up0234
「・・・」
「・・・はっ」
「夢、か?」
「そりゃそうだよな、○○と私が・・・なんて・・・」
「・・・」
「悪い夢、だぜ。」
「むー」
「○○が空から降ってきてから、何回夢に出てきたことか」
「そのせいで寝つきが悪いぜ。」
「・・・まだこんな時間か」
「これは二度寝しても大丈夫そうだな」
「・・・」
「あれもこれも紫の気まぐれのせいだ」
「迷惑な紫だぜ。」
「・・・」
(○○が頭の中にチラついて・・・)
(眠れない・・・)
○○が紫に「神隠し」されて幻想郷に来てから、もう一週間くらいか?
魔法も撃てないし空も飛べない本当にただの人間の男だぜ。
でも・・・○○ってのは厄介な存在だ。初めて見たときから、その
香霖とは違う何かがだな、私の心の中に・・・
・・・言ってて恥ずかしいぜ。
「・・・」
「・・・眠れない・・・」
「○○が来てから眠れない夜が続くぜ」
「・・・」
「独り言も増えたぜ」
・・・ぐぅ
「・・・」
「ん」
「また夢か・・・」
「・・・夢の中では、○○は私に優しいんだな」
「夢の外じゃ目も見て話せないのに・・・」
「んー」
「寒いな。」
「冬は寒いぜ。」
「隣に○○が居てくれたら、ちょっとは寒くないのかな」
「・・・」
「起きるか」
○○は今、霊夢の神社に仮住まいしている。
神隠しして勝手に冬眠しやがった紫が起きるのを待つ間、だそうだ。
そのせいで霊夢の所に前よりもっと顔を出しに行きたくなるし、
また一方で顔を出しづらくも感じてるんだ。
迷惑な相手だぜ。
だけど、○○は、紫が起きたら・・・春が来たら、元の世界に帰ってしまうんだろうか?
幻想郷に残ってくれたりとか、しないのかな。
・・・んー。
「やっぱり朝は味噌汁だぜ。」
「ふー。」
「これでも私は料理には結構自信があるんだ」
「○○の嫁になったらいくらでも作ってあげられるんだけどな」
「・・・」
「○○の・・・お嫁さん・・・」
「・・・○○は寝ぼすけだ。そうだ。そうに決まってる。」
「私が朝ごはんを作ってからゆすって起こしてやるんだ」
「毎朝、変わらない笑顔で私の料理をおいしいって言って食べてくれる」
「皿は二人で洗うんだ。肩を並べてな。」
「外の世界の男は、スーツっていうのを着て仕事に出て行くんだろ?」
「それでネクタイってのが曲がっているのを奥さんが直してあげるんだろ?」
「それくらい知ってるぜ」
「そして・・・出かける際には・・・」
「いってらっしゃいの・・・キス・・・」
「私がちょっと背伸びすれば・・・○○に届く・・・」
「・・・」
「わー!わー!わー!」
「なんだこれ超恥ずかしいぜ!」
「誰かに見られたらショック死する!」
「・・・」
「冬なのに熱いぜ・・・」
「・・・」
「天気も普通だし、普通にキノコでも採りに行くか」
「私は普通だからな。」
「・・・」
「これは魔法薬の実験に使えそうだな・・・」
「こっちのは食用か」
「・・・」
「・・・○○はキノコ料理、好きかな・・・?」
「・・・」
『ごめんな
魔理沙、俺キノコってあんまり得意じゃないんだ』
『えっ?』
『でも、魔理沙が作ってくれるんならキノコも好きになっちゃいそうだよ』
『嬉しい・・・』
「なんて・・・なんてな・・・」
「へへへ・・・」
「・・・」
「○○の・・・キノコ・・・」
「・・・」
「!!!」
「くぁwせdrftgyふじこlp;」
「おっと」
「気づいたらもうキノコが山盛りだぜ」
「・・・」
「○○のせいで効率がいいぜ。」
- 今頃、○○は神社で霊夢に掃除でもさせられてるんだろうか。
霊夢は人使いが荒いからな。
それを聞いちゃう○○も人がいいというか、なんというか・・・
優しい、んだな。
普通の魔女は優しい色男には弱いモンなんだぜ。
○○は、気づいてるのかな・・・
・・・合いに行きたいな。
「・・・行くか。」
「よー霊夢ー茶だけ飲みに来たぜー」
「ってなんで
アリスが居るんだ」
