魔理沙/4スレ/728




「なぁ……その綺麗に包装されててプレゼントみたいなのは……誰にあげるんだ?」

 目の前の魔理沙が、問う。
 彼女が何を考えているのかはわからないが、彼女の顔に張り付いていたのは、
 無表情ともまた違う、そう、透明な色のそれだった。

 まるで人形の様な、一切の気色がない瞳。
 普段の彼女とは全く違う、冷たい雰囲気。

 自身の眼前に立っているのは、どう見ても霧雨魔理沙のはずなのに、どこか違う。
 明朗快活で、けれどどこか垢抜けている、あの普通の魔法使いのはずなのに、何かがおかしい。

 いったい何が、彼女を惑わせているのか。
 皆目見当もつかないが、しかし、その無色の感情が自分に向けられているのだろうことは、言われずとも感じ取れた。

 自分が原因で、彼女が迷っている。
 その事実は、快いものではない。
 だから、言った。





 これはお中元で、中身はゼリーだと。

 手にかかる重みは、自分がこめた思いの重量。
 お世話になった幻想郷のみんな――もちろん魔理沙も例外ではない――へ、感謝の気持ちを込めて。
 せいいっぱいの、贈り物を。
 だから、

 まだ家に残ってるから、一緒に食べる?

 そうたずねれば、魔理沙は首を縦に振った。
 その後一緒に食べたゼリーは、いつもより美味しかった。

 明日もいいことがありそうだ。








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最終更新:2019年02月09日 19:23