、憎しみがあると言うわけではない」
けれども○○は、上白沢の旦那にも分かるほどに明らかにずれた答えをクラウンピースに提供していた。
クラウンピースの口元も、表情を見ればわかるようにそうじゃないんだけどな……と言う事を言いたがっていたが。
「じゃあ、また後でね」
純狐はこの一件を一秒でも早くに解決したいという思いしかなかったので、○○の出した明らかにずれた答えに対しても、お義理の笑顔すら向けずにふらっと歩き出してしまった。
クラウンピースは慌てて純狐を追いかけて行ったし、残った稗田家からの手の者である監視兼護衛の者たちも、あたふたしながらも二手に分かれて純狐を追いかける物と残って○○たちを警護するものに分かれた。
ただ間の悪いことに、最初に似顔絵かきを呼びに走ったのが1人いるしこの場で二手に分かれてしまえば、監視と護衛を担ってくれる手の者たちはぐんっと少なくなってしまった。
○○も上白沢の旦那も少し心もとないなと言う、本来ならば贅沢な感情を抱いてしまったけれども、東風谷早苗はこの一気に少なくなった人手に心を良くしていた。

「大丈夫ですよ」
うきうきした様子の早苗の声に残った者たちは少し、ぎょっとした顔を浮かべて彼女の方を見る事となった。
「私、強いですから。とっても」
この自信満々の言葉に残っていた護衛兼監視の者はと言うと、確かにその通りですけれどもね……と言う様な苦笑を浮かべていたけれども。
ふいに、早苗から見えているうきうきとしたような雰囲気に真面目で少しばかり戦慄したような顔を浮かべ始めた。
気づき始めている、と言う事だ。東風谷早苗が何を考えているかと言う事に。
いやそもそも、東風谷早苗からは隠そうという気配が見えないからこれは時間の問題所か、ようやくとすら言っても良かった。
しかし○○は如才なく、この空気の変容にも気づいてくれていた。○○は残った稗田家の手の者たちに近づいて、ゆっくりとながらもしっかりと言い含めるように。
「今何かを東風谷早苗から感じ取ったはずだけれども、この一件も俺と阿求が何とかする。よほどの事をしない限りは、東風谷早苗の事は放っておいた方が良いから、どうかそうしてくれ」
そう言って東風谷早苗からは、警戒心はこのまま抱くべきだけれども手を出さないようにと、残った者たちに命じていた。
稗田家からの手の者たちは恐々と、早苗の事をちらちらと見ていたけれども。そもそもの段階で、東風谷早苗を止めれる存在は、実はそんなに多くない。
東風谷早苗が、彼女の所属している勢力である守矢神社が妖怪からの信仰も得ているものの、どちらかと言えば人間の側に立っているから分かりにくくなっているだけで。
本来ならば東風谷早苗は、巫女に魔法使いに悪魔の館のメイドや冥界の剣士兼庭師、これらと同列の存在であることをいまさらながらに思い出した、そんな様子で○○から命じられた遠巻きにしながら警戒したままを維持、と言う言葉を有難く受け取ったような気配であった。

稗田家からの手の者たちが、そもそも本来は自分よりも阿求の命令を優先する存在達が、○○からの言葉を聞いてくれた事で。
○○が綱渡りに成功したことに、○○自身が最も安堵していた。ただしその顔は、上白沢の旦那にしか見えない、そういう位置でしか見せていなかった。
そのまま○○は……相変わらず上白沢の旦那の手を、子供でも連れるかのように引っ張って連れて行ってくれた。
意図はすぐにわかった、東風谷早苗が入り込んでこないためだ。一片も隙を与えてはならないのだ。
○○のためと言うよりは、何よりも○○以外の為にだ。
一線の向こう側のどうしようもない習性、あるいは特徴なのだけれども。例えば阿求が○○に、上白沢慧音がその旦那に対しての場合、好いている相手にはめっぽう甘いのに。
自分とすいている相手との仲に関して、邪魔や障害と思ったならば周りへの被害をまるで考ええずに動くことが往々にしてあるのだ。
……特に稗田阿求は人里の最高権力者だ。そんな存在が○○以外を気にしなくなったとすれば、想像するだけでも恐ろしい。
東風谷早苗は少しイライラし始めているのが、雰囲気や気配で何となく察したけれども。稗田阿求をイライラさせるよりは絶対にマシである。
「……阿求を苛むよりは、悪くない判断のはずなんだ。しかし……いや、東風谷早苗の事は放っておくが邪魔はしないでおこう、今はこれが限界のはずなんだ」
しかし……本当にマシなのか?と上白沢の旦那は思っていたら、どうやら○○も同じように考えていたらしく独り言を呟いた。
綱渡りはまだ続いていると言う事だ、しかもさっきよりもその綱は細くてもろかった。


