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七月三日 晴
かねてより誘いを受け続けていた博麗の宴会に
ようやく顔を出すに至った。
巫女や一部の者とは既に顔見知りだったが、
やはり知らない顔の方が多かった。
挨拶まわりをする内にお開きの時間がきてしまい、
宴会の本質をあまり楽しめなかった事をここに記す。
天狗と飲み比べをしたかったが、またの機会。
七月四日 雨
お陰様で休みである。
楽なのはいいが、明日の作業量を考えると気が滅入る。
余計な事は気にせず、明日に備えねば。
七月五日 晴
昨日と打って変わり、素晴らしい快晴だった。
畑仕事もはかどったせいか、里の娘から
随分な量のお裾分けを戴いた。有り難いことである。
周りの者が何やら騒いでいたが、
何か事件でもあったのだろうか。
七月六日 曇
仕事帰りの事だが、空から女の子が降ってきた。
どこかで見た顔だと思ったら、先週末の宴会にいた妖怪の一人。
思わず受けとめてしまったが、存外に柔らかいものである。
そのまま二言三言かわして別れた。
終始笑顔だったのが印象的。
七月七日 晴
昨日の妖怪にまた会った。
こんなつまらん人間に何の用だと尋ねたが、
笑顔が返るばかり。
妖怪というものは一癖も二癖もある生き物だと聞いたが、
この娘もそうなのだろうか。
こうして話している分には、
少し怪しい事を除けば、可愛らしい娘なのだが。
何にせよ、美しいものと触れ合えて悪い気はしない。
その旨を伝えた所、向日葵のような笑顔が見れた。
少しときめいたのはこの日記だけの秘密。
七月八日 晴
またあの妖怪と出会った。
近辺を最近の散歩道にしているのだという。
光陰矢の如しとはいうが、
いつの間にか日が暮れるまで話し込んでいた。
こちらは生身。気を付けねばならない。
七月九日 晴
一大事である。
同僚達が言う分には、里の娘の意中の人は私らしい。
そんなまさかとは思うが、そういう目で見てみれば
思いあたる節はないでもない。
もし本当にそうならば喜ばしいことである。
帰り道に彼女に話してみたが、
鈍感だと怒られながらも応援してくれた。
明日だ。確かめてみよう。
(ここからしばらく日記が途絶えている)
七月二十八日 雨
あの妖怪と帰りに言葉をかわすようになってから、
いくつか私の周りに変化が起きている。
里の者から不自然に避けられるようになったり、
家の前に誰の者とも知れぬ贈り物があったり。
今思えば里の娘が失踪したのも繋がりがあるのではと
疑ってしまう自分がいるのも事実。
彼女ではないと信じたいが、聞いてみなければならない。
明日だ。確かめてみよう。
(以降日記は白紙)
感想
最終更新:2019年02月09日 23:23