四季映姫・ヤマザナドゥ編 第1章
冥界 映姫の職務室
「貴方達は仕事中に私語が多すぎです!!」
仕事中に少し世間話をした死神の小町と助手の○○が映姫の説教を受けていた
映姫の説教は5時間にも及んだ、以前まで小町が仕事をサボって映姫から受けた説教は長くても2時間だったので
この説教の時間は長過ぎていた
休憩所
「小町‥‥‥俺はもうダメかもしれない」
「あたいも‥‥‥」
映姫の説教から、やっと解放された二人が呟いた
「映姫さまもねえ、仕事中にちょっと○○と世間話をしただけで5時間も説教なんて酷いよ」
「5時間は長いね‥‥‥」
「○○があたいの助手になってからは仕事もサボらなくなったのに」
映姫が死神補佐の仕事の募集をした時に○○が採用され、小町は○○と一緒に仕事をする様になり
二人は直ぐに仲良くなり友人となった
「最近は映姫様の顔を見るのも怖いよ」
「最近まで怖くなかったのかい、たいしたタマだねえ惚れそうだよ」
「お、おい小町‥‥‥」
実は惚れそうではなく、小町はすでに○○に惚れていた
○○と一緒に仕事がやれて小町は幸せであり、○○に告白するタイミングを考えている最中だった
そして○○も同じく小町に惚れていた、小町に告白するタイミングを考えている最中だった
映姫の職務室
映姫は考えていた、小町も○○と一緒に仕事をする様になってからは仕事もサボらなくなった
仕事中とはいえ、小町と○○は少しだけ世間話をしただけだったのだ、それで5時間の説教は長過ぎだったと
「どう考えても嫉妬ですね‥‥‥」
映姫は死神補佐の仕事で人間を採用する気はなかった、面接に来た人間には説教をして帰すつもりだった
しかし○○を面接した時に彼に一目惚れしてしまい採用したのだ
「採用してからの事を考えていませんでした‥‥‥」
映姫は閻魔の仕事は器用にこなしていたが恋愛は不器用だった
○○と一緒にいる事が出来ればと思っていたが、死神補佐の仕事である為に○○は小町と常に一緒にいる
二人が恋人ではないにしろ仲がいいのも知っていた
「どうしたらいいんでしょうか‥‥‥私は‥‥‥」
映姫が悩んでいた時だった
「閻魔様~~こんにちは~~~」
「
幽々子!いったいどうして!!」
「幽霊管理書の今月分を提出しに来たのよ」
「そ、そうですかご苦労様です」
いきなり現れた幽々子に驚いた映姫だったが、直ぐに落ち着きを取り戻し対応した
しかし幽々子の思いもよらぬ発言で落ち着きを取り戻したのは短い間になってしまう
「早く何とかしないと、○○さんと小町が恋人同士になるわよ~~」
「ゆ、幽々子!いきなり何を!!」
幽々子は映姫の○○に対しての気持ちを知っていた
「私が見た所だと小町は○○さんに惚れているわよ、そろそろ○○さんに告白するんじゃないかしら」
「何ですって!小町が!!」
「それだけじゃなく○○さんも小町に惚れているわね、もしかしたら○○さんから告白するかもね」
「○○まで!!」
「気付いてなかったの?閻魔様」
予想もしていなかった展開になっていた事に映姫は驚き、今度は落ち着きを取り戻す事は出来なかった
「許しませんよ絶対に‥‥小町の恋人を見つける為に○○を採用した訳ではありません‥‥‥」
「うっ‥‥よ、用は済んだし帰るわね~~~」
映姫が怖い雰囲気になったので幽々子は退散した
映姫の顔は幽々子が今まで見た映姫の顔の中で一番怖い顔をしていた
「こうなったら‥‥こうなったら‥‥こうなったら‥‥‥」
映姫は小町に○○を奪われるかもしれないと分かった途端に、今まで何も思いつかなかったのが不思議なくらいに
色々な考えが頭に浮かんでいった、全てが恐ろしい考えだった
第2章に続く
四季映姫・ヤマザナドゥ編 第2章
1週間後 映姫の職務室
小町と○○は映姫に呼ばれていた、そして予想もしていなかった展開になろうとしていた
「えっ、あたいが出張?」
「そうです、別の地区での死神の仕事を頼みたいのです」
「映姫様、どうして小町が」
「別の地区というのは幻想郷地区よりも大きい所です、小町自身の為にそこでの仕事も経験しておいて欲しいのです」
