こりゃあやっちまったね。
「おはようございます?」
傍らには若い男が一人。さっき森の中で行き倒れてたのを攫ってきてしまった。理由なんてものはないが、強いて言うなら一目惚れだろうか。
これがバレたら霊夢あたりにはどやされるだろう。それでどうにかなるわけではないが、あまり気分は良くない。
いや、服装をよく見てみれば外来人のようであるし辛うじて問題ないのかもしれない。
「あんたは自分の状況がどんななのか分かっているかい?」
「山奥で車がエンストして助けを求めて彷徨ってました。助けてくださったんですよね?ありがとうございます」
「えんすと?が何かは知らないけど、こりゃ分かってないね」
さてどうしたものか。外来人なら霊夢か里の守護者に引き渡すのが一番穏当なのだろうが、それは少しもったいないように感じる。なかなか良い男だ。外来人は里の人間とは違ってどう料理しようと問題にはならないのだし……
「あんたは私に攫われたのさ。もう二度と人里には戻れないよ」
「えっと、それはどういう──」
戸惑う彼を押し倒して黙らせる。
「ここは幻想郷、忘れ去られた妖怪達の行き着くところさ。私らみたいな人攫いの鬼に出会っちまった運命を恨むんだね」
小さな私の体からは想像もつかない怪力に彼は怖じ気付いたらしい。抵抗しないわけではないがその力は明らかに弱かった。
「物分かりの良い人間は好きだよ」
私は彼の足に枷をはめた。これで彼はここから動けない。
「そんなに怖がるないでくれよ、一緒に酒でも飲もうじゃないか」
その日から私の塒での○○との生活が始まった。
感想
最終更新:2022年02月07日 23:22