今、○○には彼女がいる。その彼女との関係は、結婚を考える段階まできている。
だが最近になって様子がおかしくなり、話しかけようとしても避けられてしまうようになってしまった。
避ける理由をあらゆる手を尽くして調べてみたが、ついにわからなかった。
そこで○○は親交がある
地霊殿の古明地姉妹に、彼女がどう思っているのか読んでもらうことを思いつき、
協力を仰ぐために地底まで出向いたのだった。
「協力しますよ。あなたには大きな借りがありますし。何より、頼りにしてもらえたほうが、私としても嬉しい事ですから。」
古明地さとりは○○の心を少し読み取っただけでその頼みを快諾した。
理由は二つある。ひとつは今から二年ほど前、地上でぶらついていた妹の
こいしが何かの事故に巻き込まれ、
死に掛けているところを助けてもらったこと。もうひとつは――
(そう、この人にも思い人ができたのね。)
側に居ても苦にはならない、近年では稀に見る清らかな心を持つ男。
ちょっと気になっていたのだけど――
さとりは少し寂しそうに笑っていた。
暫く談笑した後、二人は地上に上り、○○の彼女の住居までやってきた。そこは博麗神社だった。
○○の彼女――博麗霊夢は縁側に腰掛け、呆けたように空を見上げていた。○○達に気づいている様子はない。
さとりは早速霊夢の心の奥底を覗き込んでみた。2秒後、その顔は青ざめた。
そこに広がっていたものは、光の差し込まない底なしの深淵。驚愕に目を見開き、息を呑む。
急にさとりの様子が変わったのを見て心配になった○○は、大丈夫かと声をかけたが、
さとりは何も答えずに○○に手を回すと、力強く抱きしめた。その体は小刻みに震えていた。
「○○さん…私が守ります。私があなたを守ります!あなたを守るのは私です!」
腹の底から搾り出すように「守る」を連呼するさとりの表情は、普段の様子から考えられないほどに逼迫していた。
異様な迫力を目にした○○は震え上がった。
(ぁぁぁあれはいけない!壊されてしまわないように、私が保護を!?…保護するのは私!)
こうして○○はさとりによって「保護」された。それから、○○が地上の景色を拝むことは二度となかった。
だが地底へと降り立つ影がひとつ…。
The End…?
最終更新:2022年11月02日 00:41