朝起きて。布団を畳んで。服を着替えて。朝食を食べて。顔を洗って。
歯を磨いて。髪を整えて。散歩に出た。ただそれだけの休日。
でも途中から何かおかしかった。どことなく違和感を感じる。
散歩の帰りで鳩を見つけた。首を前後に揺らし時々地面に口をつける。
道の邪魔なので手で払う仕草をする。…………?
鳩が逃げない。自分がどんなに近づいてもだ。
不思議に思って触ると慌てて飛び去っていった。
ドウシテ?「 」…!?
声が出ない。どんなに大声で叫んでもだ。それだけじゃない。
今、気がついた。息の音も。足音も。自分の音だけが抜け落ちている。
急いで里へ走る。
誰も俺のことがわからなかった。俺がそこに居ないかのようだった
どれだけ目の前で大声を出しても。気付かないし声も出ない。
最初の内は何とか食っていけたが家が立て壊されてしまった。
自分は散歩途中で妖怪に襲われたことになっているらしい。
そのせいで気付いてもらおうと触ってみても幽霊扱い。
中には命乞いしたり。祈祷師を呼んだ者まで出た。
○○の霊を鎮めるとか言って家の跡には立派な塚まで出来た。
誰か俺と話してくれ。みんな俺を無視しないでくれ。
誰か…………。
「ねえースター。まだ見つけられないのー?」
「もう少し待ってよ。生き物の動きを捕捉するっていっても、こう数が多くちゃ…。」
「まぁまぁ。この作戦は時間が経てば経つほどいいんだしさ。」
「ちぇー。これじゃあ○○をひとりぼっちにしても意味ないじゃん。」
「だからもう少し…あ、いたいたっ!じゃあ迎えに行って来るね。」
「スターはここで待っててよ。動揺させないためにも私が行ったほうがいいわ。」
「ルナそう言って○○を一人占めする気だろー。させないぞー!」
「わたし!」「わたしよ!」「私が!」
最終更新:2011年03月04日 01:48