「お前はこんなトコロに居るキャラじゃないぜ。都会でも魔界でもどっかに行っちまいな。」
「あーあー悪かったぜー」
「霊夢はどうした?」
「里か・・・暇じゃない霊夢なんて霊夢らしくないな。」
「・・・○○は?」
「え?後ろ?・・・!」
「あ!あの・・・○○、おはよう・・・じゃなくて今の時間はこんにちわ?」
「じゃなくてじゃなくて」
「ええっと・・・」
「ああ、いい天気というか、普通の天気というか・・・」
「ええっと!・・・その・・・」
「え・・・私の顔に何かついてる?・・・」
「!!!」
「ばっ・・・!お前何言って・・・!」
「ああごめんごめん怒ったわけじゃなくてね・・・その・・・」
「・・・」
「・・・実は用事があってだな、ちょっと顔を出すだけのつもりだったんだ!」
「ご、ごめんな!今度ゆっくり酒でも飲もうじゃないか!」
「ごめん、私行くから・・・」
「ま、またね?」
「・・・」
「・・・はあ」
「何をやってるんだ私は。」
「馬鹿馬鹿しいぜ。」
「・・・」
「くそっ・・・」
○○の前じゃ、素直になれない。
言葉遣いもどうすればいいのかわからない。
○○の目も見て話せない。
破壊力高すぎるぜ。
「・・・」
「んっ・・・」
「○○・・・」
「・・・んぅっ・・・あ」
「あ・・・○○・・・」
「・・・んぁっ・・・ああ・・・っ・・・」
「○○・・・」
「・・・・んんんんっ!!」
「・・・」
「ん・・・」
「・・・満たされないぜ。」
「○○が・・・」
「○○が欲しい・・・」
「今まで欲しいものは何でも借りてきた・・・」
「本だってマジックアイテムだってなんでもそうだぜ」
「だけど○○だけは・・・」
「・・・ああもう」
「○○だけは・・・貸し出し禁止だぜ・・・」
「○○・・・」
こんなことばっかりして、最近の私の一日は過ぎる。
○○さえ居なければ・・・もっと時間が増えるはずなんだ。
最近は時間が経つのが早すぎるぜ。
○○は時間泥棒に違いないぜ。
泥棒なんて悪い奴だ。
はらってもはらっても○○が浮かんでくる。
私の頭も胸も、○○でいっぱいなんだ。
私は・・・○○が好き。
自分の気持ちに嘘を付くつもりは無いが、こういう機会が無かっただけ。
今までに・・・
恋なんて・・・こんな気持ちになったの、初めて。
恋って、こんな気持ちなんだ。なんだか暖かくて。ふわふわしてて。
そして○○が欲しくて、しょうがない。
ああ、○○。
こんなこと考えてる間、今○○が後ろから私の肩をぽんと叩いて、「何してんだ?」って話しかけてきてくれないだろうか。
今の私は、それだけで爆発しちゃいそう。
弾幕も、恋も、パワー。
本でも、読もうか。
○○は、本当に時間泥棒だったみたいで、
あっという間に冬が過ぎてしまった。
年始でも、博麗神社にはあまり人が来ないのはいつもどおりだったし、
年末だからって理由をつけて宴会するのもいつもどおりだった。
それでも私の心だけは、どこか遠くに置いてかれたみたいで。
そんな中に紫がのうのうと冬眠から目覚めて、○○を元の世界に返す準備を始めやがったんだ。
○○も申し訳なさそうにしながらも帰る意思を固めたみたい。
それもなんと三日後に、だ。
気が早すぎるぜ。○○は永遠亭や白玉楼には別れの挨拶を済ませたらしい。
私は、私の恋心は、置いてかれてしまうのだろうか。
なんというか・・・
・・・
紫・・・空気読めよ・・・
ヒ゜ンホ゜ーン
「・・・誰だぜ」
「私は連日寝付けなくて困ってるっていうのに」
「香霖だったら新しい魔法の実験台にしてやるぜ。」
「開いてるぜー」
「・・・!」
「ま、○○・・・」
「えっとえっと!ごめんちょっと待って!私の部屋散らかってて」
「いつも散らかってるんだけどそうじゃなくて、あの、あの」
「そう私の髪も服も散らかってて!そう!だから!」
「ちょっと待ってて!」
「・・・ごめん、待たせたな。」
(○○が私に・・・合いに来てくれた・・・?)
