幸せオチの病み慧音を見て俺のコスモが陰陽玉だったんだ。
二番煎じだけど、生暖かく見てほしい。



「なぁ、パチェ」
「何かしら、○○」
「今年で俺も二百二十歳になる」
「そうね。アリス達と総力を上げて、
 貴方が魔法使いになれるよう、特訓に協力してから、
 もう二百年か……ふふ、懐かしいわね」
「そうだな……懐かしい、な」
「でも、いきなりどうしたのかしら。歳の話なんて。
 昔は、そんな話は年寄りに見えるから嫌だ、
 って言ってたじゃない」
「魔法使いってのは、魔法を覚えてナンボだよな」
「……何が言いたいの?」
「君はまだ知らなかっただろうが、
 つい先日、魔法をまた一つ覚えたんだ」
「あら、喜ばしい事ね。
 今度は何を覚えたの?木系?それとも、貴方のことだから星かしら」
「光。ディスペル《解呪》だ」
「っ!」
「――聡明で、賢明な、愛しき我が妻よ。
 君ならこれが何を指し示すか、わかってくれるはずだ」
「……全てを知った後でも、私のことを、まだ妻と呼んでくれるのね」
「当たり前だ。あの時、こんなちんけな術に頼らずとも、
 既に俺の心は君だけのものだったのに」
「○○……」
「ただ、一つだけ聞かせて欲しい。"何故"だ?
 何故、俺に魅了と強制、忘却をかけた?」
「……取られたくなかったのよ。アリスにも、魔理沙にも、貴方を」
「何を馬鹿な……あの二人こそ、俺達の後押しをしてくれていたのに」
「だからこそよ!」
「だからこそ?」
「あの二人はあの時、誰よりも貴方の近くにいた。
 よく発作で伏せっていた私と違ってね。
 魔理沙達はとても魅力的な女性だわ。
 私なんか足元にも及ばないくらいに。
 二人に鞍替えしないなんて誰が言い切れるの……?」
「パチュリー……」
「怖かったのよ。
 あの二人と楽しそうに笑う貴方を見ると。
 胸が締め付けられそうだったのよ。
 貴方が覚えた最初の魔法が、私の教えたフレイムではなく、
 魔理沙の教えたスターライトだと知った時は。
 殺意すら覚えた事もあったわ。
 修行が長引いて、貴方がアリスの家に泊まったと知った時。
 貴方は知らないだけよ。
 魔理沙が貴方に貰った箒を、今もまだ大事に大事に持っている事を。
 そう、貴方は知らないだけ。
 アリスの家には、貴方にとてもよく似た人形がある事を!
 だから、だから私は――!」
「……もういい、もういいんだよ、パチェ」
「っく、ぐす……」
「全部、知ってた」
「○、○……」
「俺、二人から告白されててさ」
「!」
「パチェしか見えないから、ごめんって、言ったんだ」
「そんな……」
「それで、応援してくれるって、なってな」
「……」
「なぁ、もう一度、やり直さないか」
「え……?」
「魔法なんて抜きにしてさ。
 パチェ。いや、"パチュリーさん"。
 ……俺、いや、"僕"と、お付き合いしてくれませんか?」
「お付き合い……?」
「そ。また、最初からってこと。どうかな?」
「○、○……わたし……わた、し――っ」
「よしよし、まずは思いっきり泣くことから始めようか」
「うわああああぁーーっ」

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最終更新:2010年08月31日 20:42