向日葵の種編 前半
永遠亭 診療所
診療所に傷を負った○○が運ばれてきた、これで4回目であった
「○○さん、命に別状はないけど全治2ヶ月よ」
「そうですか‥‥‥」
永琳は○○にそう伝えた
「また入院してもらう事になるわ」
診療所に運ばれて入院するのも、前回と同じであった
1時間後 診療所
○○を病室に運ぶのが済み、永琳はある人物について考えていた
ある人物とは○○ではなく、風見幽香の事だっただった
永琳は幽香の、これまでの行為について考えていたのだった
風見幽香のこれまでの行為
1○○の家を破壊して無理矢理に自分の家に住ませた
2○○を虐待して重傷を負わした、それも4回も
3本人に理由を尋ねても『愛しているから』としか言わない
「幽香の行為が全く理解出来ないわ」
幽香がいじめっ子気質で一部から究極加虐生物などと言われている事は知っていたが
幽香が○○を気に入っている事も知っていた、だから○○に対しては何もしないと思っていたのだ
幽香の行為は理解出来なかったが、一つだけ理解出来ている事があった
「このまま幽香の傍にいたら、○○さんが死んでしまうわ」
次の日 診療所
永琳は幽香を診療所に呼び、自分の考えを伝えた
「幽香、○○さんを永遠亭で引き取るわ」
「それはどうしてかしら?」
永琳は幽香が怒り狂うと思っていたが、意外にも彼女は冷静で落ち着いていた
「これ以上、貴方と○○さんが暮らしていたら、○○さんが死んでしまうからよ」
「そうね、死ぬかもしれないわね」
否定せず幽香はそう答えた
「意外な返答ね認めるなんて、それで異存はないの」
「○○が、それを望むなら構わないわ」
彼女らしくない返答に、永琳は違和感を感じた
「他に用がないなら、帰るわよ」
それだけ言って、幽香は帰っていった
病室
「○○さん、貴方を永遠亭で引き取るわ」
「えっ」
病室に入って来て、永琳はそう言った
「ごめんなさい、1年前に貴方の愛を受け入れていれば、こんな事にはならなかったかもしれないのに」
「永琳さん‥‥‥」
そう、1年前に○○は永琳に告白していた
しかし永琳は○○の愛を受け入れはしなかった
○○の事は気にはなってはいたが、不老不死の自分と普通の人間の彼とでは
結ばれても何時かは別れの時が来てしまう、その何時かの別れが耐えられなかったのだ
「何時か来る別れが怖かった‥‥でも幽香に傷付けられる○○さんを見てるのがもう耐えられない‥‥‥
これ以上、愛する人が傷付いているのを放っておけない‥‥‥」
「今更遅いかもしれません‥‥‥ですが、私は○○さんの愛を受け止めたいんです‥‥‥」
永琳は涙を流しながら、○○に自分の気持ちを伝えた
「永琳さん‥‥ありがとう」
○○は永琳を引き寄せて抱きしめた、傷の所為で強くは抱きしめられなかったが
永琳にとっては強さなんて関係なかった、愛する人に抱きしめられるだけで幸せだった
「永琳さん、何時か来る別れは大丈夫ですよ、何だったら蓬莱の薬を飲んでも構いませんから」
「死ねないのは辛いですよ、いいんですか?」
「永遠に俺の事を永琳さんが愛してくれたらの条件付きですけど」
○○の言葉を聞いて永琳は微笑みながら、こう答えた
「では私も条件を出します、私を永遠に愛してくれないと蓬莱の薬は渡しません」
「その条件を飲みますよ永琳さん」
「私もです○○さん」
○○の永遠亭での生活が、永琳との恋人同士の生活が始まった
後半に続く
向日葵の種編 後半
11ヶ月前(○○が永琳に告白して玉砕した1ヵ月後)
○○の家
幽香は○○の家に来ていた、○○が永琳に告白して玉砕した事は知っていたので
