まず最初に言っておきたいことがある。
それは、俺の嫁は確かにちょっとだけ変な所があるかもしれないが、
俺にとっては最高の女だってことだ。
まずは美人な所が最高だな。
さらさらしたロングヘアーはいつも綺麗だ。手入れを欠かしてない証拠だな。
顔も背丈の割には小振りだし、切れ長の瞳や、すらっとした鼻はもう芸術の域だよ。
体型もいつも影で努力してんだろうな。崩れた所なんて俺には見つけられないな。
あ、そうそう。クールそうに見えて、感情表現も豊かなんだぜ?。
はにかむように笑う姿は男を魅了するには十分だし、
静かに涙を流す姿は硝子細工みたいに繊細で儚げだし、
ぷりぷり怒る姿は抱き締めたいくらいに可愛いわけよ。
首に噛み跡残すのは痛いんだけどな。
仕事もきっちりこなしているし、子供たちにも好かれている。
里長の相談事にも乗ってやっている。
仕事だけじゃないんだぜ?
毎日俺がしている炊事――掃除や洗濯、片付けは
彼女が居ないときにしちまうから除外な――なんかの家の事だって、
ちゃんと手伝ってくれるんだ。器量は十二分だろ?
二人で外出する時だって、終始ベタベタするなんてくどさはないんだ。
半歩後ろをしずしずとついてくんのよ。たまらんよな。
知り合いの女の子と喋ってる時は、後ろからジト目っていうの?
睨んでくるし――あれは殺気立ってるって?
んなわけないじゃん、勘繰り過ぎだよ――ま、嫉妬する所も可愛いよね。
ちなみそういう事があった夜は大抵……おっと、紳士淑女も見るんだったな。
ここは伏せといてくれ。
なあに、愛情の表れだと思えば嬉しい限りじゃないか。
我慢とハッスルのし甲斐が……お?
慧音お帰りー。
ん?鴉がいる?ああ、新聞記者さんが俺達のラブラブ度合いを知りたいって来てたからさ。
お前の魅力を思う存分語ってたわけよ。
……その間二人きりだったって?
あ、おい、泣くことはないだ痛い痛い人の鎖骨に噛み付くな。
全く……俺はお前一筋だってのに、慧音はいつまで経っても変わらんなー。
それがまたいいとこなんだけどな。
よっし、今日は泣かせちまったお詫びとして、気合い入れて晩飯つくるよ。
勿論、お前の好きな奴もてんこ盛りだ。
良かったら記者さんも――あ、帰っちゃう?
そっか、記事まとめないといけないもんな――ん?
どうした?そんなに震えて。風邪だったらちゃんと休まないと……
あ、行っちまった。
まいっか。さ、家に入ろうぜ。
最終更新:2011年03月04日 00:52