アリス・マーガトロイド編 

11月25日

○○と暮らす様になって今日で3ヶ月になる
○○と二人っきりの生活は問題もあったが私は幸せだ
でも○○は幸せじゃないのだろうか?
○○は一言も喋ってくれない、私の作った食事も全く食べてくれない
喋らないと会話が出来ないのに‥‥食べないと体に悪いのに‥‥何故だろう
○○が私に心を開いてくれていないのなら、早く心を開いて欲しい
開いてくれたら私はもっと幸せになれるのに
○○と二人で散歩に出かけたら、出会う人達みんなが私達を注目してくれている
みんなが祝福してくれている証拠だ
祝福してくれているみんなや私の為にも早く心を開いてね○○


永遠亭 診療所

永琳は魔理沙が持ってきた日記を真剣に読んでいた
普段は騒がしい魔理沙も黙って永琳が日記を読み終わるのを待っていた

「これは‥‥‥」

日記を読み終えた永琳が一言だけ溢した
我慢出来なくなった魔理沙は黙るのをやめた

「それでどうなんだよ永琳」
「相当重症ね‥‥アリスは‥‥‥」

永琳はそれだけしか言わなかった、いや言えなかった
この様なケースは永琳にとっても初めての事だったのだ当然である

「アリスは治るのかよ」
「分らないわ‥‥‥」
「分らないって‥‥おい!」

魔理沙はこんな言葉を聞きに来たのではないと永琳に怒りをぶつけようとしたが
この異常な事態なら仕方がないと理解し、それ以上は何も言わなかった

「原因は霊夢と○○さんが恋人同士になった事でしょうね」
「そうだな、アリスも○○の事が好きだったからな」

霊夢もアリスも○○の事が好きだった、しかし二人共素直になれなかった
○○に会ってもツンケンとした態度を取っていたのだ
しかし霊夢は魔理沙からアリスが○○の事を好きだと聞くと急に焦り出して、○○に自分の本当の気持ちを伝えたのだ
そして○○は霊夢の気持ちを受け入れ、二人は恋人同士になった

「こんな事なら霊夢にアリスの事を言うんじゃなかったぜ」
「アリスは素直にならなかった自分に後悔した、それが原因の現実逃避という訳ね」
「だからって○○そっくりの人形を作って一緒に暮らすなんて、どうかしてるぜ」
「アリスはおそらく人形を本物の○○さんだと思っている筈よ」
「それで人形を動かして一緒に散歩したり、日記を付けたりするなんてなあ‥‥‥」

二人はアリスの治療方法について話し合っていた

「本物の○○に会わせるってのはどうだ」
「今のアリスの状態じゃ危険よ、本物の○○さんを偽者呼ばわりして攻撃するかもしれないわ」
「人形を破壊するのはどうだ」
「破壊してもアリスが治るかどうか分らないわ、下手に破壊しない方がいいわ」

しかし治療方法はヒントすら、まだ見つからなかった


3日後 アリスの家

「じゃあ行って来るわ○○、大人しく留守番しててね」

妖怪の山へ用事で出かける事になったアリスが人形の○○にそう言って出かけていった
○○と一緒に行きたかったが、妖怪の山は危険な場所だとアリスは認識しているので
アリスは○○を置いて出かけて行った
そしてアリスが1人で出かけるのを待っていた者がいた

