幼い頃、亡くなった祖母に繰り返し言われていた事があった。
 祖母曰く、裏山の神社に住んでいる蛇は、神様の使いだから、酷い事をしてはいけない、と。
じゃあ、優しくすれば良いの、と幼い頃の俺は聞き返した。
 祖母は困ったように微笑み、優しくすると気に入られて神様の所に連れて行かれるから、気付かないふりをしなさい、と言った。
 おばあちゃん子だった俺は、意味が理解できずとも、大好きな祖母の言う事なのだからという理由で、分かったと元気よく返事をした。
 あのときの祖母の言葉が、今になってようやく理解できた。
 もう、手遅れだけど。

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最終更新:2010年08月27日 14:52