この時は○○も取り乱してはいなかった、次の映姫の言葉を聞くまでは
「ちなみに出張期間は5年です」
「何だ5年ですか、もっと長いと思っていましたよ」
「えっ5年も!」
「どうしたんだい○○、たったの5年じゃないか」
人間の○○と死神の小町では生きる事の出来る時間が違い過ぎた、故に時間の長さに対しても考えが違った
○○にとっての5年は、小町にとっては2ヶ月程度の考えなのだ
この時間の考えの違いも映姫にとっては計算の内だった
「5年なんて直ぐじゃないか、驚く事なんてないだろ」
「驚く事がないなんて‥‥‥」
小町が出張すれば5年も小町に会えないのは辛かった、でも小町は5年も会えない事に対して何とも思わないのかと
小町の言葉に○○は複雑な気持ちだった
(俺の事は、何とも思っていなかったのか小町‥‥だったら俺が告白しても無駄じゃないのか‥‥‥)
(5年なんて直ぐなのに変なヤツだな、まあ出張が終わってからでも○○に告白するのは遅くはないだろう)
(フフフ、計画通りですよ‥‥‥)
それぞれの想いの中、小町は出張していった
2ヶ月後 映姫の職務室
小町が出張したので○○が死神の仕事をする様になった
最初は苦労もしたが映姫の協力もあり、何とか仕事をこなしていった
そして小町が出張してから映姫は○○に説教はしなくなり、○○がミスをしても優しく注意するだけだった
映姫の変わり様に○○は戸惑っていたが、以前の様に顔を見るのも怖いという事はなくなっていた
「ごくろうさまでした○○」
今日の仕事が終わり、○○は映姫と二人でお茶を飲みながら話をしていた
最近はこれが習慣になりつつあった
「小町が出張してから元気がありませんが、小町に会えないのはつらいですか?」
「俺はつらいです‥‥でも小町はどう思っているんでしょうか‥‥5年も会えなくなるのに出張が決まった時に
小町は悲しそうじゃなかったです‥‥‥」
○○は小町の気持ちが分からなかったが、まだ小町の事は愛していた
「小町の気持ちは分かりません、でも分かっている事はあります」
「分かっている事?」
「もし私が5年も○○と会えなくなる事になったら、とても辛い気持ちになりますよ」
「映姫様‥‥‥」
映姫が悲しそうな顔で言った、しかし言ったのはそれだけで『愛している』と本当に言いたい事は言わなかった
何故なら、まだ言うべき時ではないと考えているからだった
(さあこれからですよ○○‥‥‥)
2ヵ月後 映姫の職務室
「閻魔様の仕事って、そんなに大変だったんですね‥‥‥」
「そうなんです‥‥でも誰も分かってくれないんです‥‥‥」
○○は映姫の愚痴を聞く様になっていた、映姫の事を最初は説教フェチなのではと思っていたが
映姫の愚痴を聞いて彼女の苦しみを理解し、彼女の力になってあげたいと思う様になっていた
しかしこれも映姫の計画の内だった
(順調ですよ本当に‥‥‥)
2ヶ月後 映姫の部屋
○○は死神の仕事だけでなく映姫の仕事も手伝う様になっていた
そんなある日、○○は映姫に食事の招待を受けた
「さあ○○、食べて下さい」
「これ全部、映姫様が作ったんですか?」
「はい、何時も私の仕事を手伝ってくれているお礼ですよ、さあどうぞ」
「お、おいしいですよ映姫様!」
「本当ですか!ありがとうございます!!」
映姫は笑顔で○○に礼を言った、その時に見せた笑顔は今まで見た映姫の顔の中で一番素敵な顔だった
しかし表では一番素敵な顔だったかもしれないが裏では一番醜い顔をしていた事に○○は気付かなかった
(フフフフフフフ‥‥‥)
最終章に続く
四季映姫・ヤマザナドゥ編 最終章
6ヶ月後 白玉楼
○○と映姫がかなり仲良くなっているのを見て妖夢は原因でもある幽々子に問い質した
「幽々子様、どうして閻魔様に○○さんと小町さんの事を言ったんですか?」
「だって~~何も知らない閻魔様が気の毒でねえ~~」
「○○さん、今は閻魔様と何だか良い雰囲気ですよ、○○さんと閻魔様が恋人同士になったら小町さんがかわいそうですよ」
「大丈夫だって閻魔様の努力は無駄に終わるから」
