とん とん トン
二回弱く、最後はちょっと強く
これが慧音先生のノックの癖だ

慧音「○○、煮物作りすぎたんだが一緒に食べないか?」
○○「いっつも作りすぎますね」
慧音「……すまん」
○○「いえいえ、冗談ですよ。ご馳走になります」
慧音「残さず食べろよ」
○○「言われなくても」


とん とん トン
いつものノックの音
しかし、なんでここで聞こえるんだ?
……ここ、紅魔館だぞ

慧音「……○○、どうしてここにいるんだ」
○○「外から来た文献の整理のため臨時バイトで。あと、そのセリフそっくりお返しします」
慧音「何かされたりはしてないか。……その、えっちなこととか」
○○「ご期待に添えそうもなくてすいませんねぇ」
慧音「それならいいんだ。それじゃ、おやすみだ」
○○「はぁ。なるだけ見つからんように帰ってくださいね」


とん とん トン
もう聞き慣れた音
今度は博霊神社だってのに、また聞こえてくる
しかし、障子でもノックの音ってするんだな

慧音「○○、どうしてこんなところにいるんだ」
○○「だから何度も言ったでしょ。俺は明日帰らせてもらうの」
慧音「ここが嫌か。私が迷惑か」
○○「そんなことはない。みんな胡散臭いが良い人だしさ。先生だっておせっかいだけど、迷惑なんて思ったことはない」
慧音「だったら」
○○「でも駄目だ。俺はやっぱりここじゃ異邦人みたいなものなんだよ。帰れるなら、帰らなくちゃいけないんだ」



神隠しにあっていた青年、無事保護
俺はそんな話題の主人公になった
が、そんなニュースも一ヶ月もあれば忘れられる
うっとうしいマスコミも来なくなって、ようやくゆうゆうと一人暮らしを満喫できるってもんだ

とん

ん? 新聞の勧誘か? セールスか?
どっちにしてもだるい
今日は一日のんびりするというプランがだな

とん

いくら叩いたって、出ません

トン

……ん?
なんだ、この感覚?
デジャヴってやつか?

とん とん トン

おい、ちょっと待て
ここは幻想郷じゃない。それは確かだ
それじゃあこのドアを、聞き慣れた調子で叩いてるのは、誰?

とん とん トン
とん とん トン
とん とん トン
とん とん トン

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最終更新:2011年03月04日 00:53