「ここはどこだ…」
彼の名前は〇〇。起きたら家のベッドの上ではなく知らないところで目覚めていた。
「とりあえず辺りを散策するか」
〇〇はあてもなく動き回る。
紫色の空。
植物も動物も全く居ない。
どこまで行っても同じような景色が広がっていた。
「誰かいませんかーって誰もいないか…何も無いし、ここからどうしよう…」
脱出の糸口が見えず、絶望していたそのとき
「貴方は誰?」
後ろから声が聞こえる。振り向くと、6枚の大きな天使の翼を持ち、杖を持っている白い長い髪の美しい女性が立っていた。
「えっと…あの…僕の名前は〇〇です…」
「そう、私の名前はsarielよ。別名死の天使とも呼ばれているわ」
「死の天使…ですか…」
「そう、死の天使よ。でも貴方を殺すつもりはないわ。そんなことより、何故貴方のような力無き人間が魔界にいるの?」
〇〇はこの状況に混乱しつつも、必死に今の自分の状況を説明した。
「なるほど…家で寝て起きたらここにいたと言うのね。」
「はい…そうなんです…」
「神崎のイタズラかしら…まぁいいわ、ここは魔界。貴方の住んでいた世界とは全く違う世界よ。」
「魔界ですか…」
「そう魔界よ、信じられないかもしれないけれど。それより貴方、どうせあてもないんでしょ。」
「はい…そうです。」
「なら帰る方法が見つかるまで、私の家に泊めてあげる。ほら、いくわよ」
〇〇はsarielに抱き抱えられsarielの家に連れて行かれた。
「ほら、着いたわよ。ここが私の家よ。2階に行って突き当たり真っ直ぐ進んだところが貴方の部屋になるから。自由に使ってちょうだい」
「何から何までありがとうございます。」
「別にいいわ。それじゃあ私は出かけるから、危ないから勝手に家から出ないでちょうだいねー」
こうして〇〇とsarielの同居生活始まった。〇〇はとても律儀な青年だった。突如現れた見知らぬ人間を保護してくれたsarielに何かお礼をしたいと思ったのだ。
「よし、家事も終わったし、晩ご飯の準備もできた。勝手に色々使っちゃったけどsarielさん喜んでくれるかな…」
するとドアが開く音がした。
「〇〇帰ったわよー。ってこの料理〇〇が作ったの?家も綺麗になってるし…」
「はい、そうです。sarielさんに少しでもお礼がしたくてやってみたのですが…」
「いい出来栄えね。ねぇ、この料理食べてもいいかしら?」
「はい!どうぞ!家事全般は終わらせていますので、ゆっくりお休みください」
「貴方すごいわね…これなら、あの神崎のところのメイドにも勝てるんじゃないかしら」
「いえいえ、僕はメイドさんに勝てるほど家事なんて出来ませんよ」
こういった生活が数ヶ月ほど続いた。〇〇は少しでもsarielにお礼をするために、とても働いた。家事全般や、sarielの話し相手になる、sarielが居ない時の客人の相手をするなどその仕事は多岐に渡った。
ある日、〇〇はsarielにとある事を聞いてみた。
「何故、あの時見ず知らずの人間である僕を家に泊めてくれたんですか?」
「理由を聞かれると答えにくいわね…」
しばらく考え込んだ後sarielはこう言った。
「1人は寂しいから…かしら。私は、ずっと魔界で1人だったわ、神崎などの友人はいるけど、1人でいる時間の方がとても多い。でも神崎にはメイドがいる、絶対に裏切らないメイドが。でも私にはそんなの居ないわ、家に帰ってもずっと1人、長年1人で生き続けるのも辛いのよ」
「…」
〇〇は黙ってsarielの話を聞いていた。すると、sarielが泣き出してしまった。〇〇は優しく慰めた。
「sarielさん今まで辛かったんですね。でも大丈夫です。僕がいますから、僕はsarielさんにとっては頼りないかもしれないけれど、sarielさんの事絶対に裏切りません。」
sarielはその言葉を聞くと、〇〇に抱きついて泣いた。〇〇は何も言わずに抱き返した。
その日からsarielは明確に〇〇の事を手に入れたいと思うようになった。前々から〇〇に対する説明できないモヤモヤとした気持ちはあった。しかし、今回の件でその気持ちが爆発し、歪んだ愛情となってしまった。
