ゴロゴロとひざの上で橙が喉を鳴らす。
おれは今幻想郷のマヨヒガという所に住まわせて貰っている。
住まわせて貰っていると言ったがこれはちょっと間違っている。なぜならマヨヒガから出ようとしても、道に迷いマヨヒガに戻ってきてしまうし、
他の場所に行きたいと言ってみても話をはぐらかされてしまったりと、半ば軟禁状態だ。
しかしここでの暮らしも気に入っている、ここの住人は優しいし、なにより目の保養に大変よろしい。
他の場所に行けないことと話し相手が3人しかいないことを除けばだけれど。
「ねー○○?聞いてるの?」
膝の上で喉を鳴らしていた橙が喋る。
ごめん、正直聞いてなかったよ。
「もーちゃんと聞いててよー」
そう言って頬を膨らませて怒る橙の頭を撫でて先を促す。
「だからねー?わたし達は種族は別々だし藍様は紫様の式神で、わたしは藍様の式神で上下関係はきっちり決まってるけ家族みたいに中がよいでしょ?
だから○○も式神になればもっと仲良くなっていけるよ…?」
最後のほうはちょっと顔を赤らめながら上目遣いでそう橙は言う。
なんだって?
「あ、でも○○は式神を従えることができないんだからわたしがやってあげるよ!いっぱい修行したからきっと上手くいよ!」
と一人で盛り上がっている橙を尻目に藍さんのところへ向かう
今日の橙はなんだかおかしい、きっとマタタビの吸い過ぎだ。
「○○ー?どこ行くのー?○○はなんにもしなくていいんだよ、直ぐに済んじゃうんだから!」
済むってなにを?どうやらおれが聞いていない間にないやら喋っていらたしい。
そう思いながら振り向くと、ガツンという衝撃、暗転。
我輩は猫である名前はまだ…
「○○ー」
○○と言うらしい。
「○○わたしがわかる?」
そう言い少女がおれを持ち上げる。
誰だろう凄くかわいい、おれはニャーと鳴く。
「んー…ちょっと失敗しちゃったかな…?でもわたしがもっと修行すれば○○も元の姿に変身できるから安心してね!」
元の姿ってなんだろう?おれはニャーと鳴く。
少女が頭を撫でる、優しく。
最終更新:2010年08月30日 14:52