しかし東風谷早苗が不味い領域に達しているのは、これを知っているのはまだまだごく一部の人間だでけあった。
少なくとも今はまだ、そして願わくばもうしばらくは、東風谷早苗の姿には間違いなく神通力が存在していてほしかった。
それが穏当であるのだから。
「失礼、少し聞きたい事があるのですが」
実際、○○が横に上白沢の旦那を連れながら、真っ先に目にした近隣住民と思しき男に話賭けた時も、その男は人里の住人らしく○○と上白沢の旦那が連れ立って歩いている事に、2人の役割を知っていてくれて驚きと興奮を抱きつつも。
東風谷早苗の姿に今日は良いものを見れたという、恍惚とした表情を合ったが。
それを通り越して、涙まで流していた。
「ようやく助けが来たんですね」
そして意味深な事をつぶやいた。

「お詳しそうだ」
○○は当たりを引いたはずなのだけれども、他に考える事が多すぎてあまり喜んだ風を出す事が出来なかったが、むしろそっちの方が威厳のある姿と言うのが運のいい奴めと言う思いを上白沢の旦那に……普段ならばもっと強く感じたであろう。
「あの兄弟の悲鳴に何も出来なかった自分が憎くて仕方がなかった」
だが目の前の男はどうやら大人しいけれども、内面は興奮しきっているせいなのか抽象的な言葉を呟くのみであった。
「抽象的過ぎる」
案の定○○もそう、はっきりと言ってくれた。
「自分の子供を殴ったり蹴ったりするものなど、鬼ですらありません」
「鬼ですら自分の子供はずいぶん大事にする、鬼子母神のようにな……そうだろうなとは思っていたが、確かか?」
男に問い返してる○○は歯をギリギリとやっていた。
子供を持つことを諦めている○○には、子供が、それも実の子を苛んでいる親と言う物にまた苛立ちがぶり返してきたようであった。
そもそもこの一件、始まったのは今日の朝からだけれども始まってからはずっと、○○は落ち着きを奪われ続けていた。
イライラしていたり青ざめていたりなど、感情の面では色々だけれども落ち着いているとは程遠いのは明らかであった。
「私以外にも大勢が聞いていますよ。同じような答えを返してくれるでしょう」
男は自信をもって、○○の目を見て答えてくれた。○○の性格から言って少なくともあと一人か二人ぐらいは聞くだろうけれども、疑問をさしはさむ余地はなさそうであった。

「男の方について聞きたい……あの兄弟の父親らしい男についてだ」
だが○○が次の質問に、あの兄弟の父親について聞き始めたら質問に答えてくれる男は、急に辺りを見回し始めた。
「恐れているようだな」
○○はそう言ったが、だれの目にも質問を受けている男は何かに怯えた風であった。
「ずいぶんな乱暴者のようだな……その男は」
○○からの質問に、男はコクリとだけ頷いた。
「筋者なのか?」
「本物はあんなに自慢しませんよ、遊郭とかかわりがあると自慢していますが……ああ、そのう」
口走ってから、稗田阿求が遊郭をはっきり言って嫌っている事を思い出して男はしどろもどろになってしまった。
さすがに可愛そうだと○○は思ったようで。
「本物はもっと立ち振る舞いに気を付けるな。忘八たちのお頭のように、むしろ品良くして腹の底を隠す。腕っぷしは、あっても別に損はしないし手に入るならそれに越したことはない物の、それしか自慢しないのは三流も良い所だ」
「ええ、まったく」
○○の方から遊郭の、それも遊女を使っている忘八たちのさらにお頭の話題を出したことで。
目の前の男は不用意に遊郭の話を出した事への罪悪感が無くなったどころか、忘八たちのお頭の話を出したことでそこまでの人物ともあった事があるのかと言う、羨望のまなざしを注いでいた。
だが○○はと言うとそう言う羨望のまなざしは、今回の場合は少し嫌がっていた。
「いいから、話の続きを」
「は、はい。それでまぁ、あの男は遊郭をしょってたつ風な自慢話、そこまで行かなくともゆうかの守りての様な話をよくしますよ……飲み屋でアイツの顔を見かけたり、あるいは後から来たりしたら本当にうんざりします」
「ああ……気取っているな」
○○は皮肉気な笑みでうんざりとした感情を少しでも打ち消しながら、この男に対して聞き取りに協力してくれた事への礼をていねいに述べながら、次の聞き取りに協力してくれる人間を探した。