ある日のことsarielの居ない時に、客人が訪ねてきた。
「はーい。今行きます。って魔理沙さんと、靈夢さんじゃないですか!どうぞ上がってください。」
〇〇と魔理沙と靈夢の出会いは、sarielが〇〇の事情を話して、実際に会ってほしい。と頼み、sarielの家を訪ねたのが始まりである。
そして、〇〇が外に帰るための方法を探してくれたのである。
魔理沙「久しぶり、〇〇。お邪魔させてもらうわね。」
靈夢「〇〇久しぶり。邪魔するわねー」
〇〇は2人を居間に案内し、お茶とお菓子を出した。
「今日は何のご用何ですか?」
靈夢「何とね、〇〇が外界に帰る方法を見つけたのよ!私が見つけたんだから、お賽銭していってよね」
魔理沙「靈夢、私も協力したんだから手柄を横取りするのやめてくれる?」
靈夢「何よ、実際に見つけたのは私じゃない!」
魔理沙「あら、そんなこと言うなら、神社をまた壊してあげようかしら?神社は壊されるためにあるしね」
「2人とも落ち着いてください。それにしても、帰る方法が見つかったなんて…2人には感謝してもしきれません。ありがとうございます!」
靈夢「別にいいのよ。外界人を元の世界に返すのも私の仕事だしね。それより早くお賽銭を…」
「2人ともそこで何をしているの?」
靈夢が言葉を言い終わろうとしたその時、聞き覚えのある声が聞こえた。
後ろを振り向くとそこには怒った表情をした、sarielが立っていた。
「sarielさん…?」
靈夢「sariel!あんたいつの間にそこにいたの?」
「そんなことはどうでも良いわ!早く出て行きなさい!」
sarielは怒った様子で正体不明の物体を杖から出した。
靈夢は間一髪でそれを避けた。
「ひっ…!」
靈夢「危なっ!sariel何するのよ!」
魔理沙「霊夢!ここに長居したら危ないわ!早く逃げましょう。〇〇も早く!」
魔理沙は〇〇の服の襟を掴むと、窓を割り、そこから靈夢と一緒に空を飛び、逃げようとした。
しかし、 
「魔理沙!手を離しなさい!」
sarielは〇〇の襟を掴んでいる魔理沙の手に向かって、霊夢に放ったのと同じ物を放った。
魔理沙は避けようとして〇〇の襟を離してしまった。
魔理沙&靈夢「〇〇!」
「魔理沙さん!靈夢さん!」
魔理沙は手を伸ばしたがそれは届かず〇〇は落下し、気絶してしまい、sarielに受け止められた。
靈夢「sariel。アンタ何でこんなことすんのよ!」
魔理沙「そうよ!〇〇を離しなさい!さもないと弾幕をぶつけるわよ!」
「うるさい!いいから出て行きなさい!」
そう言い放つとsarielは弾幕を乱射した。
靈夢「マズイわ…話も通じなさそうだし、私達じゃ敵わないわ、魔理沙応援を呼びにいくわよ!」
魔理沙「言われなくてもそうするつもりよ!」
2人は怒り狂い、弾幕を乱射するsarielに危険を覚え、応援を呼びに行った。
sarielは2人が去った後気を失った〇〇を見つめた。
しばらく見つめると、怪しい笑みを浮かべ、こう言った
「ねぇ、〇〇貴方言ったわよね。僕がいます、絶対に裏切りません。って、じゃあその約束を果たしてもらおうかしら。やっぱり1人でいるのは寂しいのよ。」
彼女がそう言い終わると、彼女の6枚の羽が大きくなり、体が紫色になった。
その後、靈夢と魔理沙と応援が駆けつけた。
しかし、〇〇はどこか雰囲気が違った。
〇〇はこう言った。
「僕はもう死んでsarielさんと同じ天使になってしまいました。」
「なのでもう魔界から出ることは出来ません。皆様駆け付けてくれてありがとうございます。」
しばらくして、皆が去った後、sarielは〇〇にこう問いかけた。
「ねぇ、〇〇貴方は私といる事ができて幸せ?」
「はい。僕はsarielさんと一緒に居ることができて幸せです」
「ふふっ、嬉しいわ。愛してるわよ〇〇。これからもずっと一緒よ。」
こうして、〇〇はsarielと永遠の時を幸せに過ごすのだった。
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最終更新:2025年07月05日 17:18