そのネタ頂戴する
それは幻想の郷が出来る前の事。
1人の妖怪が居た。
歴史を綴る妖怪は唯1人、日本の歴史を編纂し続けていていた。
ある日、人間の学者がやって来た。
人の身で妖怪の元に来るとはどういう酔狂だと問う妖怪に人間は言った。
知らぬままで居るのは妖怪と遭う危険より耐え難い事だ。
そう言う人間を笑いながら妖怪は受け容れた。
2人は何年も歴史の編纂をし、受け継がれるべき歴史書をしたためた。
妖怪は人間と共に暮らす事で、如何に自分が孤独だったかを知った。
孤独を苦に感じるようになった妖怪は、人間に依存するようになった。
数年後、人間は自分が編纂した歴史書を携えて人間の世界に戻ろうとした。
妖怪は許さなかった。泣いて脚に縋り止めようとした。
また来るから、という人間の言葉も耳に入らなかった。
何百年も孤独を過ごす事に慣れていた筈の妖怪は、たった数年の同居生活でそれに耐えられなくなっていた。
妖怪は、自ら封じていた禁忌を犯した。
学者の歴史を、操作してしまったのだ。
学者は人の世界に帰らなかった。そのまま、ツガイとなってしまった。
「そして、生まれたのが私なのだ……。父はどうなったかって?」
「ふふ、母の秘術で人の身のくびきから解き放たれて今でも元気でやっているさ」
「しかし、歴史は繰り返すか……母が為した事を私も繰り返すとはな」
「さて、始めようか○○。私達の幸福な歴史を」
最終更新:2018年03月31日 19:39