猫と戯れてたら思いついた
家にある縁側でゆっくりしていると、黒猫が近寄ってきた。頭を撫でてやると擦り寄ってきたので、膝の上に乗せてやる。
俺の膝の上が気に入ったのか、ゴロゴロと喉を鳴らしながら座っていた。その様子が可愛かったので、満足してくれるまで乗せていた。
翌日
また縁側にいると、ネコミミを生やした赤髪の少女が近づいてきた。俺がしばらく少女を眺めていると、少女はいきなり俺の膝の上に乗ってきた。俺は戸惑って、少女に何をしているかを聞くと少女は、
「お兄さんは昨日もこうさせてくれたじゃないか」
と、言ってきた。
おかしい・・・俺は昨日、この少女を膝の上に乗せた覚えは無い。なによりこの少女は今日初めて見たのだ。
俺は少女を膝からどかそうとするが、強い力で離れまいとしてきた。そして少女は、
「お兄さん、ちゃんと離さないように掴んでてよ」
と、言われた。
いったいなにがどうなっているんだ?取り合えず少女をなんとか追い返した。これ以上分からない事を言われると、こちらもおかしくなりそうだったからだ。
二日目
前見た黒猫が玄関前にいた。家の中に招き入れてやる。一緒に横になっていると、顔を舐めてきので、喉を撫でてやったら、猫は嬉しそうに目を細めていた。
三日目
だいぶ季節も変わり、朝が肌寒むくなってきたので、布団から出る気になれない俺は二度寝を楽しんでいた。すると突然、布団の下の方から何かが潜り込んできた。慌てて布団の中を覗くと、前の時に見た少女がいたのだ。俺は急いで布団の中から出ようとしたが、服を掴まれてしまい、出られなくなった。
俺は掴まれたまんまで、少女と向き合うような状態になっている。目の前には例の少女。端から見れば羨ましい状況なのかもしれないが、ほとんど接点が無い奴と向き合っているというのは、気分的には良くない。すると少女が突然、俺の顔を舐めてきた。俺はびっくりして声も出せなかったが、少女は構わずにその赤い舌で俺の顔をペチャペチャと舐めていく。その舌の動きに興奮は起きずに俺に恐怖を与えるだけだった。
一週間後
あの少女が来るようになったおかげで、俺の心はやさぐれていた。今の癒しは来てくれるあの一匹の黒猫だけだ。それにしてもあの猫はどこの猫だろうか。誰かが飼っているのか?それとも野良なのだろうか?どちらにしろあまり俺には関係ないが、少し気になった。そろそろ自分用になにかペットを飼う事を考えてみるのもいいかもしれない。
「失礼しますよ、さとり様」
扉からお燐が入ってくる。最近は外に出掛ける事が多いけど、大体はどこに行っているのかは分かっている。気に入った人間がいるみたいで、その人に会いに行ってるようだ。そしてこれからお燐がなにを言おうとしているかも分かる。その人間の事だろう。
「さとり様はあたいが人間に会いに行ってる事は知ってますよね」
「前の時に聞かせてくれましたね」
「それで実はお願いがありまして・・・」
「言ってみなさい、お燐」
「その・・・新しいペットを飼うのはどうですか?」
「新しいペット?」
「えぇ、あたいにも仕事があるのでこれ以上頻繁に会いにいくのは無理だと思ったんです。だからその人間がさとり様のペットになれば、何時でも一緒にいられるかな~って」
まったく・・・私のペットながらとんでもない事を考えてるわね。まぁ、ペットのワガママを聞いてあげるのも主人の務めだろうし・・・
「わかったわ。その人間をペットとして飼ってあげる」
「本当ですか!?」
「ちゃんと仕事の方もしっかりやるのよ」
「まかせてください!」
さて・・・それじゃ、お空に頼んで連れて来てもらおうかしらね。その新しいペットを・・・
最終更新:2010年10月26日 00:22