「どうしたんだ、お前・・・き、君が来るなんて珍しいというか・・・」
(ああどうしようなんて言ったらいいんだろう)
「なんか用事でも、あるのか?わ、わ、私は都合よく暇、だぜ・・・」
(どうしよう、なんか嬉しい・・・!)
「え・・・?頼み・・・?」
「え・・・アリスの家・・・?」
(アリス・・・)
(え・・・何で・・・?)
「え・・・ああそれならけっこう近い、ぜ・・・?」
(なんでここでアリスが出てくるんだ・・・?)
「なんなら、その、送って行ってやろうか・・・?」
「なんだ、いいのか・・・」
(ねえちょっと待って。その・・・包み・・・)
(ちっちゃいけれど綺麗に放送されてて、それ・・・まるで・・・)
「ここを真っ直ぐ行って、広いところに出たら左で・・・」
「・・・伝わった?伝わったなら、よかった・・・ぜ。」
(アリスの家を探して・・・まさか)
「・・・ね、ねえ、その包み、綺麗だけど、それ・・・」
(やめろ、やめてくれ。違う)
「あ・・・」
「そう・・・なんだ・・・」
(嫌!嫌だ!聞きたくない!アリスに!アリスに○○がプレゼントなんて!)
(なんで!どうしてアリスに!○○!)
「・・・ご、めん、私今忙しくて・・・」
「えっと、」
「ま、またな!」
ハ゛タン
私の中で何かが沸騰したような気持ちだった。
なんで、アリスが、○○が、
違う、嫌、どうして
アリス・・・
家具も実験器具もマジックアイテムも何もかも力任せに撒き散らして私は平静を保とうとする
だけどそれは逆効果で、落ちて壊れたマジックアイテムや家具が私の心を刺すみたいで。
それでも頭の中には、いつもみたいに○○がいて。
頭の中の○○はいつもみたいに笑ってくれていて。
でもその笑顔が
私じゃなくてアリスに向けられているものなのかと思うと、
急に頭の中の○○が崩れ落ちてしまって。
私は色々と悔しくて。
久しぶりに、目から何かが出てきて・・・。
・・・少しだけ冷静を取り戻した私は、アリスの家へ向かうことにした。
「・・・」
「・・・はあ・・・はあ・・・」
「アリスが・・・悪いんだ・・・」
「アリスが・・・」
「・・・」
「この指輪は・・・」
「この指輪はアリスのじゃない」
「この指輪は・・・」
「私の・・・」
「私と○○の・・・」
「私と、○○を・・・繋ぐ指輪なの・・・」
「アリスには・・・似合わないぜ・・・」
「・・・」
「私は悪く・・・ない・・・」
「○○の話をしたからって・・・」
「まんざらでも無さそうに笑いやがって・・・」
「・・・だいだい!」
「○○がお前なんかを好きになるなんて何かの間違いだ!」
「お前なんて人間ですらないじゃないか!」
「人には冷たくてノリが悪くていつも本気は出さない!」
「それなのに!」
「○○の前ではかわいこぶりやがって!」
「思えば私は!そんなお前が嫌いだった!」
「○○の前でいい人を演出するだけ演出しやがって!」
「それでも!」
「○○と・・・」
「○○と仲良さそうに話しやがって!」
「ずるい!」
「アリスはずるい!」
「だからお前は悪いんだ!」
「全部全部お前が悪いんだからな!」
「○○を取っていこうとした罰だ!」
「天罰だと思え!」
・・・アリスは答えなかった。動かなかった。
「・・・くそっ」
「私は・・・悪くない・・・」
「これは、私の指輪なんだ・・・」
「お前のじゃないぜ」
「私は恋の魔法使い・・・」
「私と・・・愛する○○の・・・」
