知り合いの○○が、紅魔館の増築をしにいった。
何でも、当主とは茶飲み友達らしく、外界で建築家だった○○は増築を頼まれたらしい。
結構良い値段で受注出来たとかでホクホク顔だったのを覚えている。

それから暫くして、紅魔館の増築が終了したと鴉天狗の新聞で知った。

そして、増築した建物が真っ赤なチャペルなのを新聞の記事で知った。

そして、暫くしてそのチャペルで盛大な結婚式が行われた。

仕事が終わったのに帰って来なかった○○と、スカーレット家当主の結婚式だった。

村へ買い付けに来る時に仕事上顔を合わせる咲夜さんから招待状を受けた俺は、
貸衣装屋で借りた礼服を着て真夜中の結婚式に参加した。

人魔の入り乱れた招待客達、重厚なパイプオルガンが奏でられる。
豪奢な服を着てぼんやりとした○○と、鮮血の様に真っ赤なウェディングドレスを着た当主。

まるで黒ミサのような結婚式が終わり、披露宴もランチキ騒ぎや弾幕戦で盛り上がって終了した。

「…………○○、達者でな」

恐らく、○○はもう人里に戻れないだろう。
せめて、幸せに生きてくれる事を願いつつ、門の所まで来た。

「お待ちください、○○さん」

咲夜さんが、門番さんの代わりに門前に立っていた。
後ろの門は、何人たりとも通さぬとばかりに閉まっている。

「咲夜さん」

彼女の格好を見て、全てを悟った。
咲夜さんは、瀟洒な笑みを浮かべながら俺に近付いてくる。

「まだ、お式は済んでませんよ?」

白銀の、ウェディングドレスを着て。

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最終更新:2010年10月11日 03:47