とある山奥に、七人の若い木こりが住む小さい集落がありました。
人里から外れた山中に簡単な家を築き、此処を拠点にして仕事をしていたのです。
「困ったなぁ……」
なんと、妖怪が村に襲ってきたのでした。
彼らは七人に対し、4人を供物に差し出せと言ってきました。
従わなければ、全員食い殺すとも。逃げ出そうとしたら直ぐに殺すと。
一週間後に来るから結論を出しておけといい、妖怪は山の奥へと去っていきました。
彼らは全員幼なじみで、とても強い絆で結ばれていました。
自分が生き残る為に、他の誰かを犠牲にするだなんてとても出来ません。
こうなれば、死ぬのを覚悟で闘うか……と話し合っていたところ、上空を宝船が通りかかったのです。
「どうしました、お困りのようですが?」
船からはゾロゾロと七人の美しい、または愛らしい女性が下りてきました。
いや、中には見るからに妖怪っぽいのも居ましたが、取り敢えず青年達は声を掛けました。
「山に棲む巨大な妖怪が、私達に生け贄を求めてきたんです。もうどうしたら良いのか。」
「解りました。そのような一方的に人間へ危害を加える妖怪は調伏させましょう」
そこで、彼女達を用心棒……と言うか助っ人に雇う事にしました。
せめてもの、と言うことで各々1人ずつ家に招き、若者達は妖怪が来るまで彼女達の世話をしました。
……6日後。
「結論は出たかぁ、儂に食われる人間を差し出せぇ!」
やって来た人食い妖怪に対し、一致団結して立ち向かう七人の妖怪達。
彼らを見守るなぜかげっそりと痩せた……七人の若者達。
黄色く太陽が滲む視界の中で、人食い妖怪が文字通り瞬殺されるのを見届けたのでした。
……そして、
「どうもありがとうございました。お礼は私達に出来る範囲であればなんでも致します」
そういう若者達のリーダーに対し、妖怪の主っぽい女性はにこりと笑うと。
「では、あなた方で『出来る範囲で』報酬を頂きましょう」
その木こりの村は、無人になった。貯めてあった木材も全て消えた。
それから暫くして、人里近くに出来たお寺は、大層立派な新築の門を備えており。
どこかで見たような寺男さん達を連れておりましたとさ。
勝ったのは妖怪でもない、木こり達でもない。
七人の、ヤンデレ達であった。
七人のヤンデレ 完
最終更新:2011年03月04日 01:58