僕の彼女はパチュリー。このお屋敷にある大図書館の主だ。
と言っても僕は彼女の所有物だ。
普通に恋愛して恋仲に成りたかったけど、彼女の気は意外に短かった。
「むっ……」
パチュリーが顔をきっと上げる。
「どうしたんだいパチュリー、また、なのか?」
「ええ、全く、最近、里の方は盛りすぎのようね」
はたてさんの突っ込みを何度か受けたのはさらりと棚に上げ、パチュリーは立ち上がり転移呪文を唱え始める。
魔術書を手にしている辺り、もう手慣れていると言うか何というか。
「じゃ、行ってくるわね。御茶の用意お願い」
「了解。気をつけて」
パチュリーの姿が消える。
今頃、ネチョリンコな展開に入ったカップルの前に現れ「そこまでよっ」と言っているに違いない。
「でも、タイミングが良いと言えば良いんですけどね」
「あれ、こ、小悪魔さん」
後ろに気配を感じたと思った瞬間、背中に柔らかい感触を2つ感じる。
「まーたぁ、こぁって呼んでクダサイって言ったじゃないですか。知らない仲じゃあるまいし」
「そ、そうは言ってもですね。パチェが」
「もう、パチェ様と公認の仲になったからって……以前の関係まで忘れた訳じゃないですよねぇ?」
「うっ」
歪んだ表情で小悪魔さんが自分の身体にのし掛かってくる。
「こう見えても私、本性を晒すと凄いんですよぉ? 何せ、悪魔ですのでぇ」
好色に淀んだ目付きで、小悪魔さんの顔が迫ってきて……
「 そ こ ま で よ 」
最悪のタイミングで、彼女は帰ってきた。
いや、この状況をここで示してしまった時点で、こうなる運命だったのかもしれない。
魔力を開放した魔術書を手にし、両目を透過光で光らせた『魔女』が来臨した。
最終更新:2023年03月27日 23:59