――釣瓶落とし。

 それは『恐るべき井戸の怪』『秋の日の人食い』、
 人間が木の近くを通りかかると、木の上から生首や釣瓶が突然落ちてきて、そのまま人を引っ張り上げて食べてしまうという恐ろしい妖怪である。

 幻想郷縁起や天狗の新聞にも人喰いの部分やその凶暴さについて記述されており、それを読んだ時は改めて妖怪の恐ろしさを再確認したものである。
 ……だが、現在のこの状況はいったい何なのであろうか?

「そ、そんなに見つめられると照れちゃうな……」

 恥じらいの言葉と共に顔を赤らめてもじもじと体を揺らす緑髪の少女。
 ○○は今、キスメと名乗った釣瓶落としの少女の桶の中に一緒に入っていた。
 どう考えても自分と彼女が入れるだけのスペースはないはずなのだが、自分の体の感覚は不自然になく、上半身だけが桶の上に出ている状態だった。
 下半身を辿ろうとすると桶の中は底の見えない暗闇で染まっており、両足はその異空間の中に消えていた

 人里への帰り道、背の高い木の下を歩いていると突然落下してきた桶で頭部を強打。
 釣瓶落としに襲われたのだと気づき、「あぁ、自分はここで喰われて死ぬのか…」と他人事のように思いながら意識を手放し、目を覚ましたときには既にこうなってしまっていた。

「……俺を、食べないのか?」

 その質問がよっぽど意外だったのか、キスメは一瞬きょとんとした表情を作った。

「そんなわけないじゃない。あなたは私の運命の人なんだから」

 まるで神に縋る狂信者のような眼差しを○○に向け、うっとりとした顔で答えるキスメに、○○は自分が逃げられないことを悟った。

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夜はきっと桶の中にローション足らして桶プレイ

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最終更新:2017年04月08日 04:57