そんな○○を自分が慰める事が出来たらと思っていた
何故なら彼女も○○を愛していたからである
「元気出しなさいよ、○○を愛してくれる女はきっといるわよ」
この言葉の後に幽香は『私は○○を愛してるわ』と言いたかった
しかし、○○はまだ永琳を愛しているのが分かっていたので言えなかった
「え‥い‥り‥‥ん‥‥‥」
幽香が何を話しても○○はブツブツ独り言を言うだけだった
そんな○○を見て辛くなった幽香は、○○に言った
「私に出来ることだったら何でもするから、本当に元気を出してよ」
この言葉を聞いた○○は我に返り、幽香を5秒程見つめた後に、初めて独り言ではない言葉を発した
「幽香‥‥それ本当?」
「何でもしてくれるの?‥‥本当に‥‥本当に‥‥本当に?」
「本当よ○○」
○○は幽香に何度も聞いた、聞く度に幽香は返答した
「だったら協力してくれ‥‥永琳を俺だけのモノにしたいんだよ‥‥‥」
「私が協力?」
「幽香が協力してくれたら何とかなるさ‥‥‥」
○○の様子は明らかに異常だった、そして彼が言った作戦も異常だった
作戦の内容はこうだった
1幽香に自分の家を破壊してもらい、幽香の家に住む(帰る家を失うのが目的)
2幽香に自分を痛めつけてもらう(永遠亭診療所での入院生活が必要になるくらい)
3傷が完治したら、また幽香に痛めつけてもらい入院し、永琳が自分を永遠亭に引き取るというまで続ける
「そして永琳は必ず、俺を放っておけずに引き取ると言ってくる筈だ、その後はうまくやるさ」
作戦の内容を聞いて幽香は唖然とした、愛する○○の家を破壊したり○○を傷付けるなんて幽香には出来なかった
「出来ないわよ!そんな事!!」
幽香は激しく抗議した、しかし○○は予想外の返答をした
「俺の事を愛してるんだろ!だったら協力してくれよ!!」
「えっ‥‥知っていたの‥‥‥私の気持ちを」
「ああ」
○○が自分の気持ちを知っていたのには驚いたが、幽香にとっては意味はなかった
○○が愛しているのは別の女なのだから
「一緒に住む様になったら向日葵の世話の手伝いくらいはするから‥‥‥」
「手伝ってくれるの?」
幽香は自分の愛が報われるとは思っていなかった、だからせめて愛する○○と一緒に向日葵の世話がしたかったのだ
○○に抱いて欲しいとは思わなかった、向日葵の世話が一緒に出来るだけで満足だった
「本当に私と一緒に向日葵の世話をしてくれるの?」
「するよ‥‥だから俺の作戦も手伝ってくれよ‥‥‥」
「分かったわ‥‥‥」
「これで‥‥永琳を俺だけのモノに出来る‥‥‥ハハハハハハハ!!」
こうして幽香は○○の作戦を手伝う事になった
幽香は家を壊した時も○○を痛めつけた時も涙を流していた
痛めつける時に手加減をして○○に頬を叩かれた事もあった
現在 ○○が永遠亭に住む様になって1週間後
幽香の家
○○と永琳が恋人同士になった話は幽香の耳にも届いていた
幽香は二人を心の中で祝福した
(おめでとう○○、おめでとう永琳、二人共幸せになってね‥‥‥)
(私は、幸せだった‥‥○○と一緒に向日葵の世話が出来たんですもの‥‥‥)
(私には宝物が二つも出来たから、悲しくは無いわ‥‥‥)
(○○と一緒に向日葵の世話をした思い出、それと○○と一緒に育てた向日葵から採れた向日葵の種がある)
(向日葵の季節になったら、この種を植えるの‥‥○○と一緒にした向日葵の世話を思い出しながら‥‥‥)
幽香は向日葵の種を優しく手に握っていた、涙を流しながら
最終更新:2011年03月04日 01:21