※思ったより早く出来ましたのでレスしました
永江衣玖編 第1章
天界
「ねえ衣玖、貴方は○○の事を愛しているの?」
お茶の時間に比那名居天子が、そんな質問を永江衣玖にした
「えっ総領娘様、いきなり何をおっしゃるんですか!」
その様な質問をされるとは思っていなかったので衣玖は驚きを隠せなかった
「実は私、○○の事を愛してるのよ、だから衣玖は○○をどう思っているか知りたくてね」
「えっ」
答えを言えば衣玖は○○の事を愛している、しかしそれを天子に言うべきか迷っていた
衣玖は天子の従者という訳ではない、だから天子に遠慮する義理などなかった
しかし天子の事は何だかんだ言って、大切に思っており幸せになって欲しいとも思っていた
迷った挙句に衣玖は天子の為に空気を読んだ答えを言った
「私は○○さんの事を大事な友人だと思っていますが、○○さんに対して愛という感情はありません」
「それは本当なの、じゃあ私が○○に告白しても構わないのね」
「どうぞ御自由に‥‥‥」
天子の言葉を聞いて胸が痛くなった衣玖だが、そう答えた
(また空気を読んだ発言をしたわね、たまには素直な発言をしなさいよ)
実は○○の事を友人としか思ってなく、愛という感情が無いのは天子の方だった
天子は衣玖が○○を愛している事に気付いていた、だから自分が愛していると言えば
衣玖も焦って素直になると思っていたのだ
天子もまた衣玖の事を大切に思っており幸せになって欲しいとも思っていたのだ
だが天子の目論見は失敗に終わってしまった
衣玖の部屋
衣玖は考えていた、自分はどうするべきなのかを
天子に愛していないと答えてしまったので、もう○○に告白は出来ない
ならば天子の為に協力するか、それとも何もせずに見守るべきか悩んでいた
しばらく悩んだ末に衣玖は答えをだした
「やはり総領娘様に協力しましょう」
3日後 天界
「天界に来るのは2週間振りか」
○○は衣玖に手紙で呼ばれ天界に来ていた、天子が話したい事があるから来て欲しいとの書いてあったのだ
人間である○○が天界に来れるのは、天子に貰った許可証のおかげである
「お待ちしておりました○○さん、わざわざすみません」
衣玖が○○を出迎えた
「いやいいんですよ、そろそろ天界に来ようと思っていた所ですから」
「総領娘様は御自分のお部屋に居られます」
「分かりました」
第2章に続く
永江衣玖編 第2章
天子の部屋
「天子、来たよ」
「あら○○じゃない、2週間振りね」
「衣玖さんに呼ばれてきたんだよ、天子が話があるから来てくれって」
「衣玖が?」
天子は衣玖が自分の為に○○を呼んだ事に気付いた
「天子、どうしたんだい?」
「なんでもないわ(衣玖ったら余計な事を)」
部屋の外では衣玖が気配を消して二人の会話を盗み聞きしていた
やはり○○の事が気になるのである
(○○さん‥‥私は‥‥‥)
天子が世間話ばかりで本題に入らなかったので、○○が質問した
「それで話って何だよ天子」
「そ、それは(何て言えばいいのよ、衣玖の気持ちを教えてあげた方がいいのかしら)」
「もしかして愛の告白かい」
「えっ」
○○は本気で言った訳ではない、あくまで冗談で言ったのだ
(さあ総領娘様、今ですよ)
衣玖は○○への想いを忘れて、天子を応援していた
「はあ何を言ってるのよ、私が貴方の事を愛してる訳ないじゃない」
「そうだよな」
天子は○○の事を友人としか思っていなかったし衣玖の気持ちも知っている
だから嘘の告白なんて出来なかった
(そ、総領娘様!どういう事ですか!!)
衣玖は天子の意外な言葉に声を出してしまいそうになるくらい驚いた
「そうよ、貴方は悪友よ」
「悪友って、それはこっちのセリフだよ」
「ハハハハハハハ」
二人は仲良く笑っていた、だが衣玖は複雑な思いだった
(総領娘様‥‥貴方はいったい‥‥‥)
それから○○は本題に再び入ろうとした
「それで話って何だい?」
天子は○○を呼んではいないが、この機会に聞いてみる事にした
「ねえ○○、衣玖の事どう思っている?」
衣玖は天子から自分の名前が出てくるとは思ってもいなかった
(総領娘様?)
○○もまた天子から衣玖の名前が出てくるとは思ってもいなかったが、○○はこう答えた
「そ、それは‥‥大事な友人だと思ってるよ」
「友人?愛してるとか、そんな感情はないの?」
「そうだよ」
本当は衣玖の事を愛していた、しかし○○もまた素直になれなかったのだ
「ホントにホント?隠さずに言いなさいよ」
「ホントだよ、あんな地味で暗い人なんてタイプじゃないよ」
しつこく天子に追求されてしまったので、これ以上言われたくなかった○○は、心にも無い事を言ってしまったのだ
だが衣玖が部屋の外で聞いている事に気付いていなかった
衣玖は決して地味で暗い性格ではない、しかし○○の前では緊張して少ししか喋れないのだ
それに性格的に目立つ天子と一緒だと地味に思われてしまう
(○○さん‥‥私の事をそんな風に思っていたんですか)
天子は○○の発言を聞いて怒っていた、○○に対してではなく衣玖にだ
天子は衣玖が○○の前では緊張して少ししか喋れない事を知っていた
(衣玖のバカ!日頃から○○の前で、もう少し明るくなりなさいって言ってたのに!!)
