「〇〇、そこの醤油とってもらえるかしら」
「はい、どうぞ」
「ありがとう〇〇。」
僕は〇〇。幼い時にここ白玉楼に迷い込みそのまま[[幽々子]]様に拾ってもらった人間だ。
家事をするかわりに住まわせてもらっている。最初のころは妖夢さんの手助けがないと全くダメだったのが今は1人でこなせるほどにまで成長した。

「〇〇疲れたー肩揉んでー」
「はいはい」

第一印象は不思議なお姉さんといった感じだったのだが全然違った。ダメダメだ。

「〇〇ー羊羹持ってきて羊羹ー」

本当にダメダメだ。



私の可愛い〇〇。
とっても可愛い。
いつも私のために頑張ってくれる。尽くしてくれる。ああいいわ。興味本意で拾ったけど大正解。彼は最高よ。
でも所詮人間。時の流れには逆らえない。
んー、このまま彼が老いていくのを見るのもいいけど今の可愛い可愛い姿のまま殺しちゃうのもアリかも♡

〇〇と最初に出会ったのは幽々子様が「この子、家で育てるわ」と言いながら連れてきたときだった。
幽々子様に家事のやり方や言葉遣い、礼儀を教えなさいと言われたので毎日付きっきりで教えた。
〇〇は物覚えがよく、すぐに色々な仕事を1人でこなせるようになった。彼のおかげで私の仕事も減り、剣に費やす時間が少し増えた。
ある日〇〇に、
「妖夢姉、僕に剣を教えてくれない?」と言われ、
理由を尋ねると
「僕も何か費やすものがほしい」と答えた。

人に教えるのは始めてだったが〇〇はどんどん上達していった。〇〇が剣を握った時は普段の、のほほんとした様子とは全く違ってなんというかカッコよかった。これが前に紫様が話していたぎゃっぷもえというやつなのだろう。

今日も剣の稽古をしようと思ったのだが、幽々子様が〇〇を連れて行ってしまった。なんだろうかつまらない。

今日は剣の稽古の予定だったが幽々子様が桜を見に行こうと仰ったので桜を見に行くことになった。妖夢姉には後で謝ってまた後日教えて貰おう。

「〇〇、綺麗でしょう?この桜。」
「綺麗ですね幽々子様。」
「ねえ…〇〇は……死ぬなら…どんな死に方をしたい?」
「え…?」
「椿のように華やかなまま死にたい?」
「桜のように舞いながら死にたい?」
「朝顔のようにどんどん衰弱していって静かに死にたい?」
「なんでそんなこと聞くんですか…?」
「え、あなたを今ここで殺すからよ」
「なんで…?なんでですか幽々子様!」
「ふふ、焦る〇〇も可愛い♡」
これは非常にまずい。逃げなきゃ。
「逃げられないわよ。」
次の瞬間には僕の上に幽々子様がいた。早い。
「理由を教えて欲しいんですが。」
「あなた最近妖夢にばっか尽くしてない?」
「は?」
「あなたは私にだけ尽くせばいいの。剣なんて振らなくていい。あ、大丈夫よ。死んでも亡霊になるだけだから。ただちょっといじるけどね。」

周りに鮮やかな蝶が現れた
「なにするんですか…?」
「んー?あなたを私しか見れなくするの♡」
蝶が舞い始めた
「おやすみ。また会いましょう。」
僕は意識を手放した。



幽々子様が帰ってくるなり、「〇〇を亡霊にしたわ。」と言うもんだから凄く驚いた。でも〇〇と過ごせる時間が長くなったことは嬉しかった。剣の稽古もたくさんできるだろう。私は〇〇を探した。
彼は幽々子様の傍にいた。

「〇〇ー、お菓子食べたいー。持ってきてー。」
「はい。」

相変わらず幽々子様はわがままだ。〇〇をあまり酷使して欲しくないのだが…。
お菓子を取りに行った〇〇に私は話し掛けた。

「〇〇」

きこえなかったのだろうか。

「〇〇」

返事は無い。私が何度呼びかけても彼からの返答はなかつた。おかしい。亡霊になったばかりだからいっぱいいっぱいなんだろうか。でも不可思議だ。

実は〇〇を亡霊にするとき私だけの言うことをきくようにしたのよね。正解だったわ。可愛い可愛い〇〇はずっと私の為だけに生きてくれる。今度ご褒美でもあげようかしら。うふふふふ


〇〇が剣を握らなくなった。それどころか私の言うことに耳を傾けない。1人で剣を振るだけでは何か足りない。苦しい。寂しい。亡霊になってから〇〇はおかしくなった。光の無い目、無機質な返事。幽々子様がなにかしたんだ。それ以外に可能性がない。


妖夢が来たわね。さあなんて言われるかしら。まあ大体予想はできてるけど。でもあなたの言うこともきくようにはしないわ。だってせっかく独り占めできているのに簡単に手放さないわ。ああ可愛い可愛い可愛い可愛い私の〇〇。私だけの〇〇。

「〇〇になにをしたんですか幽々子様。」

「んー?別にぃ?ただちょーっといじっただけよ?」

このくそ女。ちょっとじゃないでしょう。ちょっとだけなら〇〇はあんな風にはならない。

「〇〇を戻して下さい。」
「それは出来ないわ。」

幽々子様が笑ったのと同時に蝶が舞った。

「別にいいじゃない。1人で剣に没頭できるわよ?今まで〇〇に教えてた時間がなくなるのだから。」
「全然よくないですよ…〇〇がいないと…」

〇〇がいないと…………?私はなんのために剣を振っているのだろうか?……………………………いや、私が剣を振る理由は〇〇だ。〇〇と一緒に剣を振り、〇〇と一緒に成長する。それが目的だ。でも今の〇〇は剣どころか私にも興味を示さない。ずっと1人で剣を振るなんて嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい。心が締め付けられるような感覚に陥る。戻すしかない。ここで幽々子様を殺して永遠亭にでも連れていくしかない。そうでもしないとずっと私は1人だ。

「幽々子様……」
「何ー?妖夢。」

相変わらず幽々子様は笑っている。

「死んでください」

その刹那私の視界は鮮やかな蝶のみになった。



なんとなく予想はしてたけど襲い掛かるとはね。まあでもこれで〇〇と2人きり。嬉しいわ。永遠に私と2人きり。


幽々子のところに遊びに行った際、1人の半人半妖がいないことに気づいた。どうしたのかと聞いたら出掛けているとのこと。
珍しいわね。私が来る時にはいつも居るのに。
それより
「幽々子なんかいいことあった?」
「んふふ。秘密♡」

そう言って幽々子は笑った
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最終更新:2021年07月24日 08:07