「指輪・・・」
「・・・」
「心なしか、我が家が遠かったぜ・・・」
「・・・」
「血、って、」
「時間が経つと黒く、なるんだな」
「・・・」
「私は白黒の魔法使いだぜ」
「これじゃあ真っ黒だぜ・・・」
「はは・・・」
「・・・笑えないぜ。」
「邪魔者は片付けたけど、愛する○○は紫の手で明日にも外の世界に帰ってしまう」
「・・・○○は私といるべきなんだ!それが幸せなんだ!」
「私は○○を誰より愛してる!○○を幸せにしてやれるんだ!」
「○○は私の○○だ!誰の物でもない!私の○○だ!」
「・・・」
「どうすればいいんだよぉ・・・○○・・・」
「・・・」
「・・・待て」
「
パチュリーから借りてきたこの本」
「・・・それと」
「この・・・キノコ・・・」
私は、雷に打たれたようだった。
気づいてしまった。
○○を、手に入れる。
欲しいものは何でも借りていってやるぜ。
たとえ、それが
無期限だったとしても・・・
「・・・おい!○○!起きろ!」
「へへ・・・○○、起きろって」
「そんなにかわいい顔して寝てると悪い魔女に食べられちゃうぜ?」
「へへへ・・・」
「何処、って」
「ここは私の家だ」
「もっと性格に言うと霧雨家の奥の、奥の部屋だ」
「・・・動けないだろ?」
「首から下は全く動けないだろ?」
「・・・そんなに怖い顔しないでくれよ、私は○○を愛してるんだ。」
「・・・」
「寝てる間に何したか、知りたいよな?」
「私、頑張って薬を作ったんだ。」
「魔法の森の、瘴気の中で育ったキノコと」
「人間の身体を、融合させる薬。」
「・・・あんまり驚いてないな、もっと詳しく教えてやるぜ」
「つまり、○○、お前は今キノコなんだ。わかるか?」
「養分だの、水分だの、そういったものが無いと生きていけなくて」
「自分で動くことなんてまず無理だぜ。」
「・・・ね?わかった?」
「○○は自分じゃ生きていけないんだぜ」
「私が・・・お前の世話を何から何までやってやるぜ」
「な・・・安心したろ?」
「愛するこの私、霧雨魔理沙が・・・」
「お前のためになんでも・・・やってあげるって」
「ね?嬉しいか?嬉しいよな?」
「私は・・・すごく嬉しいよ、○○。」
「へへ、今度からは『あなた』って呼んじゃおうかな」
「恥ずかしいかな・・・」
「でも大丈夫だぜ、私、結界も勉強したんだ、本で。」
「八卦炉と箒とその他もろもろは使ってしまったけど、私の家に結界を張ることができたんだ」
「強い、強い奴だぜ?」
「寝てばっかりいる妖怪や巫女じゃ破ることすら、見つけることすらできない」
「二人っきりだぜ?舞い上がっちゃうよな?」
「・・・」
「・・・ねえ、まずは、キス・・・していい?」
「私の初めては、お前のものだぜ。」
「うふふ」
「目・・・閉じて?」
「な、なあ、どうしてそんな顔するんだ・・・」
「・・・本当は嬉しいんだろ?な?」
「私、○○が望むなら、本当になんでもやってやるからな」
「その・・・恥ずかしい事でも、なんでも・・・」
「えへへ。」
「ね・・・○○・・・嬉しいよね・・・」
「私のここ、すごくドキドキしてるよ」
「これから、ずっと一緒だからね・・・」
うふ。
うふふ。
うふふふふふふふふふふふふふ
私は、恋の魔法使い。
欲しい物はなんでも手に入れる。
たとえば、そう・・・
恋心、とか。
魔理沙に狂おしいほど愛されたい 終
感想
最終更新:2019年02月09日 19:13