「どうしたんだい天子?」
「そうよね~~あんな地味な根暗女なんて愛せないわよね~~」
「そ、そうだよ」
天子も本気で言った訳ではない、だが衣玖に腹が立って心にも無い事を○○と同じく言ってしまったのだ
天子もまた衣玖が部屋の外で聞いている事に気付いていなかったのだ
(総領娘様まで‥‥‥)
衣玖は、呆然としていた
最終章に続く
永江衣玖編 最終章
天子の部屋
そして衣玖はさらに天子から予想外の言葉を聞かされた
「もう言うのは止めましょうか、部屋の外で聞いている衣玖が可愛そうだしね」
「えっ衣玖さんが外に?」
天子は悪ふざけで言ったのだ、本当に衣玖が部屋の外で聞いているとは思ってもいなかった
だが衣玖は悪ふざけだと思わなかった、天子の言葉を聞いた直後に衣玖はその場から立ち去った
「なんちゃって~~冗談よ、いる訳ないじゃない」
天子がこの事を言うのは衣玖がその場から立ち去った後だった
衣玖の部屋
(私は何て馬鹿だったの‥‥こんな事になるなら総領娘様なんて‥‥‥)
衣玖は二つの事に後悔していた、天子を大切に思ってしまった事と
おせっかいで天子に協力した事を
(最初から総領娘様‥‥私をからかってバカにしていたんですね‥‥‥)
(○○さんを愛してもいないのに、愛してるなんて私を騙して‥‥‥)
(私が聞いていると知ってて○○さんに私の事を聞いたんですね‥‥○○さんの答えも分かっていたんですね‥‥‥)
(『地味な根暗女』『タイプじゃないよ』『愛せないわよね~~』ですか‥‥‥)
(総領娘‥‥いえ天子は私を苦しめて遊びたかった‥‥楽しみたかっただけなんですね‥‥‥)
(○○さんの気持ちも‥‥天子の気持ちも‥‥全て理解しましたよ‥‥‥)
(天子‥‥貴方は絶対に許しませんよ‥‥‥)
(○○さん‥‥こうなったら貴方を絶対に私のモノにしますよ‥‥‥)
衣玖の顔の表情は言葉では表せれない程に恐ろしい表情になっていた
2週間後、比那名居天子は天界の裁きを受ける事になった
彼女が過去に行った悪行が全てバレてしまったのである
天子はすぐに捕らえれてしまった、証拠もあったので天子に言い逃れは出来なかった
天子に対しての処罰は200年の幽閉である
そして○○も捕らえられた、天子と仲が良かった人間という事で疑われたのだ
20日後 牢獄
「気分はどうですか?○○さん」
「衣玖さん‥‥‥」
牢獄生活20日目で疲労した○○の元に衣玖がやって来た
「○○さん、このままだったら死ぬまで牢獄で生活する事になりますよ」
「そ、そんな」
衣玖の言葉に○○は、恐怖した
「でも助かる方法はありますよ」
「衣玖さん、本当ですか!!」
もう助からないと思う様になってきて、絶望感に心が支配されそうだった○○は
衣玖が絶望感から心を救ってくれる救世主に見えた
「私のモノになって下さい○○さん」
「えっ」
衣玖の言った助かる方法は予想もしていなかった事だったので○○は驚いた
「実は私、大手柄を立てたんです、だから褒美を貰える事になったんですよ」
「褒美だって?」
「その褒美で、私が○○さんを欲しいと言えば、貴方はここから出られます」
「それ以外に方法は?」
「ありません」
○○に選択肢などなかった、助かるにはこれしかなかった
「分かったよ衣玖さん、貴方のモノに‥‥‥」
「待ってください、その前に誓ってください、私を永遠に愛すると永遠に私のモノになると」
「誓いだって?」
「そうです、今回の大手柄で私はお金や出世も望めるんです、それを貴方の為に棒に振るんですから当然です」
「わかった‥‥‥俺はここに誓うよ、衣玖さんを永遠に愛して永遠に衣玖さんのモノになるよ」
○○の言葉を聞き衣玖は微笑んだ、しかし以前までの様な微笑みとはどこか違っていた
「嬉しいですよ、こんな地味で暗い私を愛してくれるなんて、私のモノになってくれるなんて」
「衣玖さん?」
「さあ、ここを出ましょう、○○さんの為に手料理を作ってあげますよ」
天子の悪行を密告したのも、○○も怪しいと嘘の密告をしたのも衣玖だった
(天子に復讐する事が出来たし、○○さんも私のモノになった‥‥フフフフフフフフ)
牢獄から外に続く暗い道で衣玖は邪悪な笑みを浮かべながら歩いていたが
○○は何も気付いてはいなかった
最終更新:2011年03月04日 01:43