お茶会の内容は恋愛相談だった。
レミリアはあれでそういう経験が薄いらしく、
「え、私?なんで?咲夜やパチェじゃなくて?」
と焦っていたがフランの事だと先に伝えると胸をなでおろした。
「ああなるほど、それで咲夜じゃなくて私にね……」
「フランの事が好きなんだ。
あんな見た目が小さい子にそういう感情を持つのは異常かもしれないけど、さ」
「それって私がレディじゃないって意味にも取れない?」
カップを口に当てたまま、上目づかいにレミリアは睨んできた。
「妹と違って立派な姉だこと」
「よろしい」
納得した様子で飲み干した。
「私はフランが○○の事をどう思っても勝手だと思うわ」
「いや、それじゃ相談の意味が無いじゃないか」
「あら、だって必要ないもの」
はあ。
というと「どうせ結ばれる事は無い」と言ってるように聞こえたのだが。
「一応言っておくと運命がそうさせてるから、あなたはフランと結ばれる事は無いわよ」
「は、はぁ!?なんでまたそんな事を……」
レミリアは当然と言った顔で返してきた。
「あたりまえじゃない、私が○○の事を好きだからよ」
……くらっと来た。
この目眩が一服盛られてたーとかそういう事ならどれだけ楽な事か。
「三角関係って事か……」
「すぐ相思相愛になるから大丈夫よ」
にんまりと笑っていた。
しかし何もこのタイミングでそれを告白する必要はないだろうに……
勿論隠し続けて修羅場になれば良いという訳ではないが。
「それに運命の力が働いている内はフランがあなたに興味を持たないわ」
あぁそういう、それで「どう思っても構わない」ね……
「ところで○○は出すのと入れるのどっちが好みかしら、男の子だしやっぱり入れる方?」
「そりゃまあ、ってなんだその……卑猥な妄想を誘うような物言いは」
「だって人間と吸血鬼じゃ寿命が違うじゃない。
だから○○が吸血鬼になればいいのよ!」
ああレミリア君の笑顔は太陽みたいだね。
ついでにマッチポンプ式に暫く灰になってくれればとっても助かるんだけど。
「大体あなたが何を考えたのかわかるけど、
要するに私の血を取り込むか血を吸われるかって事ね」
とはいえこれは不味い。
さっき変に小洒落て無い事を言っちゃったりするあたり運命の影響とか色濃く受けてるんじゃないだろうか。
古典的な考えだが運命を切り開かねば。
「両方断る、このまま人間の俺に恋し続けて死を悲しむ悲劇のヒロインになってくれ」
肩を竦めて言った。
「まあまあ、帰る支度なんかしないで上着を脱いで頂戴」
「ああ」
もう一服位いいか、
どこからともなく咲夜さんが現れて上着を預かってくれた。
って、なんだかおかしいぞ。
帰るつもりは元から別になかったけど、なんでそんな気分になってたんだ?
「胸元が苦しいでしょ?シャツを緩めると良いわ」
「そうだね」
シャツのボタンを大きく開く。
「ちょっとした余興をするわ、しばらく座っていて頂戴」
「わかった」
あ……れ?
やっぱおかしいぞ。
なんで言う事を聞いてるんだ?
いや、大したことじゃないけど、レミィの要求は。
何も考えずに反射的に言う事を聞いてしまった。
「ちょっと詰め込みすぎちゃったかしら」
「おいレミィ何を……」
立ち上がって問い詰めようとしたが腰が上がらない。
力が抜けたみたいで、椅子から離れられない。
「あなたと目を合わせて、名前を呼んだ。それだけよ」
吸血鬼の魅了の力か。
「運命なんて所詮点と点の繋がりだもの。過程はどうあれ、ね」
「よくも…!」
「回答以外で喋らないで」
舌が痺れて、声が出せない。
喉も声が掛からず唸る事も出来ない。
「じゃあ○○、もう一回質問するね。
出すのと入れるの、あなたはどっちが好きなのかしら、○○?」
最終更新:2011年01月15日 19:29