ゆっくりてんこと遭遇した。
詳細はさておき、
性質から虐待派からも愛護派からも、
さらに同族からもどうでもよさそうな扱いを受ける種族である。
扱い様によっては被害が少ない種族なので飼ってみる事にした。

「おイイ……何持ってんのよ○○……?」
帰りがけに天子と出会った。
手に持ったてんこを見てぷるぷる震えている、
「あー、お前のゆっくりだな、可愛いだろう」
ふふん、と神経逆なでするように言ってみる。
え、いや、安全だし。
「てんこはかわいいよ!だからゆっくりいじめてね!」
「おーよしよし帰ったら臭い飯作ってやるからな」
「なっ!?」
声を上げたのは天子だった。
臭い飯がそんなに嫌か?
そこまで感情移入なんて……と思ったが、
天子の口から出た言葉は全く逆だった。
「ま、○○の手料理なんて……なんて羨ましいの!」

……ふぅ、
ずっこけた拍子にてんこを落とすかと思った。
「ねぇ○○!
 私にもくっさい飯無理矢理食わせてよ、いや食べさせろ!」
ああ?ん?
物の頼み方がなっちゃいないんじゃないのか??
と言わせたいのかもしれんが。
「つっこまんぞ、そして作らんぞ」
「ちっ……」
「ふふん、てんこのほうがうざくてゆっくりできないからおにーさんはいじめるんだよ!」
「くっ……ゆっくりの癖にぃっ!」
バールの様な物を抜いて俺、もといゆっくりに殴り掛かる天子をひょいと避ける。
「甘いな!緋想天は2D格ゲーだからな!
 奥行きに回避される事は不慣れだろうフハハ」
「くやしい……でもっ!」ヒ゛クンヒ゛クン
ノリの良い事で。
「まあ、夕飯なら作ってやるから衣玖さんに連絡してきなさい」
「うぅ……○○の作ったまっずい飯が食べたいのに……」
いやいや、
それじゃあ俺の飯が不味いみたいじゃないか……


「はい出来たよー」
鯖の水煮缶の中身をミンチにして刻みネギ、ニラと混ぜただけの簡素な食事。
材料が安い分微妙な品質、調味料の具合によって味が上下する。
さて当たりかハズレか……
「うめ!これめっちゃうめ!
 もっとまずいもの出してね!」
「こういう所はゆっくりだな」
笑いながら天子の方を見ると、
「わ、私ももっと不味い物で良いのに……
 その……美味しいし//」
「てんこのたべものはゴミクズでいいんだよ!
 もっとこころにくるのをやってね!」
「ゴミクズ?ああ、まりさとかか?」
共食いは流石に拒むか?
「ゆっ?まりさはおいしいよ?でもゴミクズだからそれでいいよ!」
「わ、私だって……衣玖食べるからそれでいだだだだ」
「何性的な事を口走ってやがりますかこの口は」
聞きようによってはエロい発言になりそうなので回避回避っと。



「しかしてんこは天子と違ってキモいなー
 何で生きてんのか分かんないわー」
「ゆ!?もっとののしってね!」
棒読みしてるこちらからするとシュールなのだが、
てんこ本人にとっては言葉責めなのか顔を赤くしてゆっくり震えている。
「ま、○○私も……」
「ゆっくりと違って天子は可愛いなあ。
 流石天人、美しい、ところで緋想の剣凄いですね」
「それほどでも……じゃなくてうわあああん!
 ○○が虐めるぅぅ!」
と、天子は泣きながら家を出ていった。
てんこは笑いながら、
「ゆ、どえむじゃないおねーさんはゆっくりほめられていってね!」
とニヤニヤ笑っていた。


疲れてきたので「ゆっくり眠っていってね」と言ってハンカチを口に当てたら寝た。
本人共々ノリの良い事だ。



翌朝玄関を開けると天子がニヤニヤしながら首まで埋まっていた。
「ゆっくり虐めていってね!」
「うわあ超美少女過ぎて手が出せないやー」
棒読みしながら素通りする。
「ちょ、待ちなさいよ○○、あ、抜けない、ま、待ってー!」

てんこを加工場に持ってったら引取を断られた。
何でも絶対に苦痛を感じないのでどうやっても中身が旨くならないんだとか。
飼う分には適した種類ですし、と言い返された。


「○○……放置プレイも疲れたよ……
 そろそろむらむらして来たでしょ?私の首を蹴っ飛ばしてストレス解消してね!」
埋まった天子を無視して帰宅する。
「もう○○ったら……うっ」ヒ゛クヒ゛ク


「てんこはいろんなひとにいじめられてすごくすっきりできたよ!ありがとうおにいさん!」
「ああ、土下座して俺の靴を舐めればこのまま内で家畜以下の扱いをしてやっても構わないぞ」
「ゆ……それはみりょくてきだけど、
 てんこはもっとひどいしゅらばをもとめてたびだつよ!」
「そうか……まあ、また会えると良いな」
結局天子は旅立っていった。
飼っていたつもりだったが……まあいいか。
ところでこれどうしよう。
「ま、○○……
 私が代わりに家畜になるから元気出してね?」
「乳が出るようになってから言え」


>>ジョバンニ氏

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最終更新:2010年09月03日 09:39