朝起きたらガリバーだった。
ベッドに縄でグルグル巻きに縛り付けられていて動けない。
かろうじて自由の利く首を回せば、頬を赤く染めて俺を見詰める灰色の髪の少女がいました。
「
ナズーリン、これはどういうつもりで?」
「だって、こうすれば君の顔がよく見えるだろう?」
「しかしナズ、これだとお前を抱き締められない」
「……なんということだ。そんなことにも気付かなかったなんて」
翌日。
昼、仕事に出掛けようとしたら玄関のドアが開かない。
ふと視線を感じて振り返れば、頬を朱に染めてこちらを見詰める灰色の髪の少女が。
「……これは?」
「だって、こうしておけば仕事なんてモノに縛らずにいつまでも君と一緒にいられるだろう?」
「しかしこれだとナズ、お前をデートに連れて行けない」
「――なんて、こと」
そんな、毎日。
最終更新:2021年08月10日 05:43