その後も○○と上白沢の旦那……そして東風谷早苗の姿が持つ神通力が抜群に役立って、聞き取りは順調に進んでくれた。
だが聞き取れた内容は、最初の男が喋ってくれた事とほぼ同じであった。
特にあの兄弟を身も心も虐げている事、遊郭が好きだという話は、どの者も口をそろえてくれた。
「決まりだな」
どの者も同じような証言をしてくれた事で、○○は結論づける事が出来たけれども。
聞けた話は酷い物ばかりなので、○○の表情は彼らしくも無く獰猛に歪んでいたし、上白沢の旦那はうんざりしすぎて感情が希薄となり、東風谷早苗は涙まで流している。
○○たちのそばで護衛と監視を担ってくれている稗田家の手の者たちも、イライラと悲しさを同時に感じていた。

だが、○○の言葉尻からいったん稗田邸に戻るのだろうと上白沢の旦那は思ったのだけれども。
はたと、○○は立ち止まって何かを考え始めてから、東風谷早苗の方を向いた。
その時の○○の顔には絶望に近い印象を、上白沢の旦那は受けてしまった。
すぐに上白沢の旦那も○○の覚えた、絶望的な考えに気づいた。東風谷早苗が付いてきたらどうしよう、である。
既に東風谷早苗が○○に興味や執着、程度であれば良いのだけれども、どうやら好きになり始めている事実は疑いようがない。
少なく見積もるにしても、一線の向こう側の中でも特に危険な、稗田阿求を嫁にしている○○に東風谷早苗は近づこうとしている、これだけは間違いがなかった。
どう考えても稗田阿求よりも肉体的魅力のある、東風谷早苗がである。こうなるとチラチラと見える腋も恨めしく思えてくる。魅力を感じるから恨めしいのだ。

「ああ、ああ……うん」
○○は人差し指を中空でくるくる回しながら、取り留めのない言葉を繰り返していたが。明らかに何かを考えている顔だ、そして指をくるくる回す妙な動きも時間稼ぎだと、上白沢の旦那には理解できた。
だがそれは東風谷早苗だって理解していた。理解して、少し悲しそうな顔をしていた。
だがまだ部外者である上白沢の旦那にはそれを見て、理解が出来たけれども。渦中で難しい判断を連続で迫られている○○は、東風谷早苗から発せられる悲しそうな同情をしていそうな目線、それに気づく余裕はなかった。
「そうだな、東風谷早苗!」
そうしているうちに、○○の中ではいい案が浮かんでくれたようだ。ただ、上白沢の旦那からすればもうこの際に置いてははっきりと、突き放しても良かったのではないかと強く思っていた。
「東風谷早苗!純狐が協力して作った似顔絵を一枚持って行ってくれ!!たぶんアイツは遊郭街にいる可能性が高いから、君なら洩矢諏訪子にも話を通しやすい!」
言っている事は最もだけれども、声の調子が明らかに今の○○はおかしかった。
そんな○○を見て東風谷早苗は、ますます悲しそうな感情を○○に向けていたが。少しばかり思い直して、ほんの少しだけれども笑顔を向けた。
「ついて行っていいんですか?」
「…………」
また○○から長い沈黙が現れた。しかし早苗は、これは予想の範囲内であったらしく悲しそうだけれども愛おしそうに、コクコクとうなずくだけであった。
その間も○○は目線を右往左往とさせて、考えを巡らせた結果。
「門の前で待っていてくれ」
ようやく距離を取れる答えをひねり出す事が出来た。
そして○○は不格好な振り向き方を上白沢の旦那に見せながら。
「よし!いったん帰るぞ!!」
相変わらずおかしな調子で、上白沢の旦那の腕を引っ張りながら歩き……と言うよりは駆け足であった。





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最終更新:2021年06月06日 16:02