彼女は今日も愛する○○の面倒を見る。

結界の揺るぎから太陽の畑に放り出されて来た男を、見つけた日の事を今でもはっきり覚えている。
あれを所謂一目惚れだと言うのだろう。まさに、見た瞬間に「惚れた」
全身を貫く衝動に促されるまま、彼女は男の世話を始めた。
数日経ったら気持ちが醒めるかも、という心配は懸念だった。
何日、何週間、何ヶ月、何年経っても彼女の気持ちに変化は無かった。
存在し始めてから一度も感じた事の無かった熱情の赴くまま、彼女は男との年月を経ていった。
彼女は男に○○と名前を付けた。我ながら良い名前だと思った。
丘の側に別荘を建てて○○と住み始めた。
数え切れない程の愛を交わし合い、何人もの我が子を育て送り出した。
やがて○○の身体が老いそうになったので、自分と同じ身体に○○を『産み直した』
知り合いの冷やかしも全く気にならなかった。
ただし、○○にちょっかいを出そうとした奴には本気マスパースパークを出して吹き飛ばした。
不愉快な思いをしたが、それでも○○の顔を見ていると凄く幸せになる。

ねぇ、○○。私達って幸せよね。
私は貴方が側に居てくれて凄く幸せよ。
本当に、何もしなくても居るだけで幸せって本当に奇跡。

ねぇ、○○。
○○は一度も目を覚まさないけど、幸せ?

……うん、幸せよね。
良い笑顔してるし、私と同じ身体になったし。子供達も立派に独り立ちしている。

それにね、今、また新しい命が私の中にいるのよ?
勿論、私と貴方の可愛い子供。貴方の手を取って添えて上げるとぽこんと内側から蹴られた。
ふふふ、ちゃんとお父さんだって解っているのね。
本当、素晴らしくて、幸せな家族だわ。

ねぇ、○○。
例え貴方の意識が無くても、私達凄く幸せなつがいよね?

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年03月04日 01:21