「えっ、それはどういう意味ですか?」
「それはね‥‥‥」
秘密の場所
「どうですか○○、ここは私だけが知っている秘密の場所です」
「冥界にこんなに綺麗な場所があったなんて知らなかったよ映姫」
○○の映姫に対する呼び方は映姫様から映姫に変わっていた
3ヶ月前に映姫が○○にそう望んだからだ
「何故この場所に連れて来たかはですね‥‥大事な話があるのです‥‥‥」
「映姫?」
映姫が○○に話とはアレ以外にはなかった
「私は貴方が死神補佐の仕事の面接に来た時から、貴方を愛していました」
「映姫‥‥‥」
「貴方が小町を愛する様になったのは1年前に知りました、だから小町に出張を命じたのです」
「それは俺と小町を離れ離れにする為ですか?」
「違いますよ、小町の貴方への気持ちを確かめたかったのです、出張にどんな反応をするのかを」
「それは‥‥‥」
「小町に何か反発の態度があれば小町の貴方への気持ちを理解し出張は取りやめようと思っていたのです
しかし小町は出張に対して何の反発もなしに了承しました」
映姫は○○と小町の時間の考えの違いを知っていた、だから小町が反発しないのは分かっていた
そして○○は小町が自分の事を友人としか思っていないのではと、この時から考える様になっていた
「それに出張から1年も経っているのに、貴方に対して手紙を一通も寄越しません」
小町は○○に対して手紙を何通も送っていた、しかし映姫がそれを全て処分していた
小町が帰って来た時は手紙は一通も届かなかったと言うつもりだった
「それには何か理由があるからなのでは‥‥‥」
○○は、こうは言ったが不安にはなっていた
「○○、ここで考えてもらえませんか、私と小町のどちらを選ぶか考えて欲しいのです」
「えっ」
「貴方が私を少しでも愛する対象として考えてくれるだけで充分なのです、私を選ぶ必要はありません」
「映姫‥‥‥」
○○は1年前なら何も迷わずに即答で小町を選んでいた、しかし小町への不安と1年間の映姫との思い出が
○○に即答させない様に邪魔をしていた
だが即答は出来なくても○○は小町を選ぶだろう、彼が先に愛したの小町であり彼女の事はまだ愛していたのだから
『○○さんはね小町と閻魔様のどちらかを選ばなければならなくなっても小町を選ぶわよ
だから閻魔様の努力は無駄に終わるわ』
幽々子は妖夢にこう説明したのだ、○○が小町を選択する事を幽々子には分かっていたのである
「○○‥‥どちらかを選んで答えを出す必要はありません‥‥貴方は考えるだけでいいのです‥‥‥」
「考えるだけ?」
「何故なら答えを出す権利は私にあるからです!!」
「映姫に?」
「白黒はっきりつける能力発動!!」
1年前に映姫は○○に告白したとしても、○○は小町を愛していたので愛を受け入れてもらえない事は分かっていた、
○○は迷わず即答で小町を選ぶだろう、迷わないという事は○○の心の中には白(小町)だけで
黒(別の女性)が存在しないのである
黒の選択肢にすらなれないので、白黒はっきりつける能力は使えない
まず黒の選択肢になる必要があったのだ
だから小町と離れ離れにして○○の心の中に入り込み、1年かけて黒の選択肢になったのだ
後は○○が白(小町)と黒(映姫)のどちらかをはっきりさせる前に、白黒はっきりつける能力を使い
○○に黒(映姫)を選ばせる、これが映姫の計画だった
「映姫を選ぶよ」
映姫の計画が成功した瞬間だった
「私の決定を覆すことは不可能ですよ‥‥やった‥‥これで○○は私だけのモノに!!」
映姫の秘密の場所は○○と恋人同士になった思い出の場所となった
4年後 映姫の職務室
「映姫様、ただいま戻りました」
「おかえりなさい小町」
小町が5年振りに出張から帰って来た、小町にとっては5年は懐かしいと言える程の期間ではなかった
「小町に紹介したい人がいるのです、私の夫です」
「え、映姫様!御結婚されたんですか!おめでとうございます!!」
自分がいない間にあった映姫の結婚に小町は祝福した、夫が誰なのかも知らずに
最終更新:2011年03月04日 01:24