「アリス悪く思うなよ、お前を治すにはやはりこれしかないぜ」

アリスが1人で出かけるのを待っていた者の正体は魔理沙だった

「永琳は人形を破壊しても治るかどうか分らないって言ってた、それは治る可能性もあるって事だぜ」

永琳は治るかどうか分らないから人形は破壊しない方がいいと言ったが、今のアリスを見ているのがつらい魔理沙は
人形を破壊する決意を固めた

「イチかバチかだぜ!」

魔理沙の魔法で○○そっくりの人形はバラバラに砕けた


4時間後 帰り道

「文の奴、私と○○の生活を記事にしろって言ってるのに断るなんて!」

目的が達成出来なかったアリスが不機嫌の状態で自分の家に戻ろうとしていた
○○が出迎えてくれれば不機嫌が上機嫌に変わるだろう、そうアリスは考えていた


アリスの家

「遅くなってゴメンね○○、戻ったわよ」

不機嫌さを隠して、にこやかな顔でドアを開けながらアリスは言った
自分を待っていたのは○○ではなく、絶望だとも知らずに

「○‥‥キ、キャアーーーーーーーーーー!!」

バラバラになっている人形の○○をアリスはついに見てしまった

「あ‥‥ああ‥‥な、何で‥‥ど、どうしてなの‥‥どうして‥‥どうして‥‥どうして‥‥‥」
「どうして!○○が死んでるのよーーーーーーーーーー!!」
「うわあーーーーーーーーーー!!」

不機嫌さは消えた、何故ならアリスの心の全てが絶望に塗り潰されたのだから


1ヵ月後 永遠亭 診療所

「早まった事をしたわね‥‥魔理沙」

永琳は状況を悪化させた魔理沙に怒鳴りもせず静かに言った

「アリスは家に篭もって、ブツブツと独り言を言ってばかりだと聞いたわ‥‥‥」
「これしかアリスを治せないと思ったんだぜ‥‥‥」
「今、治療方法を考えているけど‥‥もう余計な事はしないでね魔理沙」
「‥‥‥‥‥‥‥」

永琳の言葉に魔理沙は何も答えなかった


アリスの家

「おいアリス、来てやったぜ!」

余計な事はするなと永琳に言われていたが、今回の事で魔理沙はかなりの責任を感じていた
アリスを放っておけずに様子を見に来たのだ

「○○‥‥○○‥‥○○‥‥○○‥‥○○‥‥○○‥‥○○‥‥‥」

しかしアリスには魔理沙の言葉は全く届いてはいなかった
○○の名前を繰り返して言うだけだった

「もう‥‥こうなったら‥‥‥」

魔理沙はアリスのそんな姿を見ていられず、ある賭けに出た

「おいアリス!○○は死んでなんかいないぜ!生きてるぜ!!」
「生きている‥‥‥」

アリスは○○の名前以外の言葉を初めて口にした

「生きている‥‥生きている‥‥○○が‥‥生きている‥‥‥」
「ああ、確か今日は人里に買い物に行ってる筈だぜ」
「人里‥‥買い物‥‥○‥‥○○ーーーーー!!」

アリスは○○の名前を叫びながら家を飛び出していった

「私は間違った事はしてない‥‥多分‥‥‥」

魔理沙は自分にそう言い聞かせた


人里

「やっと買い物が終わった‥‥霊夢の奴、彼氏をパシリと勘違いしてるんじゃないのか」

○○が愚痴を言いながら帰ろうとしていたその時だった

「や、やっと‥‥見つけたわ‥‥○○‥‥生きていたのね‥‥○○‥‥よかったわ‥‥○○‥‥‥」
「ア、アリス?」
「生きていただけじゃなく‥‥やっと喋ってくれたわね‥‥○○‥‥4ヶ月振りかしら‥‥貴方の声を聞くのは‥‥‥」
「生きていた?喋ってくれた?4ヶ月振り?何を言っているんだアリス」

○○はアリスの言っている事が全く理解出来なかった
理解しているのは誰が見ても、今のアリスは普通じゃないという事だった

「もう離さないわ‥‥もう傷付けさせないわ‥‥貴方を傷付ける者がいない場所に‥‥誰もいない場所に二人で行きましょう‥‥‥」
「誰もいない場所に?」
「今度は私の作った食事を食べてもらうわよ‥‥4ヶ月も何も食べてないんでしょ‥‥お腹が空いたでしょ‥‥‥」
「アリス、君は診療所に行った方が‥‥‥」

あきらかに普通じゃないアリスに○○は診療所に行く事を勧めた

「診療所?違うわよ‥‥行くのは誰もいない二人だけの場所よ‥‥さあ行きましょう‥‥‥」
「おいアリ‥‥ス」

これを最後に○○とアリスは幻想郷から姿を消した、その後の消息は不明である

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最終更新:2010年11月29日 21:30